奔星ノ在リ処
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とある休日。母親の頼みで晩御飯に使う野菜を買いに来た綱吉と、同じく自分のコーヒー豆を買いに来たリボーンは商店街を歩いていた。丁度昼のピークを過ぎたためか辺りは閑散としており人も疎らで歩きやすい。そのためお目当ての店まで歩きやすかったが綱吉は不満気に眉を下げていた。
「あー、せっかくゲームいいとこだったのに母さんめ…。帰ったら続きやろ。」
「何言ってんだダメツナ。この前のテストの結果を忘れたのか。帰ったら罰として崖登り百ます計算の特訓だぞ。」
「なにその地獄の特訓!って、あれ…、」
肩の上から無茶苦茶なことを言うリボーンに声を荒らげていると、ふと見覚えのある人影が視界の隅に映った。
「あの人…。」
「知り合いか?ツナ。」
「あ、うん。」
綱吉達から少し離れた場所に立っていたのは、数日前不良を蹴り倒したあの綺麗な少女だった。ここに居るということは、もしかして近所に住んでいるのだろうか。そう何ともなしに考えていた綱吉は、肩がいつの間にか軽くなっていることに気づいた。
「ちゃおっス。」
「あら。」
あれ?!アイツいつの間に!聞き知った挨拶に、声のした方向に目を向けるとそこには少女を見上げているリボーンの姿があった。慌てて2人の元に駆け寄るとそのまま苛立ち紛れにリボーンの小さな背に声を上げた。
「お前っ、勝手に行くなよ!」
「仕方ねーだろ。こんな美人に声掛けねぇなんてイタリアーノじゃねーぜ。」
「赤ん坊のくせに何言ってんだよ…。」
ディーノさんみたいなこと言ってる…。赤ん坊のくせに、と綱吉は呆れたが少女は特に気にする様子もなく澄ました顔をしていた。綱吉の今まで会った人達はリボーンが喋れば何かしらのリアクションをしたのに、少女は眉1つ動かさない。それに思わずその変わらない表情を見つめる。本当に人間かと疑うくらい、下手をすれば恐怖すら感じる少女の顔。その瞳は相変わらず美しく煌めいて、こちらを全く映さない。
少女は綱吉より背が高いが、同じように自分より背の高い友人の獄寺や山本とは目を見て話すことが出来ている。自分を馬鹿にしてくる先輩や同級生もちゃんと目は合う。
けれどこの少女の視点は常に綱吉達を見ず、偶に斜め下を見るくらいでほぼ揺らがない。わざと見ていないわけではなさそうだし、見下している故でもない。ただ視線が交わらない。それが何だか気になった。
「ご用はそれだけ?」
「えっ、いやその…。」
「こいつがこの前不良から助けてもらったらしいからな。家庭教師として礼を言うぞ。」
「ちょ、リボーン!」
「不良…?」
小首を傾げた少女の髪がサラリと流れる。覚えてなかったのか…。いや、まぁ、不良に絡まれあまつさえ助けてもらった情けないところなど忘れてくれていた方が有り難いけど、と釈然のしない思いを抱える。しかしそんな綱吉の気持ちに気づくはずなく、少女は顎に手を当てて考え始めた。こちらの事を気にしない、たっぷりと時間を使う少女に居心地が悪くなってきた綱吉は肩に乗ったリボーンにもう行こうと声をかけようとした。
「…あぁ。あの時の変わった子。」
貴女の方が変わってますけど!?
