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最近ものが無くなっているような気がする
ボールペン
ファイル
食べかけのガム
(噛みかけとかじゃなくて小分けになってるやつ)
髪ゴム
別段無くしても困るものではない
もしかしたらどこかに落としたのかもしれないし、
またひょっこりと出てくるかもしれない
私はものを無くすのが得意だ
いつもの私の大雑把がでてるのかも
あと、不思議なことは他にもある
食べかけのプリンがなんとなくちょっと減っていたり
いつもより冷蔵庫の中身が整っていたり
まあ人の記憶なんで曖昧なもので、
無意識のうちに整えていたのかも
「うーん。変だなぁ。」
職場の更衣室で思わす声がでる
「どうしたの、白」
隣で着替えていた同期からレスポンスが帰ってくる
「なんかね、最近ものが無くなってるような気がして」
「例えば?」
「ボールペンとか髪ゴムとか」
「それって、いつもの、あれ~、私のボールペンどこ~?あ、ポケットに入ってた~、とかでしょ?すぐに出てくるって」
同期は私の真似をしながら着替えを進める
「私もそうだと思うんだ~」
「ならいいじゃん。私、先に行くからね」
「ま、まって~!私も一緒に行くから~」
同期は既に制服に着替え終わっており、更衣室を出ようとしている。私は急いで着替えを終わらせて、髪を束ね、同期の後を追いかける。
そうだよね。気のせいだ。
その時の私はそう思っていた。
それから2週間程経過し、やはり持ち物はちょこちょこなくなるが別段気にしてはいなかった
今日は金曜日
今日は同期と飲む日
その事を考えながら1日仕事をして過ごした
仕事が終わり、更衣室で着替え軽く化粧を直す
夜の街へと繰り出す
「「かんぱーーーーいっ」」
キンキンに冷えたビールで乾杯
ガチっとグラスを合わせ、4口ビールを飲む
「んーーーーーー!!!最高~!キンキンに冷えたビール最高~」
「仕事お疲れ~~~よくやった私たち~!!!」
別段大きなプロジェクトとか仕事をしたわけじゃないけど、仕事を頑張っている私達を褒める、大切なことだ
焼き鳥とツマミを注文し、仕事の愚痴に花が咲く
「ほんとに頑張ってるよ我々~」
「ね~」
「これで、彼氏でも居れば最高なんだけどね~」
「ね~」
カウンターに座ったとこもあり、店の店員さんとも話し2時間程度飲み食いした
いい感じに酒も周り、お腹もいっぱいになった
「ごちそうさまでした~」
「2軒目いこ~」
「いこいこ~」
女2人で2軒目を目指す
次にたどり着いたのは英国風のパブ
「え~ここ~?」
「いーじゃん、ここ安いし。彼氏ほしーしー」
「めっちゃ出会い目的じゃん」
「おねがーいっ!面倒なやつ来たら私が相手するから!」
このパブでは周りの人とも仲良くなれるし、割と出会いを求めて来る人もいる
手を合わせて頼み込む同期
私は、しょーがないなぁ、と酔いが周り頭が回らない中返事をした
カクテルを注文し、テーブルに着く
2人で飲んでいると、隣に男性2人組が座る
「おねーさん達2人で飲んでんの~?俺らも仲間にいれてほしーな」
チャラい
一言で言えばそんな感じ
「えー、どうしよっかなぁ」
同期が答える
「ままま!ちょっと机近づけよっか!」
机を近づけてくる男達
「わーきたー笑」
その後はテキトーに会話を合わせていた
同期はこういった場でのコミュ力が高い
私はと言うと、チャラい人は苦手だ
酔いも割と覚めてきてしまった
「さ、てと。白出ようか」
完全に覚めている私に気を使ってくれたのか、同期は気にかけてくれる
「え~、まだ話してよーよ!そっちのお姉さんと全然話してないじゃん」
「私たち明日も仕事なんだよね~だからごめんね~」
「俺達が奢るからっ!ね!」
「ごめんね~」
「釣れないなぁ~!あとちょっとだけ~!ね!」
男のうち1人が私の手首を掴む
「離してください」
「やだ~、もうちょっとここにいてくれたら離す」
男はニヤついている
「だから!」
「その女性は嫌がっているようですが?」
よく通る声が私の背後から聞こえた
振り返ると黒のスーツに眼鏡、綺麗な漆黒の髪は7:3に分けられている
深緑の切れ長の目
「あ?なんだ、お前」
「失礼。私、こういうものです」
胸ポケットから、手帳を取り出し身分を明かす
ドラマでみるやつだ
「…、チッ、」
男二人は舌打ちをして店を出ていった
二人が出ていったことを確認してから、スーツの男性が話す
「大丈夫でしたか?」
「あ、ありがとうございました!ほんとに助かりました!」
「ありがとうございます!」
同期と2人でおじきをする
「まあ、こういった店ではあぁいう輩が多いものです。以後気をつけて下さいね。…では。」
颯爽と帰っていくスーツの人
「…かっこいい」
「ドラマみたいだったね~」
「あんな人現実にいるんだね……、ほら!帰ろ!」
あまりの驚きで呆然としていたが、正気を持ち直し店をでた
「おい。彼女に触れた手はこっちか?こっちか?」
路地裏に先程の男を追い込んだ
目の前の男はガタガタと震えており、腰が抜けている
だらしなく手が地に着いていた
先程彼女に触れていたこいつが憎い
俺から見て右手を靴で踏みつける
「う"ぁっ!!っ!!!!!」
「どうなんだよ。あぁ?」
「っ!!ぅぅっ!!、はっはぁっ!こっ、」
ぐりぐりとふむ力を強める
「っっっっ~~~~~~~っ!!!!」
男は眉間にシワを寄せ俺の手をどけようとする
「お前みたいな汚らわしい奴が触れていいもんじゃねえんだよ。分かったら、2度と彼女の視界に入るな。」
足をどけてやる
「……!っ、…は、はい、……………っっっっっ!、ぐっぅう!!?!!!!」
もう一度、足を手の上に下ろし体重をかけした
「いいお返事ですね」
眼鏡の縁をくいとあげる
未だ失神している男は放置し、スマホを確認する
「…、家に着きましたね。よかった。」
地図上に現れた彼女を示すマークが、彼女が自宅に帰ったと知らせてくれると、俺の顔は緩んだ
彼女のいつも使用しているバックにGPSをつけているので間違いないだろう
耳につけているインカムからは、ガチャガチャと鍵の開く音と、ドアの開く音が聞こえる
「、ただいまー」
彼女の声
彼女は一人暮らしだが、必ずただいま、行ってきますを言う
これで彼女が家に帰ってきたことが確定し、安心する
「おかえりなさい」
俺は届かない返事を今日も彼女にする
─つづく─
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