奔星ノ在リ処
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とある日空港にて、ディーノは部下と獄寺を待っていた。
表向きは昇進する獄寺の送迎だが、どこにも属さず問題行動の多い過去の所業をボンゴレ9代目は危惧し秘密裏にディーノに依頼をしていた。もし昇進話に乗り綱吉の傍を離れるような事があれば始末するように、と。
ディーノは懐の銃の重さを確認する。常より軽いそれにこれから起こるであろう事がどちらに転がるか分からないが、最悪なことにはならなければいいと思う。全く嫌な仕事だと少し足を組み替えると、部下が前方からの人影を確認した。
「来ました。」
「ん…って、山本?!それに、昴も?!」
「獄寺からイタリア旅行に連れてってくれるって聞いたんで来ました!」
そこに現れたのは予想外の人物達。旅行鞄を携えた山本と小さなハンドバッグを持った昴だった。
慌てて山本達の傍に寄ると疑問を口にする。
「獄寺はどうした。」
「行かねーって伝えてくれって。」
「そっか…。」
山本の言葉を聞いてほっと胸を撫で下ろす。いつの間にか現れたリボーンが、そんなディーノの様子に良かったなと言葉をかけた。まぁもし来たなら海外へと逃がすつもりではあったが…、と用済みとなった懐の銃、水鉄砲を片付ける。誰にとっても良い結末になって良かった。安堵から笑みを零したディーノはそのまま昴にも顔を向ける。
「よぉ昴。」
「ごきげんよう木馬君。」
「跳ね馬な。跳ね馬ディーノ。」
「イタリアに少し用があるの。ご一緒いいかしら。」
「聞いちゃいねぇな…。」
相変わらずのマイペースぶりに苦笑する。まぁ丁度いいか。久しぶりに会ったが変わらない昴の言動に若干の楽しさを感じつつ、ディーノは合わない特徴的な瞳を見つめた。
「まさかこんな早く再開するとは思わなかった。イタリアに着いたら花を送っても?」
「そうね…。ならヒナギクがいいわ。」
ヒナギク、デイジーか。イタリアの国花で小さく可愛らしい花だ。色の種類も豊富で今の時期ならイタリアの至る所で開花しており、花畑も満開だろう。それを知ってか知らずかは分からないが、随分と可憐な花を選んだものだとディーノは思った。
「可愛らしい花を選ぶな。好きなのか?」
「いいえ。ただ、私に相応しいでしょう?」
昴の不敵な笑みにそう言えば花言葉に『美人』があったのを思い出した。
今回のイタリア旅行は2泊3日となった。片道12時間以上かかるため中々長期の旅行となるが、山本は学校に関しては父の楽しんでこいと言う言葉と共に休みを取ることにしたのだった。
人生初めての海外旅行に期待が隠せない山本は、キャバッローネ所有の個人ジェットをキラキラとした目で見ている。タラップを上りきると、中は白を基調としブラウンを端色に使われたシックな色合いで、高級感のあるレザーの座席の裏は下の方が少しだけツートンカラーになっておりデザインセンスの高さを感じた。
「いいブランドをお選びになったのね。」
すげー!とはしゃぐ山本の隣で昴は座席の背を撫でる。そこにはキャバッローネとブランドのロゴマークが描かれていた。
「お眼鏡にかなって光栄だ。ワインもあるぜ。呑むか?」
「2人とも未成年だぜ、ボス…。」
ウキウキでグラスを出そうとしたディーノを呆れたようにロマーリオが止め、変わりの物を用意された。
各々好きなように飲み食いしていると定刻時間、問題なく機体は地面から浮き上がる。窓の外を流れる雲を見ながら山本とロマーリオが何やら楽しげに話しているのを尻目にウィスキーを飲んでいたディーノは、1人黙々と読書をしている昴に声をかけた。
「何読んでんだ?」
座席の背後から見下ろすディーノに淡麗な顔が向けられる。ほんと、綺麗な顔だよなぁ…。改めて感心していると、その無機質な瞳が鏡のように微笑むディーノの顔を映した。
「Spiral。」
「…良い趣味で。」
思わず引きつった笑顔を浮かべたディーノに煌めく星空が弓なりになった。
◇
