第一話
夢小説設定
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「さあ、着きましたよ」
ダニエルに連れられた先には、黒い屋敷だった。
庭園には紫色の蔓薔薇 が咲き誇り、屋敷の中はモノクロのタイルの床に、紫色と真紅のステンドグラスで彩られていた。
「綺麗なお屋敷…」
ミッシェルは屋敷の中をぐるりと見渡した。
すると、ダニエルがミッシェルにタオルを差し出した。
「まずは、そのみすぼらしい格好を何とかしなくてはね」
ダニエルに案内されて、ミッシェルが入った部屋。
そこは広い浴室だった。
ジャスミンのような、爽やかな香りがした。
「あ、あの…」
「ああ、着替えなら、これをどうぞ」
そう言って、ダニエルは黒いレースの付いたワンピースを、ミッシェルに渡した。
「使い勝手が分からなければ、呼んでくださいね」
ダニエルはそれだけ言い、浴室から出ていった。
ミッシェルは恐る恐る、浴槽に浸かった。
乳白色のお湯が、冷え切った体を、じんわりと温めていく。
(あの人の手…冷たかった…でも…)
ミッシェルは自分の手を見つめた。
霜焼けで赤く腫れた指が、お湯で清められていくようだった。
(初めて、手に触れたかもしれない…)
「おかえりなさい、湯加減は良かったですか?」
「は、はい…」
「おや…?浮かない顔ですね。どうしました」
もじもじしているミッシェルの顔を覗き込むダニエル。
「こんな綺麗な服…私には勿体無い…」
ボソボソと呟くミッシェルに、ダニエルは笑いながら言った。
「…ハハハ、おかしな事を言いますねぇ。綺麗な人には綺麗な物が相応しい…常識でしょう?」
小首を傾げるダニエルに、ミッシェルは首を横に振る。
「私は…綺麗なんかじゃない…醜いですよ」
ワンピースの裾を握りしめ、ミッシェルは俯いてしまう。
そんなミッシェルを見下ろし、ダニエルはため息を吐いた。
「…君のような愚かな人に出会ったのは、「久しぶり」ですよ…」
ダニエルは屈み込むと、ミッシェルの肩に触れた。
壊れ物を扱うような手付きで。
「いいですか、子猫 …人間には2つの人種が存在します。外見が美しい者と、心が美しい者…例えどんなに美しい外見でも、内面が醜ければ台無し…私はそういった人種に、何百人…何万人にも出会ってきました。その度、何度人間に失望した事か…でもね、君は違いますよ」
ダニエルはミッシェルの髪を、優しく撫でた。
「君の瞳を見れば分かります。アンドロメダ座よりも、美しく儚げな光…それは清らかな心を持っている証…間違いないです、君は美しい心の持ち主です」
次の瞬間。
ミッシェルの目から、真珠のような涙が零れ落ちた。
慌てて拭うミッシェルだったが、涙は止めどもなく流れた。
そんなミッシェルに、ダニエルはハンカチを差し出した。
「フフッ、涙も美しいですが…女性には泣き顔よりも、笑顔の方が似合いますよ」
そう言って、ダニエルはミッシェルの手を取ると、手の甲に口付けた。
「君の笑顔を、近くで見ていたい、ミッシェル…私を、君の騎士 にしてくれませんか?」
ダニエルの金色の瞳に見つめられて、ミッシェルは胸を高鳴らせた。
ダニエルの瞳は、金剛石よりも、満月よりも、美しく輝いていた。
でも、その輝きの中には、何か黒い物が見えた。
幼いミッシェルには、それが何なのか、見当がつかなかったのだが。
「…ダニエルさん…」
「ダニエルで構いませんよ」
「…ダニエル…私も、あなたのそばにいたい。ずっと…」
それを聞いたダニエルの顔に、笑みが浮かぶ。
「お望みとあらば…喜んで」
…ミッシェルは知らなかった。
この言葉が、自分の人生…そして、運命を変える「事件」を引き起こす事になるとは…。
ダニエルに連れられた先には、黒い屋敷だった。
庭園には紫色の
「綺麗なお屋敷…」
ミッシェルは屋敷の中をぐるりと見渡した。
すると、ダニエルがミッシェルにタオルを差し出した。
「まずは、そのみすぼらしい格好を何とかしなくてはね」
ダニエルに案内されて、ミッシェルが入った部屋。
そこは広い浴室だった。
ジャスミンのような、爽やかな香りがした。
「あ、あの…」
「ああ、着替えなら、これをどうぞ」
そう言って、ダニエルは黒いレースの付いたワンピースを、ミッシェルに渡した。
「使い勝手が分からなければ、呼んでくださいね」
ダニエルはそれだけ言い、浴室から出ていった。
ミッシェルは恐る恐る、浴槽に浸かった。
乳白色のお湯が、冷え切った体を、じんわりと温めていく。
(あの人の手…冷たかった…でも…)
ミッシェルは自分の手を見つめた。
霜焼けで赤く腫れた指が、お湯で清められていくようだった。
(初めて、手に触れたかもしれない…)
「おかえりなさい、湯加減は良かったですか?」
「は、はい…」
「おや…?浮かない顔ですね。どうしました」
もじもじしているミッシェルの顔を覗き込むダニエル。
「こんな綺麗な服…私には勿体無い…」
ボソボソと呟くミッシェルに、ダニエルは笑いながら言った。
「…ハハハ、おかしな事を言いますねぇ。綺麗な人には綺麗な物が相応しい…常識でしょう?」
小首を傾げるダニエルに、ミッシェルは首を横に振る。
「私は…綺麗なんかじゃない…醜いですよ」
ワンピースの裾を握りしめ、ミッシェルは俯いてしまう。
そんなミッシェルを見下ろし、ダニエルはため息を吐いた。
「…君のような愚かな人に出会ったのは、「久しぶり」ですよ…」
ダニエルは屈み込むと、ミッシェルの肩に触れた。
壊れ物を扱うような手付きで。
「いいですか、
ダニエルはミッシェルの髪を、優しく撫でた。
「君の瞳を見れば分かります。アンドロメダ座よりも、美しく儚げな光…それは清らかな心を持っている証…間違いないです、君は美しい心の持ち主です」
次の瞬間。
ミッシェルの目から、真珠のような涙が零れ落ちた。
慌てて拭うミッシェルだったが、涙は止めどもなく流れた。
そんなミッシェルに、ダニエルはハンカチを差し出した。
「フフッ、涙も美しいですが…女性には泣き顔よりも、笑顔の方が似合いますよ」
そう言って、ダニエルはミッシェルの手を取ると、手の甲に口付けた。
「君の笑顔を、近くで見ていたい、ミッシェル…私を、君の
ダニエルの金色の瞳に見つめられて、ミッシェルは胸を高鳴らせた。
ダニエルの瞳は、金剛石よりも、満月よりも、美しく輝いていた。
でも、その輝きの中には、何か黒い物が見えた。
幼いミッシェルには、それが何なのか、見当がつかなかったのだが。
「…ダニエルさん…」
「ダニエルで構いませんよ」
「…ダニエル…私も、あなたのそばにいたい。ずっと…」
それを聞いたダニエルの顔に、笑みが浮かぶ。
「お望みとあらば…喜んで」
…ミッシェルは知らなかった。
この言葉が、自分の人生…そして、運命を変える「事件」を引き起こす事になるとは…。
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