思わず叫びそうになった綱吉に少女の目が向けられる。初めて正面から見た瞳は思ったより感情豊かだった。
「あの後気づいたのだけど、貴方私を守ろうとしたのよね。なんで?」
「え?」
「勝てなかったでしょう。なんで庇ったの?」
質問と言うにはあまりにも感情のない声音にうっ、と言葉が詰まる。興味ないなら聞いてくるなよと内心不貞腐れながら綱吉はごにょごにょと口を動かした。
「身体が動いたから…。」
「身体が動く?それは無意識ってこと?なんで?」
「なんでって…。」
少女の質問は止まらない。なんでこんなグイグイ来るんだ?さっきまでまるで綱吉のことなど見えていないようだったにも関わらず、今の少女の瞳はしっかりと綱吉を捉えていた。その圧に気圧されるように少女の言葉への答えが頭を駆け巡る。なんで、って言われても…。ただ目の前で誰かが傷つくのが見たくなくて、咄嗟に身体が動いただけだ。単純だけど綱吉を知る人からしたら彼らしいと言われる答えを告げれば、少女の瞳から温度が消えた。
「あんまり面白くないわね。じゃ、ごきげんよう。」
「えっ?!ちょっ、あの、」
「何?まだ何かあるの。」
理由を聞かれたから答えたのに随分な言い草で綱吉は咄嗟に少女を引き留めてしまった。が、少女の声のトーンがあからさまに下がったのが分かり直ぐに後悔する。ヤバい、変に思われたかも!自分でも自分の行動が分からず慌てる綱吉に少女の眉間に少し皺が寄った。初めて変わった表情にこの人も生きてるんだ、とつい見とれていると横から物凄い強さで殴られた。
「ぶっ!!」
「さっきから顔がだらしねーぞ。」
勢いよく打たれた頬も捻った首も痛い。あまりの激痛に悶絶しあまりの激痛に悶絶し蹲る綱吉の横でリボーンは少女を見上げた。
「不躾に悪かったな。」
「構わないわ。皆そうなるの、必然よ。」
「お前おもしれーな。オレの名前はリボーン。さっきも言った通りツナの家庭教師で、ヒットマンだ。」
「ヒットマンにリボーンなんていいセンスね。」
「気に入ったなら覚えておくといいぞ。どうせそのうち呼ぶ機会は増える。」
ニヤリ、と笑ったリボーンに微かに少女の眉が上がる。
「それでお前の名前は?」
黒いコーヒー豆のような瞳が星空のような瞳を見つめ返えす。両者の感情は分からないが間には妙な空気が流れ始め、綱吉は無意識に生唾を飲んだ。ゴクリ、と喉の音が嫌に響く。武器も闘争もないのに生まれた緊迫感の中、先に動いたのは少女だった。
「時間だから。ごきげんよう。」
そう言ってくるりと背を向けて去っていく少女にポカン、と口が開く。引き留めないが楽しそうに笑うリボーンと、何も言えない綱吉を置いて遠くなる少女の手首にはキラリと光る腕時計が見えた。
あぁそっか、あの人ずっと腕時計見てたのか。
道理で視線が合わないわけだと、自分達を映さない瞳を思い出して綱吉からどっと力が抜けていった。
「あー、せっかくゲームいいとこだったのに母さんめ…。帰ったら続きやろ。」
「何言ってんだダメツナ。この前のテストの結果を忘れたのか。帰ったら罰として崖登り百ます計算の特訓だぞ。」
「なにその地獄の特訓!って、あれ…、」
肩の上から無茶苦茶なことを言うリボーンに声を荒らげていると、ふと見覚えのある人影が視界の隅に映った。
「あの人…。」
「知り合いか?ツナ。」
「あ、うん。」
綱吉達から少し離れた場所に立っていたのは、数日前不良を蹴り倒したあの綺麗な少女だった。ここに居るということは、もしかして近所に住んでいるのだろうか。そう何ともなしに考えていた綱吉は、肩がいつの間にか軽くなっていることに気づいた。
「ちゃおっス。」
「あら。」
あれ?!アイツいつの間に!聞き知った挨拶に、声のした方向に目を向けるとそこには少女を見上げているリボーンの姿があった。慌てて2人の元に駆け寄るとそのまま苛立ち紛れにリボーンの小さな背に声を上げた。
「お前っ、勝手に行くなよ!」
「仕方ねーだろ。こんな美人に声掛けねぇなんてイタリアーノじゃねーぜ。」
「赤ん坊のくせに何言ってんだよ…。」
ディーノさんみたいなこと言ってる…。赤ん坊のくせに、と綱吉は呆れたが少女は特に気にする様子もなく澄ました顔をしていた。綱吉の今まで会った人達はリボーンが喋れば何かしらのリアクションをしたのに、少女は眉1つ動かさない。それに思わずその変わらない表情を見つめる。本当に人間かと疑うくらい、下手をすれば恐怖すら感じる少女の顔。その瞳は相変わらず美しく煌めいて、こちらを全く映さない。
少女は綱吉より背が高いが、同じように自分より背の高い友人の獄寺や山本とは目を見て話すことが出来ている。自分を馬鹿にしてくる先輩や同級生もちゃんと目は合う。
けれどこの少女の視点は常に綱吉達を見ず、偶に斜め下を見るくらいでほぼ揺らがない。わざと見ていないわけではなさそうだし、見下している故でもない。ただ視線が交わらない。それが何だか気になった。
「ご用はそれだけ?」
「えっ、いやその…。」
「こいつがこの前不良から助けてもらったらしいからな。家庭教師として礼を言うぞ。」
「ちょ、リボーン!」
「不良…?」
小首を傾げた少女の髪がサラリと流れる。覚えてなかったのか…。いや、まぁ、不良に絡まれあまつさえ助けてもらった情けないところなど忘れてくれていた方が有り難いけど、と釈然のしない思いを抱える。しかしそんな綱吉の気持ちに気づくはずなく、少女は顎に手を当てて考え始めた。こちらの事を気にしない、たっぷりと時間を使う少女に居心地が悪くなってきた綱吉は肩に乗ったリボーンにもう行こうと声をかけようとした。
「…あぁ。あの時の変わった子。」
貴女の方が変わってますけど!?