何事もなく無事イタリアへ到着すると、ディーノはまず自分達が住むキャバッローネのアジトへと招いた。まるでテレビに出てくる城のような外観に思わず大声をあげた山本。それに気をよくしたディーノは、2人を引き連れ自身がよく行く店へと繰り出した。
昼時から少しズレた時間だったため難なく席を確保出来た3人は、そのままディーノのおすすめのカルボナーラを食べた。
「コロッセオとか真実の口はどうだ。トレビの泉も近いしな。」
「行きたいっす!」
食事も終わり一服していたディーノは山本に観光名所を説明していた。初めてのイタリアなら変にマニアックなところより王道がいいだろう。乗り気な山本に笑いながらディーノは昴にも声をかけた。
「昴は他に行きたい場所あるか?」
「私はフィレンツェに用があるから。」
「フィレンツェ?」
「薬局よ。香水が切れたの。」
昴の言葉に頭の中で地図を広げる。多分言っているのはあの薬局のことだろう。ここからだと遠いな。明日の予定にでも組み込もうとしていると、山本がはてと首を傾げた。
「イタリア来たことあるんすか?」
「えぇ。」
「へー!昴さんって、もしかして金持ち?」
「さぁ。」
そう言って昴はナフキンで口を吹く。答える気はなさそうだった。山本もそれ以上聞くことはなかったが、その言葉でディーノの頭には昴に関する調査資料が反芻し始めた。
昴の家は日本国内のみならず国際的にも名の知れたIT産業の恒印グループだ。金融インフラを主にしながら手広く事業を広げ、ここが開発した決済サービスは世界シェアランキングの上位でもある。
跡継ぎは上の2人の兄のどちらからしいが、昴も正真正銘の令嬢。金持ちは金持ちでも富豪の部類なんだよなぁ、とディーノは脳内の資料を閉じた。
「ご馳走様。じゃ、帰国する時にまた会いましょ。」
「は?あ、おい!」
考えていたせいか初動が遅れた。テーブルにお金を置いて颯爽と立ち上がった昴はディーノの静止も聞かず去って行く。
ホテルはもう取ってあるし、荷物は現地で買う派だ。跡をつけてくる人間は目障りだが、飛行機を出してもらった手前許そう。昴はそう思いながら軽やかに目的地へと向かって行った。
表向きは昇進する獄寺の送迎だが、どこにも属さず問題行動の多い過去の所業をボンゴレ9代目は危惧し秘密裏にディーノに依頼をしていた。もし昇進話に乗り綱吉の傍を離れるような事があれば始末するように、と。
ディーノは懐の銃の重さを確認する。常より軽いそれにこれから起こるであろう事がどちらに転がるか分からないが、最悪なことにはならなければいいと思う。全く嫌な仕事だと少し足を組み替えると、部下が前方からの人影を確認した。
「来ました。」
「ん…って、山本?!それに、昴も?!」
「獄寺からイタリア旅行に連れてってくれるって聞いたんで来ました!」
そこに現れたのは予想外の人物達。旅行鞄を携えた山本と小さなハンドバッグを持った昴だった。
慌てて山本達の傍に寄ると疑問を口にする。
「獄寺はどうした。」
「行かねーって伝えてくれって。」
「そっか…。」
山本の言葉を聞いてほっと胸を撫で下ろす。いつの間にか現れたリボーンが、そんなディーノの様子に良かったなと言葉をかけた。まぁもし来たなら海外へと逃がすつもりではあったが…、と用済みとなった懐の銃、水鉄砲を片付ける。誰にとっても良い結末になって良かった。安堵から笑みを零したディーノはそのまま昴にも顔を向ける。
「よぉ昴。」
「ごきげんよう木馬君。」
「跳ね馬な。跳ね馬ディーノ。」
「イタリアに少し用があるの。ご一緒いいかしら。」
「聞いちゃいねぇな…。」
相変わらずのマイペースぶりに苦笑する。まぁ丁度いいか。久しぶりに会ったが変わらない昴の言動に若干の楽しさを感じつつ、ディーノは合わない特徴的な瞳を見つめた。
「まさかこんな早く再開するとは思わなかった。イタリアに着いたら花を送っても?」
「そうね…。ならヒナギクがいいわ。」
ヒナギク、デイジーか。イタリアの国花で小さく可愛らしい花だ。色の種類も豊富で今の時期ならイタリアの至る所で開花しており、花畑も満開だろう。それを知ってか知らずかは分からないが、随分と可憐な花を選んだものだとディーノは思った。
