奔星ノ在リ処
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「何てこと言うんだよリボーン!」
あの後昴はこれから楽しみにしているわ、と言い帰って行った。何も期待していないと挑発的に笑う顔を残して。
「だって面白そうだったんだもん。」
「もん、じゃないよ!うわぁぁ絶対変な奴だと思われたよ!」
「変なのは昴も一緒だぞ。」
「確かに…。っじゃなくて!一般人を巻き込むなって言いたいんだよオレは!!」
ダメだ、話が通じない。怒りも通り越して綱吉は肩を落とすしかなかった。
それに…、と綱吉は先程のことを思い出す。昴も昴でマフィアやファミリーの話を全く疑ってなかった。それどころか中々な問題発言をしていた。確か、私は選ばれて当然とか釣り合わなきゃとか何とか…。
「昴さん、本当にマフィアとか信じてるのかな…。もしかしてからかってるだけとか?」
真意が掴めず首を傾げる綱吉。確かに昴は美人だ。淑やかな美貌と鈴を転がしたような声音。そして脳裏に焼き付く星屑の瞳。今まで生きてきた中で綱吉はあそこまで綺麗な人を見たことがない。ただ…。
不気味、なんだよな…。まるで人形のようで。
「ただいまー。」
「ランボさんも帰ったぞー!」
はっ、と意識が戻る。いつの間にか深く考え込んでいたらしい綱吉は、買い物から帰ってきた奈々と公園から帰ってきたランボ達の声で思考が切れた。バタバタと慌ただしい足音が洗面所へと駆けていく。騒がしく落ち着きのない光景だがいつも通りの日常が戻ってきたと、綱吉は無意識に止めていた息を吐いた。
そんな様子をリボーンはただただ見つめていた。
◇
あれから数日。綱吉は主にリボーンが起こすトラブルのせいで昴の事が記憶から薄くなり、体育祭の総大将に選ばれてしまった事によって完全に忘れてしまった。
「わりーツナ!倒れるぞ!!」
「えぇ?!」
山本の叫び声と共に傾く身体。水中に勢いよく倒れた棒と綱吉のせいで水しぶきが盛大に上がった。
明日のため河川敷で棒倒しの練習していた綱吉達は、案の定失敗に終わっていた。コスプレしたリボーンにやる気が空回っている先輩の笹川了平、そんな了平と相性の悪い獄寺。喧嘩が始まるのは必然で必死に山本が間に入っていた。
ガタガタと水の中で震える綱吉は焦りと不安で顔色を無くす。こんなので明日どうすんだ…。いっそ体育祭なんて無くなればいいのにと涙が出そうになった時、記憶の奥にあった声が聞こえた。
「楽しそうね。」
柔らかいのに感情の乗らない冷たい声音。はっとして綱吉は顔を上げた。ガードレールの向こう側、そこからこちらを見下ろしていたのは昴だった。
「昴さん?!」
河川敷に響く声に反応することなくガードレールを飛び越えた昴は、重量を感じさせない優雅な仕草で綱吉達の所に降り立った。
突然現れた見知らぬ少女に暴れていた面々は動きを止める。美しい容姿もさることながら纏う独特の雰囲気に周りは圧倒されていた。しかしそんなこと気にもしない昴は真っ直ぐリボーンの前まで来ると柔らかく口元を引いた。
「ごきげんよう。可愛らしい格好ね、リボーン君。」
「オレはタイの長老パオパオ師匠だぞ。」
「あら。」
成りきっているリボーンが面白いのかクスクスと笑う昴に、はっと意識を戻した獄寺が詰め寄る。
「てめー誰だ。」
ドスの効いた声で睨む獄寺に慌てて綱吉は川から立ち上がった。が、特に怖がる素振りもなく、昴は獄寺の姿を一瞥すると息を吐いた。
「躾のなってない犬ね。」
「あぁ?!」
「ちょっ!落ち着け獄寺!えっと…、ツナの知り合い、っすか?」
「違うわ。」
即答…。暴れる獄寺を止めていた山本とその隣に来た綱吉は少し顔を引き攣らせた。美人の一刀両断は心臓に悪い。濡れた身体を小刻みに震わせながらそう思った綱吉に、昴の瞳のピントが合わさる。相変わらず綺麗で、温かみのないそれにビクッと肩が跳ねた。
「貴方いつも下着姿ね。趣味?」
「違います!」
