奔星ノ在リ処
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体育祭から数日経ち怪我も癒えた頃、綱吉はリボーンの紹介でとある男に会った。
その名も跳ね馬ディーノ。リボーンが所属するボンゴレファミリーと同盟を組むキャバッローネファミリーのボスであった。ブロンドの髪に爽やかな顔立ち。一見優男に見えるが仲間思いで中身は熱い。普段マフィアに否定的な綱吉も、そんなディーノには好印象を抱いた。
まぁ部下がいないと能力が発揮出来ないというマイナス面はあるが、それでも気のいい兄貴分に綱吉は満更でもない気持ちになっていた。
「桃巨会ってのは本当にこの町に実在するヤクザなんだぞ。」
昨晩、ディーノのペットの亀であるエンツィオが暴れたことにより寝坊してしまった綱吉は、迎えに来ていた山本と獄寺と登校しようとした際またもや面倒事に巻き込まれたのだった。
ファミリーの絆を試すためと、ディーノとリボーンが結託した作戦にリボーンが手、いや言葉を加えてしまい山本と獄寺は実在するヤクザの事務所へと向かってしまった。慌てる綱吉と、やや諦めの入ったディーノはあれよあれよと2人だけで助けに行くことになってしまった。
不安だ。とてつもなく不安だ…。
前を歩くモッズコートに胃をキリキリさせていた綱吉はコートの端から見えたその姿に、思わず声が漏れた。
「あっ…。」
前方から歩いて来たのは、最近綱吉と関わりのできた昴だった。体育祭で結局会わなかったが、いつも通りシワひとつない服はここらで有名な女学院の制服らしいと山本に聞いた。そんな彼女がカツカツと踵を小気味好く鳴らし、綱吉達に気づくと眉を少し上げ立ち止まった。
「あら、ごきげんよう。」
「あ、えっと、おはようございます。」
思ったより普通だった。いや、別に昴さんに何かされたわけじゃないんだけど…。と綱吉がやや居心地悪くしていると、それを感じ取ったのかディーノが少し前に出た。
「チャオ、オレはディーノ。ツナの友達にこんなベッラがいるなんてな。花でも持ってくるんだった。」
「次に会う口実が出来て良かったわね。」
「ははっ。聞いてた以上だな。」
愉快そうに笑うディーノに、しかし昴は特に気にした様子もなく後ろにいた綱吉に焦点を当てた。特徴的な瞳がキラキラと輝く。いつも通りのそれに、綱吉は何故か違和感を感じた。あれ…、なんか…?内心首をかしげるが、何がどう違うのか気づくよりも先に少し愉快そうな顔をしたディーノが口を開いた。
「お前もツナのファミリーなんだろ?どうだ、今から他のファミリー助けに行かねーか。」
「ディーノさん?!」
唐突な発言に思わず綱吉は叫んだ。いきなり何故?と言うか昴さんがファミリーなの確定?!
色々言いたいことはあるが、それよりも短い経験からまたどんな強烈な断り文句が飛び出るのか、綱吉は戦々恐々とする。はやく訂正せねばと慌てていると、意外にも昴はゆったりと口元を緩めた。
「いいわよ。行ってあげる。」
「え?!」
「はやく案内して。」
「いや、でもっ!」
「そんな心配そうにすんなって。オレがいるから大丈夫だよ。」
そう言って機嫌よく肩を組んでくるディーノ。困惑しながらもチラリ、と昴を見るとまだその瞳は綱吉を捉えていた。値踏みされているような、品定めされているような。良い感情ではないのは確かだが、それでもあの無機質さを知っている身としては不思議なほど感情の起伏が見て取れる星空に、何だかむず痒かった。
◇
程なくして辿り着いた桃巨会の事務所には山本の鞄が置いてあり、それが2人が乗り込んだ証拠となって綱吉を不安にさせた。もし怪我をしていたら…。恐ろしい想像に顔から血の気が引いていく。恐怖を感じながらも嫌な考えを振り払った綱吉は、前を行くディーノに続いて事務所へと乗り込んだ。
「吐けよコラ!」
「居場所教えてくれねーか?」
そこには綱吉が想像したような光景はなかった。
自分達より遥かに歳上の胸ぐらを掴み、傷一つ着くことなく綱吉の居場所を聞く山本と獄寺に綱吉は目を見開いた。ヤクザを、圧倒してる…!
