工藤さん家の娘さんは目が見えない
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ーったくよー…。世間じゃゴールデンウィークだっていうのに…、なんでこの名探偵・毛利小五郎が、わざわざあんな島に出向かなきゃいけねーんだ?」
鈍い船のエンジン音に紛れ紙の乾いた音がする。多分毛利さんが自身の探偵事務所に送られてきた件の手紙を出したのだろう。それを広げる音と共にまだ見ぬ依頼人へと愚痴をこぼす毛利さんに内心苦笑がもれた。
◇
1週間前、毛利さんの所に不可解な依頼が手紙と共に舞い込んできた。
なんでも伊豆沖にある月影島と言う小島で『何か』を調査して欲しいと言う内容らしく、暗号のように雑誌や新聞の文字を切り貼りした手紙だったそうだ。詳細もなくただのイタズラではないかと考えたそうだが、もう依頼料は振り込まれた後で断ることも出来ず、まぁ大きな事件でもないだろうと判断した毛利さんはそのまま依頼を引き受けたらしい。
らしい、と言うのも私は蘭ちゃんからゴールデンウィークにプチ旅行に行くから一緒にどうだと誘われたのであって、毛利さんの仕事の同行だとはつい先程まで知らされていなかった。
「でも本当に私まで一緒に良かったの?」
「大丈夫ですよ!それにほら、かなえさんと全然旅行に行けてなかったですし。」
「確かに。前はよく行ってたね。」
蘭ちゃんの言葉にそう言えばと記憶が蘇る。うちの家族と蘭ちゃんとで以前はよく旅行に行っていた。国内は勿論、国外にも行ったもので家にあるアルバムにも沢山の写真が入っている。私は盲目になってからは成る可く旅行に着いて行かないようにしていたが、それでも楽しかった事はちゃんと記憶に残っている。
「コナン君も楽しみだよね。」
「うん!ボク、かなえねーちゃんと旅行行くの始めてだからすっごく楽しみにしてたんだ!」
「そうなの。ありがとう。」
よく言うわ…。旅行に行った先々で事件に首突っ込んで、私と母が何度心臓を潰されそうになったか。そう言えばハワイではホームズの弟子だとか言って事件を解決しようとした時もあったな。あの時はまだ目が見えていたから私も手伝えって新ちゃんに言われたっけ。全くハードな思い出ばかりだと、とびきり良い作り笑いをしているであろう弟に心で悪態をつきながら、私たちは潮の匂いの中を月影島へと進んで行った。
◇
まず依頼者の確認のため役場へと向かい窓口で依頼者の名前を尋ねた。が、何故かそのような人物はいないと言われ、毛利さんが詰め寄り詳しく探してもらうもやはり住民名簿にも依頼人『麻生圭二』と言う名前は載っていないそうだ。やっぱりイタズラだったのかな…、と疑いを持ち始めていた時、他の職員の方がその名を聞いた瞬間驚愕したように声を張り上げた。
その声と一瞬で変わった周りの空気に驚き肩を跳ねさせた私に、補助をしてくれている蘭ちゃんが慌てて手を握ってくれる。おかげで幾分か落ち着いた私はその職員の方が語り出した話に耳を傾けた。
なんでも麻生圭二さんは10年以上前に家族を巻き込んで無理心中をしたらしく、しかも死ぬ間際までピアノを弾き続けて焼身自殺したそうだ。故にこの村では彼の名前は一種のタブーとなっていたのだった。
予想より重たい話に生唾を飲むとそのまま役員の方にお礼を言い役場を後にした。宛もなく歩く私たちの間に先程までの陽気さはない。死んだ人間からの手紙なんてイタズラのようにも思うが、新ちゃんが言ったように依頼料は確かに振り込まれていたし、消印もちゃんとこの島のものだ。死人から手紙などくるわけがないのだから、ならば麻生さんの友人か誰か、関わりのあった方が彼の死に疑問を持ち毛利さんに依頼したのだろう。
そう結論づけた毛利さんと共に早速聞き取り調査のため、麻生さんの友人だったと言う村長がいる公民館のへ行く事にした。
