BARの常連の人達となんだかんだ関わっていく話
シンジュクのオーダー
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しとしとと雨の音が聞こえる
窓からは、真っ暗な中に柔らかいオレンジ灯りが点々と見える
「今日はお客さん来ないかな…」
今日のBARWhiteには雨のためか客が1人もいない
白は呟きながらワイングラスを磨く
「入間さんは一昨日、来てくれたばっかりだし」
俯きぎみになる
ドアが開く音がして、そちらを向き笑顔で
いらっしゃいませ、と言う
男性が2人
1人は50歳くらいの紳士的な男性。もう1人は30代くらいの長髪の男性。2人とも雰囲気がとても落ち着いている。
お客さんが来てくれた喜びで、いつもより元気な声がでてしまい、少し恥ずかしくなる
軽く呼吸を整える
「こちらのお席へどうぞ」
カウンターを勧める
「いらっしゃいませ、お二人共初めてでいらっしゃいますか?」
「ええ、噂でここのBARのカクテルはとても美味しいと伺ったもので、気になって私の弟子と共に来た次第です」
50歳くらいの男性はべっ甲のメガネをかけていて瞳が優しい印象。とても朗らかな声色をしている。
もう1人の長髪の男性は一見、落ち着いているが、どこか緊張しているのか肩に力が入っている。
「恐れ入ります。お客様のお好きなカクテルか、お好みの味から作らせて頂くことも可能です」
「そうだな、私はジントニックを貰おうか」
「かしこまりました、そちらのお客様はどうされますか」
「あっ、あ、私は…、えっと…うーん。……。」
口元に手を当て、眉をしかめる長髪の男性
迷っている…、と言うよりも困っていると言う感じがする
「神宮寺くんはあまりカクテルに明るくないかな?」
「えぇ、まぁ。あまり酒は飲まないので」
「……、あまり甘くない方がお好みですか?」
「…、そうですね。さっぱりとしている方が好み…です。」
「かしこまりました、僭越ながらオリジナルカクテルを作らせていただきます」
「あ、あぁ、頼みます」
グラスを氷水で冷やし、1度捨てる
ジンをメジャーカップで測り入れ、トニックウォーターを注ぐ、ライムを軽く絞り、混ぜ合わせて先にメガネの男性に差し出す
「つい見入ってしまったね」
「ええ、一つ一つの動作が滑らかで美しいです」
「恐れ入ります。そんなに言われると照れますね」
お世辞ではないストレートな賞賛はとても照れてしまう
気を引き締めて2杯目
冷やしたグラスにライムを軽くしぼる
材料をグラスに入れ、混ぜ合わせる
「お待たせいたしました、モスコミュールです。」
カクテルが目の前にだされた瞬間、先程の和やかな表情が緊張に変わる
「じゃあ、神宮寺君…、乾杯」
「…ありがとうございます。」
軽くグラスを合わせると、カチリと言う音がする
メガネの男性はジントニックに口を付ける
それを横目で見ている長髪の男性
モスコミュールに目を落とし、意を決した表情をしてグラスに口を付け、1口飲む
「…!!おい、しい」
「うん、うまいな。」
長髪の男性は目を見開いて今までの緊張していた顔を崩す
メガネの男性にも好評なようだ
長髪の男性はこちらに目をやり、不思議そうな表情をしている
「お気に入りめしていただけましたか?」
「えぇ、もちろん!今まで、こんなに美味しいカクテル飲んだ事ない…」
「ありがとうございます。何よりです!…本日のお通しなのですが、野菜スティック、ミックスナッツ、トマトのピクルス……、────」
その後も、客は来なかったが2人は3-4杯飲んでチェックとなった
「美味しい酒は悪酔いしないんだね、これで証明されたね」
口調と緊張も打ち解けた長髪の男性は、メガネの男性がトイレに立っている間、白に話しかける
「恥ずかしい話、私は、酒を飲むと記憶が無くなってしまってね…、自分が酒を飲むとどうなっているのか分からないまま、教授の前で飲むのは怖くてね。…教授に酒は弱いと散々伝えたんだが、連れてこられてしまって、弱っていたところなんだ」
