工藤さん家の娘さんは目が見えない。
お好きな名前をどうぞ
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新ちゃんの言った名前に、やはり訝しそうにうーんと考えている蘭ちゃんに慌てて声をかけた。
「えっと、この子のお父さんがコナン・ドイルのファンで!変わってるけどいい名前でしょ?」
咄嗟にコナンとつく名前でおかしくなさそうな理由を上げる。大分無理やりではあるが幸い蘭ちゃんは特に気に留めずほっと胸をなでおろした。それより新ちゃんの事が気になるみたいで心配そうに今日あったことを説明してくれた。ありがとう蘭ちゃん。でもそれはもう聞いたんだ、うちの馬鹿な弟に。
「やっぱり警察に言った方がいいんじゃないかなって…。」
「う、う〜ん。そんな心配しなくても大丈夫じゃないかな?」
「…かなえさん、いつもなら凄く心配するのに今日はどうしたんですか?」
ピシリと身体が固まる。
まずい。見えなくとも蘭ちゃんが怪しんでるのが分かる。本日何度目かのピンチにどう説明しようかと脳をフル回転させていると、おおそうだと博士が蘭ちゃんの名前を呼んだ。
「すまんが少しの間、この子を君の家で預かってくれんか?」
「え?」
「いやー、この子の親が事故で入院したんで、ワシが世話を頼まれとったんじゃが、ワシも一人暮らしでなにかと大変じゃし、かと言ってかなえ君に頼むのものー…。」
これまた苦しい言い訳だが確かにそれ以外に新ちゃん、もといコナン君の説明は難しい。それに博士の言う通り蘭ちゃんのお父さんのところなら守ってもらえて情報も入ってくるから安心だ。博士、コナン君に続き私もお願いと頼むと蘭ちゃんは分かりましたと、コナン君を引き取ってくれることとなった。ほんと、なんていい子なんだろうか。隠したのはこっちだけどこんないい子に辛い想いをさせるなんて我が弟ながら不甲斐ない。こんな事じゃすぐに愛想つかされるのではないだろうかと心配になる。でも新ちゃんは蘭ちゃんしか扱えないので見捨てないで欲しい。
そう願いながら博士と二人、蘭ちゃん達を見送った。まだまだ問題は山積みだがひとまず様子見かと安堵の息を吐く私に、ムクが静かに鼻を鳴らした。
あれからコナン君は色々と事件に巻き込まれているらしいが、どうにか持ち前の強運と博士の発明品のおかげで今のところ誰にも正体はバレてはいないらしい。あんまり隠す気なさそうだけど。まぁでも、蘭ちゃんも電話で変声機を使ったコナン君と話せて落ち着いたみたいだし、とりあえず一件落着かな。後は鋭い松田さんや萩原さんや伊達さんに新ちゃんがいない事を聞かれてもボロが出ないようにしなければ。私は嘘が全く得意ではないので多分問い詰められたら終わりだ。そうなればコナン君どころかその人にも迷惑がかかるので、いざとなれば黙秘を貫こう。全く名探偵と女優の娘なのにこんな子供じみた小手先の手法しか出来ないなんて…。なんか泣けてきたな。
「あ、大丈夫だよ。ありがとうムク。」
突如元気のなくなった私にムクが心配そうに鳴き声を上げる。それにふっと微笑んでGOと指示を出し家へとまた歩き出した。
「…?」
ガチャリと鍵をあけ玄関を開けた私は家の中の妙な違和感に首を傾げた。
人の気配があるわけじゃない、でも変な感じがする。
もしかして、と早くなる心臓に押されるように、落ち着かないムクを連れ玄関を離れ通りに出た。そのままスマホを開きハ行の所定の位置をタップし耳に当てる。
『はいはーい。どったのかなえちゃん。』
短いコールの後聞こえた声に肩の力が抜ける。そのまま焦らないように心がけながら口を開いた。
「仕事中にいきなりごめんなさい。ちょっと家がおかしくて。」