あらぬ誤解が生まれそうになり咄嗟に声を張り上げた。ただそう思われても今の姿なら仕方ないかもしれないと、綱吉は身体を小さくする。勘違いもそうだが女子に裸体を見られるという状況に今更ながら恥辱が芽生えた。
「なんだ!沢田の友人か!てっきりオレ達の特訓に混ざりたいのかと思ったぞ!」
空気を割く大声に全員がそちらを向いた。獄寺のダイナマイトの爆風から復活したらしい了平が、豪快に笑いながら近づいてくる。所々汚れているが大した怪我はないようだった。
「ならお前も明日並盛の体育祭に来るんだな?」
「んな!お兄さん何言ってるんですか?!」
何がなら、なのか。繋がりは分からないがとんでもない提案をしているのは事実なので綱吉は慌てて了平を止める。昴に対して嫌な予感が絶えない綱吉は、あまり皆と関わって欲しくなかった。まぁ昴が来るわけないのは分かりきっているのだが…、と思っていたが意外にも昴は肯定の意を示した。
「構わないわよ。」
「え?!」
「それじゃまた明日。ごきげんよう。」
ひらりと手を振り去っていく昴に、サボれない理由が増えたことを悟った綱吉はその場で蹲ってしまうのだった。
◇
イレギュラーは起きたが何とか閉会式まで終わり、並盛中学の体育祭は終了した。
応接室で1人校庭の後片付け眺めていた雲雀恭弥は軽くノックされた扉に入室の許可を出す。草壁か、風紀委員の誰かだろうと思っていたが、現れたのは意外な人物だった。
「ごきげんよう、恭弥君。」
「昴…。」
勝手知ったるように応接室内を歩き雲雀の傍まで来た昴は、同じく校庭を見下ろす。
「意外だったわ。貴方も参加したりするのね。」
「相手の総大将の知り合いに用があったんだ。」
そう言って雲雀が顎で指したのは昴も見知った茶髪の男子と赤ん坊。綱吉とリボーンだった。
「前に邪魔が入ってしまってね。次は噛み殺すよ。」
「へぇ、恭弥君から逃げられたの…。」
昴の瞳がキラキラと輝く。感情を映さなかったその目は、今は熱を持っていた。
珍しいこともあるものだ。
浅く微笑む昴を見ながら雲雀は少し片眉を上げてから、特に返事することなくまた校庭を見下ろした。
あの後昴はこれから楽しみにしているわ、と言い帰って行った。何も期待していないと挑発的に笑う顔を残して。
「だって面白そうだったんだもん。」
「もん、じゃないよ!うわぁぁ絶対変な奴だと思われたよ!」
「変なのは昴も一緒だぞ。」
「確かに…。っじゃなくて!一般人を巻き込むなって言いたいんだよオレは!!」
ダメだ、話が通じない。怒りも通り越して綱吉は肩を落とすしかなかった。
それに…、と綱吉は先程のことを思い出す。昴も昴でマフィアやファミリーの話を全く疑ってなかった。それどころか中々な問題発言をしていた。確か、私は選ばれて当然とか釣り合わなきゃとか何とか…。
「昴さん、本当にマフィアとか信じてるのかな…。もしかしてからかってるだけとか?」
真意が掴めず首を傾げる綱吉。確かに昴は美人だ。淑やかな美貌と鈴を転がしたような声音。そして脳裏に焼き付く星屑の瞳。今まで生きてきた中で綱吉はあそこまで綺麗な人を見たことがない。ただ…。
不気味、なんだよな…。まるで人形のようで。
「ただいまー。」
「ランボさんも帰ったぞー!」
はっ、と意識が戻る。いつの間にか深く考え込んでいたらしい綱吉は、買い物から帰ってきた奈々と公園から帰ってきたランボ達の声で思考が切れた。バタバタと慌ただしい足音が洗面所へと駆けていく。騒がしく落ち着きのない光景だがいつも通りの日常が戻ってきたと、綱吉は無意識に止めていた息を吐いた。
そんな様子をリボーンはただただ見つめていた。
◇
あれから数日。綱吉は主にリボーンが起こすトラブルのせいで昴の事が記憶から薄くなり、体育祭の総大将に選ばれてしまった事によって完全に忘れてしまった。
「わりーツナ!倒れるぞ!!」
「えぇ?!」
山本の叫び声と共に傾く身体。水中に勢いよく倒れた棒と綱吉のせいで水しぶきが盛大に上がった。
明日のため河川敷で棒倒しの練習していた綱吉達は、案の定失敗に終わっていた。コスプレしたリボーンにやる気が空回っている先輩の笹川了平、そんな了平と相性の悪い獄寺。喧嘩が始まるのは必然で必死に山本が間に入っていた。
