工藤さん家の娘さんは目が見えない。
お好きな名前をどうぞ
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まさか実の弟が身体が縮むなんてファンタジーを通り越して奇っ怪な事になるとは誰が思うだろうか。しかしこの子供の言うことは全て身に覚えがあり、普段こんな事言わない博士まで断言しているのだから信じざるを得なかった。全く事実は小説よりも奇なりとは言うが、小説家の子供がそれを体験してどうするんだ。
「まさかそんな事現実に起こるなんて…。だから危ない事に自分から飛び込むなって毎回言ってるのに!」
「仕方ねーだろ!見るからに怪しかったんだからよ。」
「そのせいで死にかけたのよ?!たまたま運が良かっただけで、本当にっ…!」
段々と目頭が熱くなっていく。弟の前で泣くのはみっともない気がしたが、それでも安堵と怒りで嗚咽が漏れた。事の重大さを理解してないんじゃないのと、怒鳴りつけたい気持ちを抑えた私に心配そうにムクが擦り寄ってくる。袖で目元を拭うと常より遥かに高く、けれど聞き馴染んだ声がかかった。
「姉さん…。…、わりぃ。それでも俺はやらなきゃなんねーんだ。」
見えなくても分かる。きっと真っ直ぐな顔をしているのだろう。
本当に、この子は…。
鼻をすすりぐっと想いを飲み込んだ。
「本当に危なくなったら、お父さん達に言うからね。」
「うん、ありがとう姉さん。」
そう言って新ちゃんは私の手をぎゅっと握った。小さな手だ。途端に不安になってくる気持ちを振り払うように新ちゃんを抱き締めた。着替えた子供服越しから暖かい体温を感じる。ちゃんと生きてる。
「本当に2人は仲が良いのー。」
博士の声にはっとしたように新ちゃんが離れてしまった。まぁ中身は17歳の男の子だもんね。ちょっと寂しいけど仕方ないと膝をついていた床から立ち上がる。博士は茶化したつもりがないのに照れ隠しで何か言っている新ちゃんに苦笑しながら今後のことを考える。博士が言った通りこの秘密は不特定多数に言わない方がいい。けど新ちゃんがいきなりいなくなったら、それこそ大問題だ。どうにか新ちゃんがいなくても心配されない理由と、今の新ちゃんが安全を確保出来る場所を探さなくてはならない。私は目が見えないし嘘も得意ではないから、いざって時に守ってあげられない。博士も多分無理だろう。どこか安全で、尚且つ情報も手に入る場所はないだろうか。でもそんな都合のいい場所ってあるのかな。警察署じゃないんだし、と考えてふと思い出す。
「そう言えば蘭ちゃんは?」
「あ、」
新ちゃんの間抜けな声にあれ、と冷や汗が流れた。あの子は新ちゃんが好きだ。そして結構行動派だ。これはもしかして時間がないのでは、と思った瞬間ピンポーンとインターホンが鳴り響いた。まずい、玄関の鍵を忘れてた。
「ごめんくださーい。かなえさーん、鍵開けっ放しですけど新一帰ってますかー?」
玄関から聞こえてきた蘭ちゃんの大声にぶわっと汗が噴き出す。とりあえず新ちゃんに隠れるよう言い、せめてもの時間稼ぎに玄関先で話そうと1歩前に出た瞬間、足がもつれ顔面から床に落ちた。
「ぶっ!」
「姉さん?!」
「かなえ君!」
「かなえさん?今の音どうしたんですか?!」
完全にやらかした。