「…実はですね、今までお客様が飲んでらしたのは、ノンアルコールなのです。」
長髪の男性は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに元に戻った
「モスコミュールは本来、ウォッカを使用するものですが、なんだかお客様の様子がおかしかったので、ライムとジンジャーエールで作りました。もしやお酒が苦手なのでは、と考えた次第です。…勝手な判断で、申し訳ありません」
ぺこりと頭を下げる
「あぁ、頭を上げてくれないか。君には助けられたんだ、謝ることなんて何もないよ、君のおかげで教授の前でみっともない姿をみられることはないんだから」
少し驚いた顔をしてから、にこやかに話す長髪
「ありがとうございます。」
白もふわりと笑う
「…客の雰囲気から心情を読み取り、注文に反映させるなんて…興味深いな」
ぽつりと放たれた言葉は、白の耳には届かなかった
その後、メガネの男性が帰ってきて、2人は席を立ち店をでた
「ありがとうございました」
2人のいた席に忘れ物がないか確認していると、
再びドアがあき、長髪の男が戻ってきた
「、お忘れ物ですか?」
「いや」
自分の鞄から名刺ケースを出し、白に差し出す
「あの、これ私の名刺なんだけど、貰ってくれないか。またこの店に来るよ」
「わざわざこのために…、ありがとうございます、またのお越しをお待ちしておりますね。」
名刺を受け取る
そして、男は軽く会釈し店を出た
白も会釈で返す
「…綺麗な人だったな。お客さんから名刺貰うなんて珍し…」
ちらりと名刺の名前を確認すると、
シンジュク病院 医師
神宮寺 寂雷
の文字が
「あ、あの人が神宮寺先生!?…あんなに綺麗で優しい人だったんだ…。世界って狭いなぁ。今度、強くないカクテルでも作って見ようかな」
世界的に有名な医師だったとは知らずに改めて驚く白
常連とは言えないが、ここを気に入ってくれる人が増えたのは僥倖だ
─つづく─
窓からは、真っ暗な中に柔らかいオレンジ灯りが点々と見える
「今日はお客さん来ないかな…」
今日のBARWhiteには雨のためか客が1人もいない
白は呟きながらワイングラスを磨く
「入間さんは一昨日、来てくれたばっかりだし」
俯きぎみになる
ドアが開く音がして、そちらを向き笑顔で
いらっしゃいませ、と言う
男性が2人
1人は50歳くらいの紳士的な男性。もう1人は30代くらいの長髪の男性。2人とも雰囲気がとても落ち着いている。
お客さんが来てくれた喜びで、いつもより元気な声がでてしまい、少し恥ずかしくなる
軽く呼吸を整える
「こちらのお席へどうぞ」
カウンターを勧める
「いらっしゃいませ、お二人共初めてでいらっしゃいますか?」
「ええ、噂でここのBARのカクテルはとても美味しいと伺ったもので、気になって私の弟子と共に来た次第です」
50歳くらいの男性はべっ甲のメガネをかけていて瞳が優しい印象。とても朗らかな声色をしている。
もう1人の長髪の男性は一見、落ち着いているが、どこか緊張しているのか肩に力が入っている。
「恐れ入ります。お客様のお好きなカクテルか、お好みの味から作らせて頂くことも可能です」
「そうだな、私はジントニックを貰おうか」
「かしこまりました、そちらのお客様はどうされますか」
「あっ、あ、私は…、えっと…うーん。……。」
口元に手を当て、眉をしかめる長髪の男性
迷っている…、と言うよりも困っていると言う感じがする
「神宮寺くんはあまりカクテルに明るくないかな?」
「えぇ、まぁ。あまり酒は飲まないので」
「……、あまり甘くない方がお好みですか?」
「…、そうですね。さっぱりとしている方が好み…です。」
「かしこまりました、僭越ながらオリジナルカクテルを作らせていただきます」
「あ、あぁ、頼みます」
グラスを氷水で冷やし、1度捨てる