笑いながらこちらに向かってくる2人に綱吉はニヤける頬が抑えられない。ディーノに褒められたのもそうだが、こんな凄い2人が友達なのが今更ながら誇らしくなった。
「なんでお前がいるんだよ。」
綱吉の無事を安堵していた獄寺はその後ろに見た人物に、一気に眉を寄せる。そうだった!と綱吉も後ろを見ると昴は特に気にした様子もなく当たりを見回していた。それに無視されたと思った獄寺が更に詰め寄ろうとするも、既のところで山本とディーノに止められる。
釈然としない顔のまま舌を打つ獄寺に苦笑しもう帰ろうと声をかけようとした瞬間、低く唸るような声と共に奥から大柄な男達が現れた。
「のヤロー次から次へと…。」
「おい待て。さっき倒した若い衆とはわけが違うぜ。」
今にも飛び出そうな獄寺を制したディーノは、そのまま男達に話しかける。治療費、修理費、全て払う代わりにこの場は手を打てと。そう言い切る堂々とした姿はまさしくマフィアのボスであった。
しかしここまで面目を潰されたヤクザがその言葉に頷くわけがなく、各々が綱吉達に武器を向ける。
「交渉決裂か。じゃあ力ずくで帰るしかねーよな。」
下卑た笑い声をあげる男達にディーノも己の獲物を構える。弟分とその友人を守るため、勢いよく鞭を振り上げた。
が、しかし、
「うがっ!!」
「わ!!」
「だっ!!」
ディーノの奮った鞭は見事、獄寺、山本、ディーノ自身の顔に直撃した。真ん中に立っていた綱吉と軽く交わした昴は無事だが、周りの男達はその姿にゲラゲラと笑い声を上げる。そうだった、ディーノさん部下の前じゃないと運動音痴だった!昨晩の惨状を思い出し綱吉は頭を抱えたが、男達は止まらない。好機だとばかりに襲いかかってくる大きな影に悲鳴を上げた瞬間、バリンと窓ガラスが割れ綱吉の額に炎が灯った。
「復活!!死ぬ気でヤクザを倒ーす!!」
追加弾も撃たれ何倍にも大きくなった両拳で男達をどんどんと倒して行く綱吉。そこに復活した山本と獄寺も加わり、部下が駆けつけ力の戻ったディーノも猛威を振るう。一気に逆転した形勢と追い詰められていく現状に、男達の醜い悲鳴が上がる。
「…なるほど?」
騒然とする端で昴は、悲惨になっていく現状を見つめながら何かに納得したように意味ありげに微笑んでいた。
その名も跳ね馬ディーノ。リボーンが所属するボンゴレファミリーと同盟を組むキャバッローネファミリーのボスであった。ブロンドの髪に爽やかな顔立ち。一見優男に見えるが仲間思いで中身は熱い。普段マフィアに否定的な綱吉も、そんなディーノには好印象を抱いた。
まぁ部下がいないと能力が発揮出来ないというマイナス面はあるが、それでも気のいい兄貴分に綱吉は満更でもない気持ちになっていた。
「桃巨会ってのは本当にこの町に実在するヤクザなんだぞ。」
昨晩、ディーノのペットの亀であるエンツィオが暴れたことにより寝坊してしまった綱吉は、迎えに来ていた山本と獄寺と登校しようとした際またもや面倒事に巻き込まれたのだった。
ファミリーの絆を試すためと、ディーノとリボーンが結託した作戦にリボーンが手、いや言葉を加えてしまい山本と獄寺は実在するヤクザの事務所へと向かってしまった。慌てる綱吉と、やや諦めの入ったディーノはあれよあれよと2人だけで助けに行くことになってしまった。
不安だ。とてつもなく不安だ…。
前を歩くモッズコートに胃をキリキリさせていた綱吉はコートの端から見えたその姿に、思わず声が漏れた。
「あっ…。」
前方から歩いて来たのは、最近綱吉と関わりのできた昴だった。体育祭で結局会わなかったが、いつも通りシワひとつない服はここらで有名な女学院の制服らしいと山本に聞いた。そんな彼女がカツカツと踵を小気味好く鳴らし、綱吉達に気づくと眉を少し上げ立ち止まった。
「あら、ごきげんよう。」
「あ、えっと、おはようございます。」
思ったより普通だった。いや、別に昴さんに何かされたわけじゃないんだけど…。と綱吉がやや居心地悪くしていると、それを感じ取ったのかディーノが少し前に出た。
「チャオ、オレはディーノ。ツナの友達にこんなベッラがいるなんてな。花でも持ってくるんだった。」
「次に会う口実が出来て良かったわね。」
「ははっ。聞いてた以上だな。」
愉快そうに笑うディーノに、しかし昴は特に気にした様子もなく後ろにいた綱吉に焦点を当てた。特徴的な瞳がキラキラと輝く。いつも通りのそれに、綱吉は何故か違和感を感じた。あれ…、なんか…?内心首をかしげるが、何がどう違うのか気づくよりも先に少し愉快そうな顔をしたディーノが口を開いた。
「お前もツナのファミリーなんだろ?どうだ、今から他のファミリー助けに行かねーか。」
「ディーノさん?!」
唐突な発言に思わず綱吉は叫んだ。いきなり何故?と言うか昴さんがファミリーなの確定?!
