工藤さん家の娘さんは目が見えない。
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遠くの方で誰かの声がする。
「かなえちゃん!かなえちゃんしっかりして!!!!!!」
「かなえ諦めるな!っくそ、救急車はまだか!!」
血管が沸騰しているのではないかと思うほど温かく、段々と手足の末端から温度が抜けていく。
身体の感覚はとうに持ち主である私の手からどこぞへと落ちていき、ただただ痛みと酷くなる倦怠感の狭間で虫の息を繰り返した。
「いや、いやよ、ダメ。やめて、目を閉じないで!!」
「有希子触ってはいけない!かなえ、もう少しだから耐えてくれっっ!」
遠くの声はその色を濃くしていく。
鉄臭い自分の血で海にした道路でひしゃげた鼻腔に届いたのは、確かに母の涙の匂いだった。