ガタガタと水の中で震える綱吉は焦りと不安で顔色を無くす。こんなので明日どうすんだ…。いっそ体育祭なんて無くなればいいのにと涙が出そうになった時、記憶の奥にあった声が聞こえた。
「楽しそうね。」
柔らかいのに感情の乗らない冷たい声音。はっとして綱吉は顔を上げた。ガードレールの向こう側、そこからこちらを見下ろしていたのは昴だった。
「昴さん?!」
河川敷に響く声に反応することなくガードレールを飛び越えた昴は、重量を感じさせない優雅な仕草で綱吉達の所に降り立った。
突然現れた見知らぬ少女に暴れていた面々は動きを止める。美しい容姿もさることながら纏う独特の雰囲気に周りは圧倒されていた。しかしそんなこと気にもしない昴は真っ直ぐリボーンの前まで来ると柔らかく口元を引いた。
「ごきげんよう。可愛らしい格好ね、リボーン君。」
「オレはタイの長老パオパオ師匠だぞ。」
「あら。」
成りきっているリボーンが面白いのかクスクスと笑う昴に、はっと意識を戻した獄寺が詰め寄る。
「てめー誰だ。」
ドスの効いた声で睨む獄寺に慌てて綱吉は川から立ち上がった。が、特に怖がる素振りもなく、昴は獄寺の姿を一瞥すると息を吐いた。
「躾のなってない犬ね。」
「あぁ?!」
「ちょっ!落ち着け獄寺!えっと…、ツナの知り合い、っすか?」
「違うわ。」
即答…。暴れる獄寺を止めていた山本とその隣に来た綱吉は少し顔を引き攣らせた。美人の一刀両断は心臓に悪い。濡れた身体を小刻みに震わせながらそう思った綱吉に、昴の瞳のピントが合わさる。相変わらず綺麗で、温かみのないそれにビクッと肩が跳ねた。
「貴方いつも下着姿ね。趣味?」
「違います!」
あらぬ誤解が生まれそうになり咄嗟に声を張り上げた。ただそう思われても今の姿なら仕方ないかもしれないと、綱吉は身体を小さくする。勘違いもそうだが女子に裸体を見られるという状況に今更ながら恥辱が芽生えた。
「なんだ!沢田の友人か!てっきりオレ達の特訓に混ざりたいのかと思ったぞ!」
空気を割く大声に全員がそちらを向いた。獄寺のダイナマイトの爆風から復活したらしい了平が、豪快に笑いながら近づいてくる。所々汚れているが大した怪我はないようだった。
「ならお前も明日並盛の体育祭に来るんだな?」
「んな!お兄さん何言ってるんですか?!」
何がなら、なのか。繋がりは分からないがとんでもない提案をしているのは事実なので綱吉は慌てて了平を止める。昴に対して嫌な予感が絶えない綱吉は、あまり皆と関わって欲しくなかった。まぁ昴が来るわけないのは分かりきっているのだが…、と思っていたが意外にも昴は肯定の意を示した。
「構わないわよ。」
「え?!」
「それじゃまた明日。ごきげんよう。」
ひらりと手を振り去っていく昴に、サボれない理由が増えたことを悟った綱吉はその場で蹲ってしまうのだった。
◇
イレギュラーは起きたが何とか閉会式まで終わり、並盛中学の体育祭は終了した。
応接室で1人校庭の後片付け眺めていた雲雀恭弥は軽くノックされた扉に入室の許可を出す。草壁か、風紀委員の誰かだろうと思っていたが、現れたのは意外な人物だった。
「ごきげんよう、恭弥君。」
「昴…。」
勝手知ったるように応接室内を歩き雲雀の傍まで来た昴は、同じく校庭を見下ろす。
「意外だったわ。貴方も参加したりするのね。」
「相手の総大将の知り合いに用があったんだ。」
そう言って雲雀が顎で指したのは昴も見知った茶髪の男子と赤ん坊。綱吉とリボーンだった。
「前に邪魔が入ってしまってね。次は噛み殺すよ。」
「へぇ、恭弥君から逃げられたの…。」
昴の瞳がキラキラと輝く。感情を映さなかったその目は、今は熱を持っていた。
珍しいこともあるものだ。
浅く微笑む昴を見ながら雲雀は少し片眉を上げてから、特に返事することなくまた校庭を見下ろした。
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