思わず叫びそうになった綱吉に少女の目が向けられる。初めて正面から見た瞳は思ったより感情豊かだった。
「あの後気づいたのだけど、貴方私を守ろうとしたのよね。なんで?」
「え?」
「勝てなかったでしょう。なんで庇ったの?」
質問と言うにはあまりにも感情のない声音にうっ、と言葉が詰まる。興味ないなら聞いてくるなよと内心不貞腐れながら綱吉はごにょごにょと口を動かした。
「身体が動いたから…。」
「身体が動く?それは無意識ってこと?なんで?」
「なんでって…。」
少女の質問は止まらない。なんでこんなグイグイ来るんだ?さっきまでまるで綱吉のことなど見えていないようだったにも関わらず、今の少女の瞳はしっかりと綱吉を捉えていた。その圧に気圧されるように少女の言葉への答えが頭を駆け巡る。なんで、って言われても…。ただ目の前で誰かが傷つくのが見たくなくて、咄嗟に身体が動いただけだ。単純だけど綱吉を知る人からしたら彼らしいと言われる答えを告げれば、少女の瞳から温度が消えた。
「あんまり面白くないわね。じゃ、ごきげんよう。」
「えっ?!ちょっ、あの、」
「何?まだ何かあるの。」
理由を聞かれたから答えたのに随分な言い草で綱吉は咄嗟に少女を引き留めてしまった。が、少女の声のトーンがあからさまに下がったのが分かり直ぐに後悔する。ヤバい、変に思われたかも!自分でも自分の行動が分からず慌てる綱吉に少女の眉間に少し皺が寄った。初めて変わった表情にこの人も生きてるんだ、とつい見とれていると横から物凄い強さで殴られた。
「ぶっ!!」
「さっきから顔がだらしねーぞ。」
勢いよく打たれた頬も捻った首も痛い。あまりの激痛に悶絶しあまりの激痛に悶絶し蹲る綱吉の横でリボーンは少女を見上げた。
「不躾に悪かったな。」
「構わないわ。皆そうなるの、必然よ。」
「お前おもしれーな。オレの名前はリボーン。さっきも言った通りツナの家庭教師で、ヒットマンだ。」
「ヒットマンにリボーンなんていいセンスね。」
「気に入ったなら覚えておくといいぞ。どうせそのうち呼ぶ機会は増える。」
ニヤリ、と笑ったリボーンに微かに少女の眉が上がる。
「それでお前の名前は?」
黒いコーヒー豆のような瞳が星空のような瞳を見つめ返えす。両者の感情は分からないが間には妙な空気が流れ始め、綱吉は無意識に生唾を飲んだ。ゴクリ、と喉の音が嫌に響く。武器も闘争もないのに生まれた緊迫感の中、先に動いたのは少女だった。
「時間だから。ごきげんよう。」
そう言ってくるりと背を向けて去っていく少女にポカン、と口が開く。引き留めないが楽しそうに笑うリボーンと、何も言えない綱吉を置いて遠くなる少女の手首にはキラリと光る腕時計が見えた。
あぁそっか、あの人ずっと腕時計見てたのか。
道理で視線が合わないわけだと、自分達を映さない瞳を思い出して綱吉からどっと力が抜けていった。
