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私がクレしん映画で初めて泣いた作品です。一緒に見ていた家族にドン引きされました。クソ家族なので、人が感動しているものを嘲笑ったりします。特に自分達がチープだと感じていると、何でこんなので泣いてんのwwwwと鬼の首をとったようにはしゃぎます。
そういう人たちとは絶対に一緒に見てはいけない映画、それがクレヨンしんちゃんシリーズだと思うんですね。散々世間では、クレヨンしんちゃんはたまに泣ける!など評価していますが、そういうものをクソだと思っているやつは、世間がなんと言おうとバカにしてくるんです。
ひとりで何度も見た映画、という思い出です。
と、いうのもしんちゃんに感情移入しまくるんですよね。
しんちゃんは、アクション仮面やカンタムロボなどが大好きな男の子で、彼は絵も描きます。それがなかなかに上手。五歳にしては上手だと思います。その彼がぶりぶりざえもんが、悪の組織に利用されてコンピューターウィルスとなって登場する映画です。
ネタバレするので、見てない人は帰るんだ。そして今すぐレンタル店に行って借りてきて!!見ろ!!!!創作するやつは見ろ!!!みんな見ろ!!!ネタバレオッケーな人は読んでいいよ!!

コードネームお色気は世界の平和を守るスパイ、悪の組織からコンピューターウィルスの入っているディスクを盗み出して飛行船から脱出。命からがらに逃げたした先にはしんちゃんたち(春日部防衛隊のみんなも…というか幼稚園のみんなで屋形船に来ている)が。そんなこんなで、巻き込まれるしんちゃんたち。
コードネーム筋肉は、子供たちとディスク、そしてお色気を救出するために野原家へ。
こうして二つのチームが奮闘していくんですけど、まあ飽きさせない展開。さすが。敵たちもみんな個性的で素敵。なんと言っても、クレしん映画の敵ってノリがいいんですよね!一回ボケに乗ってくれる。しんちゃんのペースにみんなが呑まれちゃう。そこで敵の個性が描かれるのもいいんですよねー。
しんちゃんたちと、春日部防衛隊のみんなが頑張るのも好きです。これみんな五歳なんでしょ!?信じられねえ…強すぎる…。
そしてやっぱり好きなのはラストの見せ場。ぶりぶりざえもんの独壇場!キュートでセクシーなぶりぶりざえもんが最高に素敵なんです。かっこいい!


ぶりぶりざえもんをとめるために、しんちゃんが直接コンピューターに量子ダイブして時間稼ぎをする。そして、しんちゃんとぶりぶりざえもんの戦いが!!男の戦いが!!※ちんこの大きさ比べ
世界征服の準備が整ったから、さあ行くんだと命じられたぶりぶりざえもん。
「そう、わたしは恐怖の支配者。世界中の人間どもがわたしにひれ伏す!」
「ちがうよ、ぶりぶりざえもん。お前はオラの友達で、救いのヒーローなんだよ」

このしんちゃんの言葉が良い。ぶりぶりざえもんは、しんちゃんが作り出した救いのヒーロー。正義の味方ではなくて、救いのヒーローというのが良いと思う。しんちゃんの言葉選びが最高。
だが、彼はしんちゃんが言った言葉が気になっているので後回しにする。
そうして語られる『ぶりぶりざえもんの ぼうけん』。
しんちゃんがぶりぶりざえもんを生み出し、そして彼の基盤となった物語を、しんちゃんが語っていきます。やっぱりしんちゃんの言葉選びは、素敵です。最初のつかみも好き。
『おじいさんとおばあさんがあちこちにいましたが、ぶりぶりざえもんというブタは、一匹しかいませんでした』
孤独なヒーロー像を、五歳の子供がその一言で描けるってすごい。
語られる物語のなかでも、ぶりぶりざえもんがどんな性格なのかすぐに分かります。現実主義で金にがめつく、面倒ごとは避けたいタイプ。だけど、彼はこの冒険のなかで、救うことで得られる最高の宝物の存在を知るんです。
「そうか。これが…」
と、山の頂上できれいな景色を見ながら気づく。それでも彼は、もう時間がない。
消えていくぶりぶりざえもん。しんちゃんの時間稼ぎのおかげで、博士がぶりぶりざえもん…コンピューターウィルスの消去に成功したのでした。
「これからは人助けをしようと思ってたのに、もうだめらしい」
と、ぼそりと呟くぶりぶりざえもん。消えていくぶりぶりざえもんに驚愕するしんちゃん。
人のエゴで産み出し、そして消してしまう。博士はぶりぶりざえもんに「すまない」と言います。
「いいってことよ、これも人助けだ」と答えるぶりぶりざえもん。
しんちゃんと冗談を交わして、じゃあなと一言。
そうして消えてしまった、ぶりぶりざえもん。
静かに、誰にも見られずに、一筋だけ涙を流すしんちゃん。悲しすぎる別れでしょこんなの。自分が作った最高のヒーローと会えた、そうして話せた。だけど、消えてしまった。
しかししんちゃんが泣いていたのはその一瞬で、そのあとはすぐにいつものしんちゃんに戻ってるんですね。大人だなぁ。
悪の組織が基地の自爆スイッチを押したので、みんなで飛行船に乗って逃げなきゃ!という展開に。しかし上昇に間に合わず、爆発に巻き込まれようとする。
ひろしやみさえが愛してる!と泣きながら叫ぶなか、しんちゃんが叫ぶ。

