華の元JK、空を飛ぶ
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「あれ。」
所用でグランサイファーに乗っていたランスロットは、たまたま入った談話室の机に突っ伏す姿を見て声をこぼした。
珍しい…。
いつもはマスクで隠れている口を少し開け両目を閉ざし寝ているのは、この艇の副団長であるスイだった。寝落ちするほど疲労が溜まっていたのか。若いのに偉いな、と感心するランスロットはもごもごと口を動かすスイに笑いが漏れる。どんな夢を見ているのだろうか。普段この艇の団長である少年以外にはあまり素を見せないスイのあどけない姿は新鮮で、たまたまとは言え見れて嬉しくもあった。
しかしこのままにもしておけまい。
このまま寝かせていたら確実に身体が痛くなる。ランスロットもよく寝落ちするから分かるのだ。だからこそまだ眺めていたい気持ちをグッと堪えランスロットはスイを起こすことにした。
肩に手を置き軽く揺さぶる。そのまま少し顔を寄せスイの耳元で声をかけた。
「スイ。スイ。」
「ん、ぅん…。」
ダメだ起きる気配がない。
小さなうめき声は上がるも覚醒には繋がらず、相変わらず健やかな寝息だけが続いていた。
それにランスロットは懐かしい気持ちになる。昔、ヴェインのこともこうやって起こしていたっけ。今は立場が逆転してしまっているが。
そんな思い出を掠めながら、スイの再度肩を揺すりながら何度か名前を呼ぶ。するとようやく薄らと瞼が上がり始めた。
「こんなところで寝てたら風邪ひくぞ。身体も痛くなるし部屋に行った方がいい。」
億劫そうに状態を持ち上げるスイに言葉を続けながらランスロットはスイが完全に起きるのを待つ。きっと照れるか申し訳なさそうにするか、兎に角慌てる姿は容易に想像がつく。どう言葉をかけようと思考するランスロットに、しかしスイは寝ぼけた目を擦ると、そのままランスロットの頬に自分の手を添えた。
「、え」
「おはよー。」
チュッと軽いリップ音が耳の中を木霊する。頬にキスされた、と気づいた時にはスイも完全に目を覚ましランスロット以上に目を丸くしていた。
「ラ、ランスロット…さん?グランは…?」
「あぁ、残念ながらランスロットさんしかいない。」
「っっごめんなさいぃぃ!!」
勢いよく後方へと身体を捻ったスイは赤くなったり青くなったり忙しなく顔色を変える。それにランスロットは苦笑しながら頬を指でかくと、スイは尚更真っ青になって今度は床に座り込んで頭を下げ出した。
「ちょ、おいおい!」
「ほんっとにすみません!寝ぼけてグランと勘違いしてしまいました!ごめんなさい!ごめんなさい!!」
「大丈夫だから!あぁほら、立って立って。」
ランスロットの声とグランの声が似ているのはよく周りから言われていた事だ。それこそスイも時々聞き間違えるのだから、寝ぼけている状態なら尚更判断は付きにくいだろう。けれど、だからってアレはっ…。
今はもうしてないが、まだザンクティンゼルにいた頃グランとビィとでよくやっていた挨拶。最初は慣れなかったそれが、習慣とは恐ろしい。しかもよりにもよってランスロットにしてしまうとはとスイは頭を抱える。国内外問わずファンがいるランスロット。そんな彼に頬とは言えキスをしたなど知られれば血祭りに上げられることは間違いない。それに…、と自分の想いが湧き出そうになったスイはブンブンと頭を振る。
もう恥ずかしいやら情けないやら申し訳ないやらで穴があったら埋まりたい。いや、もういっそ殺してくれ。
そんな己の醜態に発狂しそうになるスイを横目にランスロットはまだ感触の残る頬を触る。
そうか、グランにはそんなこともやるのか。