ジンをメジャーカップで測り入れ、トニックウォーターを注ぐ、ライムを軽く絞り、混ぜ合わせて先にメガネの男性に差し出す
「つい見入ってしまったね」
「ええ、一つ一つの動作が滑らかで美しいです」
「恐れ入ります。そんなに言われると照れますね」
お世辞ではないストレートな賞賛はとても照れてしまう
気を引き締めて2杯目
冷やしたグラスにライムを軽くしぼる
材料をグラスに入れ、混ぜ合わせる
「お待たせいたしました、モスコミュールです。」
カクテルが目の前にだされた瞬間、先程の和やかな表情が緊張に変わる
「じゃあ、神宮寺君…、乾杯」
「…ありがとうございます。」
軽くグラスを合わせると、カチリと言う音がする
メガネの男性はジントニックに口を付ける
それを横目で見ている長髪の男性
モスコミュールに目を落とし、意を決した表情をしてグラスに口を付け、1口飲む
「…!!おい、しい」
「うん、うまいな。」
長髪の男性は目を見開いて今までの緊張していた顔を崩す
メガネの男性にも好評なようだ
長髪の男性はこちらに目をやり、不思議そうな表情をしている
「お気に入りめしていただけましたか?」
「えぇ、もちろん!今まで、こんなに美味しいカクテル飲んだ事ない…」
「ありがとうございます。何よりです!…本日のお通しなのですが、野菜スティック、ミックスナッツ、トマトのピクルス……、────」
その後も、客は来なかったが2人は3-4杯飲んでチェックとなった
「美味しい酒は悪酔いしないんだね、これで証明されたね」
口調と緊張も打ち解けた長髪の男性は、メガネの男性がトイレに立っている間、白に話しかける
「恥ずかしい話、私は、酒を飲むと記憶が無くなってしまってね…、自分が酒を飲むとどうなっているのか分からないまま、教授の前で飲むのは怖くてね。…教授に酒は弱いと散々伝えたんだが、連れてこられてしまって、弱っていたところなんだ」
「…実はですね、今までお客様が飲んでらしたのは、ノンアルコールなのです。」
長髪の男性は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに元に戻った
「モスコミュールは本来、ウォッカを使用するものですが、なんだかお客様の様子がおかしかったので、ライムとジンジャーエールで作りました。もしやお酒が苦手なのでは、と考えた次第です。…勝手な判断で、申し訳ありません」
ぺこりと頭を下げる
「あぁ、頭を上げてくれないか。君には助けられたんだ、謝ることなんて何もないよ、君のおかげで教授の前でみっともない姿をみられることはないんだから」
少し驚いた顔をしてから、にこやかに話す長髪
「ありがとうございます。」
白もふわりと笑う
「…客の雰囲気から心情を読み取り、注文に反映させるなんて…興味深いな」
ぽつりと放たれた言葉は、白の耳には届かなかった
その後、メガネの男性が帰ってきて、2人は席を立ち店をでた
「ありがとうございました」
2人のいた席に忘れ物がないか確認していると、
再びドアがあき、長髪の男が戻ってきた
「、お忘れ物ですか?」
「いや」
自分の鞄から名刺ケースを出し、白に差し出す
「あの、これ私の名刺なんだけど、貰ってくれないか。またこの店に来るよ」
「わざわざこのために…、ありがとうございます、またのお越しをお待ちしておりますね。」
名刺を受け取る
そして、男は軽く会釈し店を出た
白も会釈で返す
「…綺麗な人だったな。お客さんから名刺貰うなんて珍し…」
ちらりと名刺の名前を確認すると、
シンジュク病院 医師
神宮寺 寂雷
の文字が
「あ、あの人が神宮寺先生!?…あんなに綺麗で優しい人だったんだ…。世界って狭いなぁ。今度、強くないカクテルでも作って見ようかな」
世界的に有名な医師だったとは知らずに改めて驚く白
常連とは言えないが、ここを気に入ってくれる人が増えたのは僥倖だ
─つづく─
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