『家が?』
「と言うより家の中なんですけど、なんかちょっと違和感があって。…誰かが勝手に入った感じがするんです。」
『…不法侵入ってことか?今も家の中に?』
「ごめんなさい、そこまでは分からなくて…。」
『ううん、怖いもんね。大丈夫。因みに知り合いの可能性は?』
「うちに来るの蘭ちゃんか私の友達くらいですけど、2人共必ず来る前に連絡くれるし、まず家の鍵持ってないから。新ちゃんはどっか行っちゃったから絶対違うし…。勘違いかなとは思ったんですけど、ムクもちょっとソワソワしてて。」
『分かった。とりあえず今陣平ちゃんもいるし、2人でそっち向かうわ。』
不安だろうから通話のままにしておくと言う萩原さんに感謝しながら、ムクと待っているとものの数分で2人が来てくれた。通話を切り来てくれた事にお礼を言い、とりあえず様子を見てくると言う松田さんに鍵は開けっ放しであることを伝えた。その間萩原さんが一緒に待っていてくれるらしく取り留めのない会話が続き私の身体の強ばりも徐々に解けていった頃、松田さんが戻ってきた。
「どうだった。」
「ざっと見たが荒らされたり誰かがいることはなかったな。」
「そうですか…。」
やはり杞憂だったのだろうか。少し敏感になり過ぎていただけかもしれない。自分の早とちりに恥ずかしくなりながら、それでも来てくれたことに再度お礼を言おうとしたところで萩原さんがそう言えば、と口を開いた。
「弟くん、どっか遠くに行ってるの?」
「え?」
「だってかなえちゃん、「どっか行っちゃった」って言ったろ?「どこかに出かけた」って言わずに。」
たらりと汗が伝う。
そうだ、蘭ちゃん以外にはまだ説明してないから、2人は新ちゃんがいないことを知らないんだった。思わず口籠もった私に2人の空気が変わる。まずいまずいまずい。
「状況把握をしっかりしよとする日頃の癖が仇になったな。…なんかあったろ。」
確信めいた松田さんの言葉にムクのリードを強く握った。
やばい新ちゃん、助けて。
「えっと、この子のお父さんがコナン・ドイルのファンで!変わってるけどいい名前でしょ?」
咄嗟にコナンとつく名前でおかしくなさそうな理由を上げる。大分無理やりではあるが幸い蘭ちゃんは特に気に留めずほっと胸をなでおろした。それより新ちゃんの事が気になるみたいで心配そうに今日あったことを説明してくれた。ありがとう蘭ちゃん。でもそれはもう聞いたんだ、うちの馬鹿な弟に。
「やっぱり警察に言った方がいいんじゃないかなって…。」
「う、う〜ん。そんな心配しなくても大丈夫じゃないかな?」
「…かなえさん、いつもなら凄く心配するのに今日はどうしたんですか?」
ピシリと身体が固まる。
まずい。見えなくとも蘭ちゃんが怪しんでるのが分かる。本日何度目かのピンチにどう説明しようかと脳をフル回転させていると、おおそうだと博士が蘭ちゃんの名前を呼んだ。
「すまんが少しの間、この子を君の家で預かってくれんか?」
「え?」
「いやー、この子の親が事故で入院したんで、ワシが世話を頼まれとったんじゃが、ワシも一人暮らしでなにかと大変じゃし、かと言ってかなえ君に頼むのものー…。」
これまた苦しい言い訳だが確かにそれ以外に新ちゃん、もといコナン君の説明は難しい。それに博士の言う通り蘭ちゃんのお父さんのところなら守ってもらえて情報も入ってくるから安心だ。博士、コナン君に続き私もお願いと頼むと蘭ちゃんは分かりましたと、コナン君を引き取ってくれることとなった。ほんと、なんていい子なんだろうか。隠したのはこっちだけどこんないい子に辛い想いをさせるなんて我が弟ながら不甲斐ない。こんな事じゃすぐに愛想つかされるのではないだろうかと心配になる。でも新ちゃんは蘭ちゃんしか扱えないので見捨てないで欲しい。