スイとグランの仲の良さに微笑ましく思うも何故か胸の内がモヤつくランスロットが、その感情に気づくのはまだもう少し先の事だった。
所用でグランサイファーに乗っていたランスロットは、たまたま入った談話室の机に突っ伏す姿を見て声をこぼした。
珍しい…。
いつもはマスクで隠れている口を少し開け両目を閉ざし寝ているのは、この艇の副団長であるスイだった。寝落ちするほど疲労が溜まっていたのか。若いのに偉いな、と感心するランスロットはもごもごと口を動かすスイに笑いが漏れる。どんな夢を見ているのだろうか。普段この艇の団長である少年以外にはあまり素を見せないスイのあどけない姿は新鮮で、たまたまとは言え見れて嬉しくもあった。
しかしこのままにもしておけまい。
このまま寝かせていたら確実に身体が痛くなる。ランスロットもよく寝落ちするから分かるのだ。だからこそまだ眺めていたい気持ちをグッと堪えランスロットはスイを起こすことにした。
肩に手を置き軽く揺さぶる。そのまま少し顔を寄せスイの耳元で声をかけた。
「スイ。スイ。」
「ん、ぅん…。」
ダメだ起きる気配がない。
小さなうめき声は上がるも覚醒には繋がらず、相変わらず健やかな寝息だけが続いていた。
それにランスロットは懐かしい気持ちになる。昔、ヴェインのこともこうやって起こしていたっけ。今は立場が逆転してしまっているが。
そんな思い出を掠めながら、スイの再度肩を揺すりながら何度か名前を呼ぶ。するとようやく薄らと瞼が上がり始めた。
「こんなところで寝てたら風邪ひくぞ。身体も痛くなるし部屋に行った方がいい。」
億劫そうに状態を持ち上げるスイに言葉を続けながらランスロットはスイが完全に起きるのを待つ。きっと照れるか申し訳なさそうにするか、兎に角慌てる姿は容易に想像がつく。どう言葉をかけようと思考するランスロットに、しかしスイは寝ぼけた目を擦ると、そのままランスロットの頬に自分の手を添えた。
「、え」
「おはよー。」
チュッと軽いリップ音が耳の中を木霊する。頬にキスされた、と気づいた時にはスイも完全に目を覚ましランスロット以上に目を丸くしていた。
「ラ、ランスロット…さん?グランは…?」
「あぁ、残念ながらランスロットさんしかいない。」
「っっごめんなさいぃぃ!!」
勢いよく後方へと身体を捻ったスイは赤くなったり青くなったり忙しなく顔色を変える。それにランスロットは苦笑しながら頬を指でかくと、スイは尚更真っ青になって今度は床に座り込んで頭を下げ出した。
「ちょ、おいおい!」
「ほんっとにすみません!寝ぼけてグランと勘違いしてしまいました!ごめんなさい!ごめんなさい!!」
「大丈夫だから!あぁほら、立って立って。」
ランスロットの声とグランの声が似ているのはよく周りから言われていた事だ。それこそスイも時々聞き間違えるのだから、寝ぼけている状態なら尚更判断は付きにくいだろう。けれど、だからってアレはっ…。
今はもうしてないが、まだザンクティンゼルにいた頃グランとビィとでよくやっていた挨拶。最初は慣れなかったそれが、習慣とは恐ろしい。しかもよりにもよってランスロットにしてしまうとはとスイは頭を抱える。国内外問わずファンがいるランスロット。そんな彼に頬とは言えキスをしたなど知られれば血祭りに上げられることは間違いない。それに…、と自分の想いが湧き出そうになったスイはブンブンと頭を振る。
もう恥ずかしいやら情けないやら申し訳ないやらで穴があったら埋まりたい。いや、もういっそ殺してくれ。
そんな己の醜態に発狂しそうになるスイを横目にランスロットはまだ感触の残る頬を触る。
そうか、グランにはそんなこともやるのか。
スイとグランの仲の良さに微笑ましく思うも何故か胸の内がモヤつくランスロットが、その感情に気づくのはまだもう少し先の事だった。