色々言いたいことはあるが、それよりも短い経験からまたどんな強烈な断り文句が飛び出るのか、綱吉は戦々恐々とする。はやく訂正せねばと慌てていると、意外にも昴はゆったりと口元を緩めた。
「いいわよ。行ってあげる。」
「え?!」
「はやく案内して。」
「いや、でもっ!」
「そんな心配そうにすんなって。オレがいるから大丈夫だよ。」
そう言って機嫌よく肩を組んでくるディーノ。困惑しながらもチラリ、と昴を見るとまだその瞳は綱吉を捉えていた。値踏みされているような、品定めされているような。良い感情ではないのは確かだが、それでもあの無機質さを知っている身としては不思議なほど感情の起伏が見て取れる星空に、何だかむず痒かった。
◇
程なくして辿り着いた桃巨会の事務所には山本の鞄が置いてあり、それが2人が乗り込んだ証拠となって綱吉を不安にさせた。もし怪我をしていたら…。恐ろしい想像に顔から血の気が引いていく。恐怖を感じながらも嫌な考えを振り払った綱吉は、前を行くディーノに続いて事務所へと乗り込んだ。
「吐けよコラ!」
「居場所教えてくれねーか?」
そこには綱吉が想像したような光景はなかった。
自分達より遥かに歳上の胸ぐらを掴み、傷一つ着くことなく綱吉の居場所を聞く山本と獄寺に綱吉は目を見開いた。ヤクザを、圧倒してる…!
笑いながらこちらに向かってくる2人に綱吉はニヤける頬が抑えられない。ディーノに褒められたのもそうだが、こんな凄い2人が友達なのが今更ながら誇らしくなった。
「なんでお前がいるんだよ。」
綱吉の無事を安堵していた獄寺はその後ろに見た人物に、一気に眉を寄せる。そうだった!と綱吉も後ろを見ると昴は特に気にした様子もなく当たりを見回していた。それに無視されたと思った獄寺が更に詰め寄ろうとするも、既のところで山本とディーノに止められる。
釈然としない顔のまま舌を打つ獄寺に苦笑しもう帰ろうと声をかけようとした瞬間、低く唸るような声と共に奥から大柄な男達が現れた。
「のヤロー次から次へと…。」
「おい待て。さっき倒した若い衆とはわけが違うぜ。」
今にも飛び出そうな獄寺を制したディーノは、そのまま男達に話しかける。治療費、修理費、全て払う代わりにこの場は手を打てと。そう言い切る堂々とした姿はまさしくマフィアのボスであった。
しかしここまで面目を潰されたヤクザがその言葉に頷くわけがなく、各々が綱吉達に武器を向ける。
「交渉決裂か。じゃあ力ずくで帰るしかねーよな。」
下卑た笑い声をあげる男達にディーノも己の獲物を構える。弟分とその友人を守るため、勢いよく鞭を振り上げた。
が、しかし、
「うがっ!!」
「わ!!」
「だっ!!」
ディーノの奮った鞭は見事、獄寺、山本、ディーノ自身の顔に直撃した。真ん中に立っていた綱吉と軽く交わした昴は無事だが、周りの男達はその姿にゲラゲラと笑い声を上げる。そうだった、ディーノさん部下の前じゃないと運動音痴だった!昨晩の惨状を思い出し綱吉は頭を抱えたが、男達は止まらない。好機だとばかりに襲いかかってくる大きな影に悲鳴を上げた瞬間、バリンと窓ガラスが割れ綱吉の額に炎が灯った。
「復活!!死ぬ気でヤクザを倒ーす!!」
追加弾も撃たれ何倍にも大きくなった両拳で男達をどんどんと倒して行く綱吉。そこに復活した山本と獄寺も加わり、部下が駆けつけ力の戻ったディーノも猛威を振るう。一気に逆転した形勢と追い詰められていく現状に、男達の醜い悲鳴が上がる。
「…なるほど?」
騒然とする端で昴は、悲惨になっていく現状を見つめながら何かに納得したように意味ありげに微笑んでいた。