公民館か…。初めての場所に行く時は必ず地図を読み込むようにしているので事前に頭に入れていた月影島の地図を思い出そうとしていると、運良く誰かの話し声が聞こえてきた。この場所は病院の前だから…、看護師さんかお医者さんだろう。その人に公民館の場所を聞きに行くと蘭ちゃんが言ってくれたので有難く思いながら腕から手を離す。
「かなえねーちゃん、手繋ぐ?」
「ボウズとかなえじゃ身長的にキツイだろーが。かなえ、嫌かもしんねーがしばらく俺の腕に掴まれ。」
「嫌だなんてとんでもない!ありがとうございます。コナン君もありがとうね。」
毛利さんの申し出に感謝し白杖を持つ手と反対の手で腕を掴む。スーツなのだからシワになるかもしれないのに、気にした素振りもないその仕草にこの親子は本当に優しいなぁと心が暖かくなった。
新ちゃんからはちょっと不機嫌オーラが出てるけど無視しよう。
「あのースミマセン…。公民館の場所を知りたいんですけど。」
「あ、はい…。あの角を曲がったつきあたりに…。」
追いついた先で蘭ちゃんとその人の話し声が聞こえる。
高いけれど落ち着いた声音の方だ。この感じは、ナースじゃなくてドクターの方かな?いつも病院行ってると何となく知らない人でもお医者さんなら分かるようになっちゃったんだよね。あまり誇れることでもないけど、と内心独り言を言っていると遠くの方から誰かの声が聞こえてきた。徐々に大きくなるそれにこのスピードだと車かなと予想していると、結構な速さで車のエンジン音が横切って行った。あまりの爆音で内容までは聞き取れなかったが、蘭ちゃんが話を伺っていた人曰くあれは選挙カーだったようでなんでももうすぐ村長選挙らしく今は3人の候補者が争っているらしい。
「いや看護婦さん。別に私達、村長選に興味は…。」
「私は医者の浅井成美!!ちゃんと医師免許もってます!!」
その方、浅井さんの言葉に毛利さんがあははと笑いながら謝罪する。随分と力強い否定だ。相当勘違いされるのは嫌だったのだろう。確かに褒め言葉と受け取る人もいるが、大半の男性はその勘違いは嫌がるだろう。まぁ毛利さんも悪気があったわけでもないし、本人もそこまで気にしてる風ではないので良かったと思いながら私たちは浅井さんと別れ公民館に向かうことにしたのだった。
鈍い船のエンジン音に紛れ紙の乾いた音がする。多分毛利さんが自身の探偵事務所に送られてきた件の手紙を出したのだろう。それを広げる音と共にまだ見ぬ依頼人へと愚痴をこぼす毛利さんに内心苦笑がもれた。
◇
1週間前、毛利さんの所に不可解な依頼が手紙と共に舞い込んできた。
なんでも伊豆沖にある月影島と言う小島で『何か』を調査して欲しいと言う内容らしく、暗号のように雑誌や新聞の文字を切り貼りした手紙だったそうだ。詳細もなくただのイタズラではないかと考えたそうだが、もう依頼料は振り込まれた後で断ることも出来ず、まぁ大きな事件でもないだろうと判断した毛利さんはそのまま依頼を引き受けたらしい。
らしい、と言うのも私は蘭ちゃんからゴールデンウィークにプチ旅行に行くから一緒にどうだと誘われたのであって、毛利さんの仕事の同行だとはつい先程まで知らされていなかった。
「でも本当に私まで一緒に良かったの?」
「大丈夫ですよ!それにほら、かなえさんと全然旅行に行けてなかったですし。」
「確かに。前はよく行ってたね。」
蘭ちゃんの言葉にそう言えばと記憶が蘇る。うちの家族と蘭ちゃんとで以前はよく旅行に行っていた。国内は勿論、国外にも行ったもので家にあるアルバムにも沢山の写真が入っている。私は盲目になってからは成る可く旅行に着いて行かないようにしていたが、それでも楽しかった事はちゃんと記憶に残っている。
「コナン君も楽しみだよね。」
「うん!ボク、かなえねーちゃんと旅行行くの始めてだからすっごく楽しみにしてたんだ!」
「そうなの。ありがとう。」