「可愛らしい花を選ぶな。好きなのか?」
「いいえ。ただ、私に相応しいでしょう?」
昴の不敵な笑みにそう言えば花言葉に『美人』があったのを思い出した。
今回のイタリア旅行は2泊3日となった。片道12時間以上かかるため中々長期の旅行となるが、山本は学校に関しては父の楽しんでこいと言う言葉と共に休みを取ることにしたのだった。
人生初めての海外旅行に期待が隠せない山本は、キャバッローネ所有の個人ジェットをキラキラとした目で見ている。タラップを上りきると、中は白を基調としブラウンを端色に使われたシックな色合いで、高級感のあるレザーの座席の裏は下の方が少しだけツートンカラーになっておりデザインセンスの高さを感じた。
「いいブランドをお選びになったのね。」
すげー!とはしゃぐ山本の隣で昴は座席の背を撫でる。そこにはキャバッローネとブランドのロゴマークが描かれていた。
「お眼鏡にかなって光栄だ。ワインもあるぜ。呑むか?」
「2人とも未成年だぜ、ボス…。」
ウキウキでグラスを出そうとしたディーノを呆れたようにロマーリオが止め、変わりの物を用意された。
各々好きなように飲み食いしていると定刻時間、問題なく機体は地面から浮き上がる。窓の外を流れる雲を見ながら山本とロマーリオが何やら楽しげに話しているのを尻目にウィスキーを飲んでいたディーノは、1人黙々と読書をしている昴に声をかけた。
「何読んでんだ?」
座席の背後から見下ろすディーノに淡麗な顔が向けられる。ほんと、綺麗な顔だよなぁ…。改めて感心していると、その無機質な瞳が鏡のように微笑むディーノの顔を映した。
「Spiral。」
「…良い趣味で。」
思わず引きつった笑顔を浮かべたディーノに煌めく星空が弓なりになった。
◇
何事もなく無事イタリアへ到着すると、ディーノはまず自分達が住むキャバッローネのアジトへと招いた。まるでテレビに出てくる城のような外観に思わず大声をあげた山本。それに気をよくしたディーノは、2人を引き連れ自身がよく行く店へと繰り出した。
昼時から少しズレた時間だったため難なく席を確保出来た3人は、そのままディーノのおすすめのカルボナーラを食べた。
「コロッセオとか真実の口はどうだ。トレビの泉も近いしな。」
「行きたいっす!」
食事も終わり一服していたディーノは山本に観光名所を説明していた。初めてのイタリアなら変にマニアックなところより王道がいいだろう。乗り気な山本に笑いながらディーノは昴にも声をかけた。
「昴は他に行きたい場所あるか?」
「私はフィレンツェに用があるから。」
「フィレンツェ?」
「薬局よ。香水が切れたの。」
昴の言葉に頭の中で地図を広げる。多分言っているのはあの薬局のことだろう。ここからだと遠いな。明日の予定にでも組み込もうとしていると、山本がはてと首を傾げた。
「イタリア来たことあるんすか?」
「えぇ。」
「へー!昴さんって、もしかして金持ち?」
「さぁ。」
そう言って昴はナフキンで口を吹く。答える気はなさそうだった。山本もそれ以上聞くことはなかったが、その言葉でディーノの頭には昴に関する調査資料が反芻し始めた。
昴の家は日本国内のみならず国際的にも名の知れたIT産業の恒印グループだ。金融インフラを主にしながら手広く事業を広げ、ここが開発した決済サービスは世界シェアランキングの上位でもある。
跡継ぎは上の2人の兄のどちらからしいが、昴も正真正銘の令嬢。金持ちは金持ちでも富豪の部類なんだよなぁ、とディーノは脳内の資料を閉じた。
「ご馳走様。じゃ、帰国する時にまた会いましょ。」
「は?あ、おい!」
考えていたせいか初動が遅れた。テーブルにお金を置いて颯爽と立ち上がった昴はディーノの静止も聞かず去って行く。
ホテルはもう取ってあるし、荷物は現地で買う派だ。跡をつけてくる人間は目障りだが、飛行機を出してもらった手前許そう。昴はそう思いながら軽やかに目的地へと向かって行った。
