後日。
早速肉じゃがを作った名無し。ラファエロに食べてもらう為に試食に呼んだ。

「どうかな...？」

ラファエロの手が止まる。

「なぁ、ちゃんと教えた通りに作ったか？」
「...えっ」
「はぁ...作ってねぇってか？お前のは味がねえっていうか、土台がねぇ」
「土台...？」
「醤油の味しかしねぇんだよ」

目が熱くなるのがわかった。認めて貰おうとしたのにズタボロに言われたから。教わった通り作ったのに味がないって言われたから。認められなかったから...。

泣き顔を見られたくなくて、名無しは走って自分の寝床に戻った。


「ぅっ...ええんっ...っ...」
ちゃんと作ったのに...ちゃんと作ったのに...！
何がダメだったの...？醤油？
改善点を聞きそびれた...逃げてきちゃったから...

名無しはベットに顔を埋めて涙を流した。
そんな時に誰かが寝床に入ってくる。

「名無し？キッチンから良い匂いがしてき...！？名無し！？」

ドナテロだ。
こんな泣き顔の恥ずかしい姿誰にも見られたくなかったのに、よりによって推しのドナテロが来てしまった。

なんでこんな時に...

ドナテロは片膝を床に付いて、ベッドに顔を埋めている名無しの頭や背中を撫でた。
「大丈夫？僕で良ければ話し聞こうか？」

ドニー...
何でこんなに優しいんだ...こんな時に優しくされると心地いい...

名無しはグシャグシャになった顔を上げた。
その時に見えたドナテロの顔は優しく微笑んでいて心がキュッと飛び跳ねる。

「あのね...」

ドナテロに、ラファエロが教えてくれた料理の事、作っても味が違うと言われた事を話した。


「ラファは料理が得意だから味の見分けも付けられると思うんだ
　例えば水が多いのに教わった醤油の量で味付けてたとか、いりこダシの量が足りないとか、入れた野菜か肉の量が少なくて旨味が足りないとか」

どれも的確なアドバイス。流石ドニー！
「全部試してみたらラファが教えてくれた肉じゃがになるかなぁ？」
「う〜ん、何とも言えないけど試すのはありかもね」
「やってみる！ドニーありがとう！！」
「元気出たみたいで良かった、応援してるね」
そう言うとドナテロはその大きな手で名無しの肩を包み込み軽くポンポンと叩いた。