よく言うわ…。旅行に行った先々で事件に首突っ込んで、私と母が何度心臓を潰されそうになったか。そう言えばハワイではホームズの弟子だとか言って事件を解決しようとした時もあったな。あの時はまだ目が見えていたから私も手伝えって新ちゃんに言われたっけ。全くハードな思い出ばかりだと、とびきり良い作り笑いをしているであろう弟に心で悪態をつきながら、私たちは潮の匂いの中を月影島へと進んで行った。
◇
まず依頼者の確認のため役場へと向かい窓口で依頼者の名前を尋ねた。が、何故かそのような人物はいないと言われ、毛利さんが詰め寄り詳しく探してもらうもやはり住民名簿にも依頼人『麻生圭二』と言う名前は載っていないそうだ。やっぱりイタズラだったのかな…、と疑いを持ち始めていた時、他の職員の方がその名を聞いた瞬間驚愕したように声を張り上げた。
その声と一瞬で変わった周りの空気に驚き肩を跳ねさせた私に、補助をしてくれている蘭ちゃんが慌てて手を握ってくれる。おかげで幾分か落ち着いた私はその職員の方が語り出した話に耳を傾けた。
なんでも麻生圭二さんは10年以上前に家族を巻き込んで無理心中をしたらしく、しかも死ぬ間際までピアノを弾き続けて焼身自殺したそうだ。故にこの村では彼の名前は一種のタブーとなっていたのだった。
予想より重たい話に生唾を飲むとそのまま役員の方にお礼を言い役場を後にした。宛もなく歩く私たちの間に先程までの陽気さはない。死んだ人間からの手紙なんてイタズラのようにも思うが、新ちゃんが言ったように依頼料は確かに振り込まれていたし、消印もちゃんとこの島のものだ。死人から手紙などくるわけがないのだから、ならば麻生さんの友人か誰か、関わりのあった方が彼の死に疑問を持ち毛利さんに依頼したのだろう。
そう結論づけた毛利さんと共に早速聞き取り調査のため、麻生さんの友人だったと言う村長がいる公民館のへ行く事にした。
公民館か…。初めての場所に行く時は必ず地図を読み込むようにしているので事前に頭に入れていた月影島の地図を思い出そうとしていると、運良く誰かの話し声が聞こえてきた。この場所は病院の前だから…、看護師さんかお医者さんだろう。その人に公民館の場所を聞きに行くと蘭ちゃんが言ってくれたので有難く思いながら腕から手を離す。
「かなえねーちゃん、手繋ぐ?」
「ボウズとかなえじゃ身長的にキツイだろーが。かなえ、嫌かもしんねーがしばらく俺の腕に掴まれ。」
「嫌だなんてとんでもない!ありがとうございます。コナン君もありがとうね。」
毛利さんの申し出に感謝し白杖を持つ手と反対の手で腕を掴む。スーツなのだからシワになるかもしれないのに、気にした素振りもないその仕草にこの親子は本当に優しいなぁと心が暖かくなった。
新ちゃんからはちょっと不機嫌オーラが出てるけど無視しよう。
「あのースミマセン…。公民館の場所を知りたいんですけど。」
「あ、はい…。あの角を曲がったつきあたりに…。」
追いついた先で蘭ちゃんとその人の話し声が聞こえる。
高いけれど落ち着いた声音の方だ。この感じは、ナースじゃなくてドクターの方かな?いつも病院行ってると何となく知らない人でもお医者さんなら分かるようになっちゃったんだよね。あまり誇れることでもないけど、と内心独り言を言っていると遠くの方から誰かの声が聞こえてきた。徐々に大きくなるそれにこのスピードだと車かなと予想していると、結構な速さで車のエンジン音が横切って行った。あまりの爆音で内容までは聞き取れなかったが、蘭ちゃんが話を伺っていた人曰くあれは選挙カーだったようでなんでももうすぐ村長選挙らしく今は3人の候補者が争っているらしい。
「いや看護婦さん。別に私達、村長選に興味は…。」
「私は医者の浅井成美!!ちゃんと医師免許もってます!!」
その方、浅井さんの言葉に毛利さんがあははと笑いながら謝罪する。随分と力強い否定だ。相当勘違いされるのは嫌だったのだろう。確かに褒め言葉と受け取る人もいるが、大半の男性はその勘違いは嫌がるだろう。まぁ毛利さんも悪気があったわけでもないし、本人もそこまで気にしてる風ではないので良かったと思いながら私たちは浅井さんと別れ公民館に向かうことにしたのだった。
