工藤さん家の娘さんは目が見えない。
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雪が積もるにはまだまだかかりそうだが、荷物を持つ手前運ぶ足は慎重になる。萩原さんは送ってくれると言ったが、今日1日付き合って貰ったのにこれ以上迷惑はかけたくなくて丁重にお断りさせていただいた。ちょっと不満そうだったけど。
寒さに身を震わせながら白杖を左右に動かし家に向かっていると、ふと、家の方から聞き覚えのある声が私を呼んだ。
「かなえさん!」
「あれ、蘭ちゃん?」
声の主は蘭ちゃんだった。確か今日は園子ちゃんとバンドの打ち上げに参加していたはずだ。何か急用だろうか、と近寄って来てくれた蘭ちゃんに聞いた。
「どうしたの?こんな雪の中。」
「かなえさん、新一帰ってきてませんか。」
「新ちゃん?」
新ちゃんがどうしたのだろう。まさかまた何かやらかした…?今度は何したのかと慌てて聞くも蘭ちゃんは黙ったまま答えてはくれなかった。
ちょっと様子が変だな…。そう思い蘭ちゃんの手をギュッと握るとその手は酷く冷えていた。
「とりあえず家に入ろう?手が氷みたいだよ。」
そう言った私に元気のない返事をする蘭ちゃんと共に玄関を開けた。
蘭ちゃんをソファへと促し荷物をテーブルに置くと直ぐに電気と暖房を入れた。暖かくなるにはそう時間はかからないだろうが、元から暖房を入れていた部屋からここへ来たムクのためにも暖炉にも火をくべる。雪も本格的に降ってきたし今夜は冷え込むだろうな。そう思いながらムクの頭をひとしきり撫でたあと、蘭ちゃんの隣に腰掛けた。
「それで蘭ちゃん、どうしたの?」
問いかける私は蘭ちゃんから少し悲しげな雰囲気を感じた。それに元気を出して欲しくて大分温かくなった手をもう一度握る。すると、おずおずと蘭ちゃんは口を開いてくれた。
「…実は、」
蘭ちゃん曰く行った打ち上げで事件に巻き込まれ、それを解決したのが新ちゃんだったらしい。姿は見えなかったがカラオケのスピーカーから話す新ちゃんに、やっと帰って来たのだと家で待ち構えていたも新ちゃんは一向に姿を現さず、私が来たのだと。
涙声でそう話す蘭ちゃんに胸が痛む。彼女の会えるかもと言う期待や、それでも会えない事実を思うとこちらまで泣きそうになった。ほんと…、うちの軽率な愚弟がごめん。今すぐにでも話して安心させたい気持ちをグッと堪え、蘭ちゃんの背中を撫でる。
「そっか…。でもごめん、私のところには何の連絡も来てないの。」
「そうですか…。」
「暫くウチで待っててみる?」
「…いいんですか?」
勿論だと頷く。それにやっと安堵の息を漏らした蘭ちゃんに飲み物を持ってくると告げ、部屋を後にした。諦めるまでのその時間で私が出来ることなどたかが知れている。だからこそせめてその時間の負担が、少しでも減るように傍にいようとキッチンへと向かった。
コーヒーよりは紅茶の方が温まるのだと父から聞いたのを思い出し、用意した物をお盆に乗せた。私自身あまりこだわりはないのだが、選んだ茶葉は香りが良くリラックス効果もあるので蘭ちゃんには合うだろう。これで少しでも元気を取り戻してくれたらいいけどな。そう思いながら廊下を気をつけながら歩いていると、ふと、誰かが私を呼んだ。この声は…。
「し、コナン君…。」
「よぉ。」
やっぱり新ちゃんだった。下の方から聞こえる高い声は悪びれた様子もなく普段通りで、思わず口を尖らせてしまう。
「何か用?」
「なんで怒ってんだよ…。」
呆れたように言う新ちゃんに少し腹が立つ。この子の事件への好奇心はどうにかならないものだろうか。まぁ言ったところでどうにもならないのは分かりきっているので、お盆を近くの平らなところに置き、新ちゃんがいる位置まで顔が近くなるよう膝を曲げた。
「それで?どうしたの、蘭ちゃんもいるのに。」
「その蘭のことで姉さんにちょっと協力してもらいたくて。」
「協力?」
首を傾げる私の耳に新ちゃんが手を添える。そのまま縮まった距離と新ちゃんの吐息に集中すると、思いもよらない提案をされた。
「それ…。ほんとに大丈夫?」
「心配ねーよ。じゃ、よろしくな!」
「あ、」