助けて、ぶりぶりざえもん!

爆風の中、小さく散らばった光の粒子が集まっていって、それはひとつの形になった。
ぶりぶりざえもんが、ふわふわと走って飛行船にやってきた。背中でぐいぐいと押し上げる。押し上げる。ぐーっと上昇させる。そして、すんでのところで飛行船は空へ上がった。
ぶりぶりざえもんは、全く表情を変えずにそのまま落ちていく。爆風に消えた。
しんちゃんだけが、感じ取った、ぶりぶりざえもんの<正義>だった。<人助け>だった。

お色気と筋肉、そしてその息子。野原一家は一緒にピクニックに来ている。
「最後はだめかと思ったよ」
「不思議だったよなぁ、あれ」
「きっと上手く爆風に乗ったんだろう」
大人たちはそんな風に話している。しんちゃんは、ぶりぶりざえもんの絵を描いていた。

たまらん。
わんわん泣きます。何度見ても何度見ても、何度思い返しても泣いてしまう。
悪に利用されていたぶりぶりざえもんが、正義に目覚める。だが消えてしまう。消えなきゃいけない理由も察している。だから消えなきゃいけない。それでもクールに去っていく。ぶりぶりざえもんの生きざまがかっこよすぎる。
もし、自分の思い描いていたヒーローが同じようなことになっていたら。
もし、自分がしんちゃんと同じ立場だったら。こんな風にできるだろうか。菊弘を信じて、改心させられるだろうか。
しんちゃんは、ぶりぶりざえもんが救いのヒーローであることを疑わなかった。子供の純粋さって、すごい。それこそが、しんちゃんの強さなんでしょうね。
彼には見習うべき点がたくさんあります。野原一家に春日部防衛隊、そしてアクション仮面。みんなみんなに人としての最高な面があって、こうでありたいと常々思えます。
ほんと、いい映画に出会えたなぁー。

ぶりぶりざえもんについては、もひとつ好きなエピソードが。
声を担当している塩沢さんは不慮の事故で亡くなってしまわれてるんです。アニメのスタッフは「ぶりぶりざえもんの声は、塩沢さん以外はありえない。だからも喋らせることはない」と言ってその後ぶりぶりざえもんは登場しても、喋らなかったんですよ。悲しかったなー、当時は子供だったからそのことには気づかなかったんだけど。なんでぶりぶりざえもん、急に話さないキャラになったのかな?てゆうか登場自体減ったよなぁって。
で、大人になってからそのことを知って「そうだったのかぁ」と。
それふまえて、この映画見ちゃうと、もうね。あかんです。

だから、神谷さんが新しく声を当ててくれて、また動いている喋っているぶりぶりざえもんが見れてめちゃくちゃ嬉しかった。たしかに、私のなかでぶりぶりざえもんは塩沢さんじゃなきゃ!って私もいるけど、神谷さんが塩沢さんに寄せてくれてるのもわかるし、何せ楽しそうにしんちゃんと会話をする彼は、とても素敵。良いキャラクターですよね。
この感想を読んで興味を持った人も、見たこともあった人も、今からもう一度見て欲しいですね。
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