心配して傍に来てくれた博士を押しのけムクが湿った鼻を押し付けてくる。そうだね、急いでる時は尚更あなたのリードを持たなきゃだったね。松田さんもよく焦りは最大のトラップて言ってたのに、これじゃまた危なっかしいって言われる。もう20歳過ぎてるのに。焦りを通り越していっそ虚無感につつまれた私の耳にバタバタと駆けてくる足音が聞こえた。そしてドアの方向から勢いよく開けらる音がして蘭ちゃんが入ってきたのが分かった。
「かなえさん大丈夫ですか?!」
「…うん、ごめんありがとう。でも、ちょっと恥ずかしいから見ないで欲しいな…。」
なんとか椅子や机に捕まりながら立ち上がる。鼻が痛い。鼻血は出てないがきっとおでことかは真っ赤になっているだろう。慌てたようにする博士と蘭ちゃんにこれ以上転んだことを心配されるのが恥ずかしくて、蘭ちゃんこそこんな雨の日にどうしたのかと問うた。
「それが新一とさっき別れてから連絡が取れなくって…。帰ってきてないですか?」
「さぁ…。私は今まで博士とここで本を読んでいたけど、蘭ちゃんが来るまで誰も来てないよ。」
そうですか、と気落ちした蘭ちゃんの声に良心が痛む。うぅ、ごめん。わざわざ雨の中心配して来てくれたのに…。でも、ここに長居もしていられないため申し訳ないとは思いつつ、とりあえず温かいお茶を出すために蘭ちゃんにリビングに誘おうとした時、あれ、と蘭ちゃんが声を上げた。
「誰?そこにいるの…。」
あ、バレた。机の方に向かう蘭ちゃんにあわあわと博士と2人で言い訳を考えるも上手くいかず、遂に新ちゃんが見つかってしまった。服の擦れる音に緊張で心臓がバクバクと鳴る。しかし予想に反して蘭ちゃんは特に気にする様子もなく小さな新ちゃんを可愛いと褒めていた。まぁ誰も人が小さくなるなんて思わないよね。ほっと肩の力が抜けたが、蘭ちゃんが小さい新ちゃんに興味を示してしまいどんどん新ちゃんに質問していく。どうしよう。名前なんて、それどころではなかった。でも答えないのは不自然だ。1人焦っていると子供特有の高い声が張り上げられた。
「ボ、ボクの名前は、江戸川コナンだ!!!」
そう言って乾いた笑いを漏らす弟に身体が固まる。
秘密だって言ったのに、そんな目立つ名前をつけてどうするのさ。
「まさかそんな事現実に起こるなんて…。だから危ない事に自分から飛び込むなって毎回言ってるのに!」
「仕方ねーだろ!見るからに怪しかったんだからよ。」
「そのせいで死にかけたのよ?!たまたま運が良かっただけで、本当にっ…!」
段々と目頭が熱くなっていく。弟の前で泣くのはみっともない気がしたが、それでも安堵と怒りで嗚咽が漏れた。事の重大さを理解してないんじゃないのと、怒鳴りつけたい気持ちを抑えた私に心配そうにムクが擦り寄ってくる。袖で目元を拭うと常より遥かに高く、けれど聞き馴染んだ声がかかった。
「姉さん…。…、わりぃ。それでも俺はやらなきゃなんねーんだ。」
見えなくても分かる。きっと真っ直ぐな顔をしているのだろう。
本当に、この子は…。
鼻をすすりぐっと想いを飲み込んだ。
「本当に危なくなったら、お父さん達に言うからね。」
「うん、ありがとう姉さん。」
そう言って新ちゃんは私の手をぎゅっと握った。小さな手だ。途端に不安になってくる気持ちを振り払うように新ちゃんを抱き締めた。着替えた子供服越しから暖かい体温を感じる。ちゃんと生きてる。
「本当に2人は仲が良いのー。」