まだやるなんて言ってないのに…。タッタッタッと軽い足音が遠ざかって行くのが少し憎らしい。簡単に言うが私はサプライズとかドッキリは顔に出やすいタイプだ。はぁ、と隠さず吐いたため息が廊下に溶けていく中、どうやって蘭ちゃんを部屋から階段へ誘導しようか頭を悩ませた。
寒さに身を震わせながら白杖を左右に動かし家に向かっていると、ふと、家の方から聞き覚えのある声が私を呼んだ。
「かなえさん!」
「あれ、蘭ちゃん?」
声の主は蘭ちゃんだった。確か今日は園子ちゃんとバンドの打ち上げに参加していたはずだ。何か急用だろうか、と近寄って来てくれた蘭ちゃんに聞いた。
「どうしたの?こんな雪の中。」
「かなえさん、新一帰ってきてませんか。」
「新ちゃん?」
新ちゃんがどうしたのだろう。まさかまた何かやらかした…?今度は何したのかと慌てて聞くも蘭ちゃんは黙ったまま答えてはくれなかった。
ちょっと様子が変だな…。そう思い蘭ちゃんの手をギュッと握るとその手は酷く冷えていた。
「とりあえず家に入ろう?手が氷みたいだよ。」
そう言った私に元気のない返事をする蘭ちゃんと共に玄関を開けた。
蘭ちゃんをソファへと促し荷物をテーブルに置くと直ぐに電気と暖房を入れた。暖かくなるにはそう時間はかからないだろうが、元から暖房を入れていた部屋からここへ来たムクのためにも暖炉にも火をくべる。雪も本格的に降ってきたし今夜は冷え込むだろうな。そう思いながらムクの頭をひとしきり撫でたあと、蘭ちゃんの隣に腰掛けた。
「それで蘭ちゃん、どうしたの?」
問いかける私は蘭ちゃんから少し悲しげな雰囲気を感じた。それに元気を出して欲しくて大分温かくなった手をもう一度握る。すると、おずおずと蘭ちゃんは口を開いてくれた。
「…実は、」
蘭ちゃん曰く行った打ち上げで事件に巻き込まれ、それを解決したのが新ちゃんだったらしい。姿は見えなかったがカラオケのスピーカーから話す新ちゃんに、やっと帰って来たのだと家で待ち構えていたも新ちゃんは一向に姿を現さず、私が来たのだと。
涙声でそう話す蘭ちゃんに胸が痛む。彼女の会えるかもと言う期待や、それでも会えない事実を思うとこちらまで泣きそうになった。ほんと…、うちの軽率な愚弟がごめん。今すぐにでも話して安心させたい気持ちをグッと堪え、蘭ちゃんの背中を撫でる。
「そっか…。でもごめん、私のところには何の連絡も来てないの。」
「そうですか…。」
「暫くウチで待っててみる?」
「…いいんですか?」
勿論だと頷く。それにやっと安堵の息を漏らした蘭ちゃんに飲み物を持ってくると告げ、部屋を後にした。諦めるまでのその時間で私が出来ることなどたかが知れている。だからこそせめてその時間の負担が、少しでも減るように傍にいようとキッチンへと向かった。
コーヒーよりは紅茶の方が温まるのだと父から聞いたのを思い出し、用意した物をお盆に乗せた。私自身あまりこだわりはないのだが、選んだ茶葉は香りが良くリラックス効果もあるので蘭ちゃんには合うだろう。これで少しでも元気を取り戻してくれたらいいけどな。そう思いながら廊下を気をつけながら歩いていると、ふと、誰かが私を呼んだ。この声は…。
「し、コナン君…。」
「よぉ。」
やっぱり新ちゃんだった。下の方から聞こえる高い声は悪びれた様子もなく普段通りで、思わず口を尖らせてしまう。
「何か用?」
「なんで怒ってんだよ…。」
呆れたように言う新ちゃんに少し腹が立つ。この子の事件への好奇心はどうにかならないものだろうか。まぁ言ったところでどうにもならないのは分かりきっているので、お盆を近くの平らなところに置き、新ちゃんがいる位置まで顔が近くなるよう膝を曲げた。
「それで?どうしたの、蘭ちゃんもいるのに。」
「その蘭のことで姉さんにちょっと協力してもらいたくて。」
「協力?」
首を傾げる私の耳に新ちゃんが手を添える。そのまま縮まった距離と新ちゃんの吐息に集中すると、思いもよらない提案をされた。
「それ…。ほんとに大丈夫?」
「心配ねーよ。じゃ、よろしくな!」
「あ、」
まだやるなんて言ってないのに…。タッタッタッと軽い足音が遠ざかって行くのが少し憎らしい。簡単に言うが私はサプライズとかドッキリは顔に出やすいタイプだ。はぁ、と隠さず吐いたため息が廊下に溶けていく中、どうやって蘭ちゃんを部屋から階段へ誘導しようか頭を悩ませた。