そう願いながら博士と二人、蘭ちゃん達を見送った。まだまだ問題は山積みだがひとまず様子見かと安堵の息を吐く私に、ムクが静かに鼻を鳴らした。
あれからコナン君は色々と事件に巻き込まれているらしいが、どうにか持ち前の強運と博士の発明品のおかげで今のところ誰にも正体はバレてはいないらしい。あんまり隠す気なさそうだけど。まぁでも、蘭ちゃんも電話で変声機を使ったコナン君と話せて落ち着いたみたいだし、とりあえず一件落着かな。後は鋭い松田さんや萩原さんや伊達さんに新ちゃんがいない事を聞かれてもボロが出ないようにしなければ。私は嘘が全く得意ではないので多分問い詰められたら終わりだ。そうなればコナン君どころかその人にも迷惑がかかるので、いざとなれば黙秘を貫こう。全く名探偵と女優の娘なのにこんな子供じみた小手先の手法しか出来ないなんて…。なんか泣けてきたな。
「あ、大丈夫だよ。ありがとうムク。」
突如元気のなくなった私にムクが心配そうに鳴き声を上げる。それにふっと微笑んでGOと指示を出し家へとまた歩き出した。
「…?」
ガチャリと鍵をあけ玄関を開けた私は家の中の妙な違和感に首を傾げた。
人の気配があるわけじゃない、でも変な感じがする。
もしかして、と早くなる心臓に押されるように、落ち着かないムクを連れ玄関を離れ通りに出た。そのままスマホを開きハ行の所定の位置をタップし耳に当てる。
『はいはーい。どったのかなえちゃん。』
短いコールの後聞こえた声に肩の力が抜ける。そのまま焦らないように心がけながら口を開いた。
「仕事中にいきなりごめんなさい。ちょっと家がおかしくて。」
『家が?』
「と言うより家の中なんですけど、なんかちょっと違和感があって。…誰かが勝手に入った感じがするんです。」
『…不法侵入ってことか?今も家の中に?』
「ごめんなさい、そこまでは分からなくて…。」
『ううん、怖いもんね。大丈夫。因みに知り合いの可能性は?』
「うちに来るの蘭ちゃんか私の友達くらいですけど、2人共必ず来る前に連絡くれるし、まず家の鍵持ってないから。新ちゃんはどっか行っちゃったから絶対違うし…。勘違いかなとは思ったんですけど、ムクもちょっとソワソワしてて。」
『分かった。とりあえず今陣平ちゃんもいるし、2人でそっち向かうわ。』
不安だろうから通話のままにしておくと言う萩原さんに感謝しながら、ムクと待っているとものの数分で2人が来てくれた。通話を切り来てくれた事にお礼を言い、とりあえず様子を見てくると言う松田さんに鍵は開けっ放しであることを伝えた。その間萩原さんが一緒に待っていてくれるらしく取り留めのない会話が続き私の身体の強ばりも徐々に解けていった頃、松田さんが戻ってきた。
「どうだった。」
「ざっと見たが荒らされたり誰かがいることはなかったな。」
「そうですか…。」
やはり杞憂だったのだろうか。少し敏感になり過ぎていただけかもしれない。自分の早とちりに恥ずかしくなりながら、それでも来てくれたことに再度お礼を言おうとしたところで萩原さんがそう言えば、と口を開いた。
「弟くん、どっか遠くに行ってるの?」
「え?」
「だってかなえちゃん、「どっか行っちゃった」って言ったろ?「どこかに出かけた」って言わずに。」
たらりと汗が伝う。
そうだ、蘭ちゃん以外にはまだ説明してないから、2人は新ちゃんがいないことを知らないんだった。思わず口籠もった私に2人の空気が変わる。まずいまずいまずい。
「状況把握をしっかりしよとする日頃の癖が仇になったな。…なんかあったろ。」
確信めいた松田さんの言葉にムクのリードを強く握った。
やばい新ちゃん、助けて。