いりこだしを入れ、酒とみりんを入れると醤油は少しにしろとラファエロに言われ、ちょっとだけ入れた。

「ここで蓋をして中火で15分だ
　そのくらいで野菜が丁度良く柔らかくなるからな」


ラファエロの言う通りに蓋をして中火で15分が経った。

火の通りが遅い人参とじゃがいもが柔らかくなってる！

名無しが小皿に汁を少し掬い流し味見をしてみると、それはそれはただのダシの味がした。

「味薄いだろ？」
「ごめん、先に味見しちゃった」
「料理に味見は大切だ
　謝る事じねぇよ
　ところでどうだ？薄かったか？」

　そう言ってラファエロは白滝を用意した。
袋から出して、水洗いし、食べるのに丁度良い長さにカットして...
手慣れた作業で鍋に入れ中火。
「今の煮込んでたのは汁に味をつけてたんじゃなくて野菜に味を付けたんだ
　柔らかくする目的も含めてな
　そしてこれから白滝を入れて少し煮込む」

2分から3分程煮込んだ。
蓋を開けて、ラファエロは醤油とティースプーンを手に持って深呼吸をする。

「いいか、これから汁に味付けをする
　これが1番の難関だから注意しろ
　醤油を入れるんだが、量には絶対気を付けるんだ」
ラファエロはティースプーン半分程の醤油を鍋に回し入れ味見をしてはまたスプーンに今度は半分の量の醤油を注いだ。
丁度良い濃さになるまで少しずつ少なくしていって調整する

「これだ
　名無しも味見してみろ」
ラファエロが味見していた小皿に汁を少し注ぎ名無しに手渡した。

間接キス...？

何度も口付けた小皿を自然に渡してくるラファエロに違和感を抱きながらも、名無しはその小皿で味見をした。

「美味しい」
「だろ？」
ラファエロの顔を見ればニヤケ顔。
「まぁ、これを名無しのレパートリーの中に入れて作れるようになって欲しいって訳だ
　出来るか？」
「練習が必要だと思うけどやってみる！」
「作ったら持って来いよ」
フッ、と微笑むラファエロを見て期待を裏切らないようにしなきゃと思った名無しだった。