博士の声にはっとしたように新ちゃんが離れてしまった。まぁ中身は17歳の男の子だもんね。ちょっと寂しいけど仕方ないと膝をついていた床から立ち上がる。博士は茶化したつもりがないのに照れ隠しで何か言っている新ちゃんに苦笑しながら今後のことを考える。博士が言った通りこの秘密は不特定多数に言わない方がいい。けど新ちゃんがいきなりいなくなったら、それこそ大問題だ。どうにか新ちゃんがいなくても心配されない理由と、今の新ちゃんが安全を確保出来る場所を探さなくてはならない。私は目が見えないし嘘も得意ではないから、いざって時に守ってあげられない。博士も多分無理だろう。どこか安全で、尚且つ情報も手に入る場所はないだろうか。でもそんな都合のいい場所ってあるのかな。警察署じゃないんだし、と考えてふと思い出す。
「そう言えば蘭ちゃんは?」
「あ、」
新ちゃんの間抜けな声にあれ、と冷や汗が流れた。あの子は新ちゃんが好きだ。そして結構行動派だ。これはもしかして時間がないのでは、と思った瞬間ピンポーンとインターホンが鳴り響いた。まずい、玄関の鍵を忘れてた。
「ごめんくださーい。かなえさーん、鍵開けっ放しですけど新一帰ってますかー?」
玄関から聞こえてきた蘭ちゃんの大声にぶわっと汗が噴き出す。とりあえず新ちゃんに隠れるよう言い、せめてもの時間稼ぎに玄関先で話そうと1歩前に出た瞬間、足がもつれ顔面から床に落ちた。
「ぶっ!」
「姉さん?!」
「かなえ君!」
「かなえさん?今の音どうしたんですか?!」
完全にやらかした。
心配して傍に来てくれた博士を押しのけムクが湿った鼻を押し付けてくる。そうだね、急いでる時は尚更あなたのリードを持たなきゃだったね。松田さんもよく焦りは最大のトラップて言ってたのに、これじゃまた危なっかしいって言われる。もう20歳過ぎてるのに。焦りを通り越していっそ虚無感につつまれた私の耳にバタバタと駆けてくる足音が聞こえた。そしてドアの方向から勢いよく開けらる音がして蘭ちゃんが入ってきたのが分かった。
「かなえさん大丈夫ですか?!」
「…うん、ごめんありがとう。でも、ちょっと恥ずかしいから見ないで欲しいな…。」
なんとか椅子や机に捕まりながら立ち上がる。鼻が痛い。鼻血は出てないがきっとおでことかは真っ赤になっているだろう。慌てたようにする博士と蘭ちゃんにこれ以上転んだことを心配されるのが恥ずかしくて、蘭ちゃんこそこんな雨の日にどうしたのかと問うた。
「それが新一とさっき別れてから連絡が取れなくって…。帰ってきてないですか?」
「さぁ…。私は今まで博士とここで本を読んでいたけど、蘭ちゃんが来るまで誰も来てないよ。」
そうですか、と気落ちした蘭ちゃんの声に良心が痛む。うぅ、ごめん。わざわざ雨の中心配して来てくれたのに…。でも、ここに長居もしていられないため申し訳ないとは思いつつ、とりあえず温かいお茶を出すために蘭ちゃんにリビングに誘おうとした時、あれ、と蘭ちゃんが声を上げた。
「誰?そこにいるの…。」
あ、バレた。机の方に向かう蘭ちゃんにあわあわと博士と2人で言い訳を考えるも上手くいかず、遂に新ちゃんが見つかってしまった。服の擦れる音に緊張で心臓がバクバクと鳴る。しかし予想に反して蘭ちゃんは特に気にする様子もなく小さな新ちゃんを可愛いと褒めていた。まぁ誰も人が小さくなるなんて思わないよね。ほっと肩の力が抜けたが、蘭ちゃんが小さい新ちゃんに興味を示してしまいどんどん新ちゃんに質問していく。どうしよう。名前なんて、それどころではなかった。でも答えないのは不自然だ。1人焦っていると子供特有の高い声が張り上げられた。
「ボ、ボクの名前は、江戸川コナンだ!!!」
そう言って乾いた笑いを漏らす弟に身体が固まる。
秘密だって言ったのに、そんな目立つ名前をつけてどうするのさ。