華の元JK、空を飛ぶ
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この世界には私のいた世界と同じような物が数多くある。少し様子は異なるも大まかな流れは同じそれらの中で、今日は丁度バレンタインだった。
艇内には朝から甘い匂いが漂っており、私も買ってきたチョコのお菓子を配り歩いていたが、流石に疲れてしまい甲板へと息抜きに出た。
ガサガサと色んな人から貰ったチョコやお菓子を入れた袋を揺らしながら柵に肘をかけ息を吐く。今年は手作りの人が多かったな。ベアトリクスさんは知ってたけど、まさかラインハルザさんが手作りをくれるとは思わなかった。しかもパッと見ただけでも手が込んでいると分かる。…まぁ、既製品だけど私も気持ちは込めたつもりだから。大事なのは気持ちだから。
誰に言うでもなく心の中でそう言い訳をしながら、何ともなしに空を見上げ続ける。
「スイ。」
暫くボーッとしていた私の耳に聞き知った声が届く。空から目を離し振り向くと、風邪に揺れるプラチナブロンドが目に入った。心なしか顔が強ばっている気がするが、如何せん表情はいつも通りなので内心首を傾げる。今日の依頼で一緒のものはなかったし記憶にある限りお互い何か急ぎの予定もない。どうしたのだろうか。少し疑問に思いながら柵から離れ彼、カシウスさんの元へと歩み寄った。
「どうしたんですか?」
「これを渡しに来た。」
いくらか高い位置にある目が少し伏せられながら、カシウスさんは懐からガサガサと何かを取り出した。
カシウスさんの掌に収まるくらいのそれは赤いリボンで飾られた半透明の袋だった。
「これは…?」
「バレンタインの菓子だ。レシピから少し改良したが、口には合うはずだ。」
「え、カシウスさんが作られたんですか?」
「あぁ。『オマジナイ』も『カクシアジ』も入れた。」
まじか。思わずマスクの下でポカンと口を開けた。そんな私を気にすることなくカシウスさんは私の手を取るとその手作りお菓子が入った袋を持たせる。それが中々の重量で慌てて両手で持ち直すと、カシウスさんはまた私の目を見て少しだけ微笑んで見せた。
「開けても?」
「問題ない。」
口を縛っている赤いリボンをシュルりと引くと、ふわっと甘い香りが漂う。それに引き寄せられるように中を除くと、そこにはスティック状のチョコの菓子が数本重なっていた。美味しそうだ。1つ摘みマスクを少し下げて口へと運んだ。しっとりとした食感、ブラウニーだ。しかも甘いが濃厚過ぎない私好みの味。物凄く美味しかった。
「すっごく美味しいです!カシウスさん、料理上手なんですね。」
「味覚に合ったようで何よりだ。」
少しだけ弾んだカシウスさんの声に私も笑みが零れる。なるほど、強ばっていたのは気の所為ではなかったか。随分と人間味溢れたその姿に温かい気持ちになりながら2つ目を口へと運ぶ。やばいな、美味しくて止まらない。
「そう言えば、ゼタにバレンタインにやると言うゲームを聞いた。」
ふと喋り出したカシウスさんに咥えたまま首を傾げた。ゲーム?この世界は確か機械系のゲームはなかったはずだから、多分食べ物関連だろうが…。まさかロシアンルーレット?え、このお菓子のどれかにワサビとか入ってんの?
内心焦りだした私を、しかしカシウスさんは普段と変わらない顔で見つめてくる。と言うか、なんか、近ずいてきて…、
「っ!?」
「ん…、食感も問題ないな。」
離れていくカシウスさんの顔を追う。今、いまカシウスさん、私の咥えてたヤツ食べ、と言うかちょっと唇……。
「しかしこれの何がゲームなのか理解出来ないな。勝敗もつかないしルールも定義されてない。あまりに非合理だ。」
だが、と続けるカシウスさんの唇から目が離せない。
「その顔が見れるのなら、非合理だがこの行為は悪くないな。」
そう言って口角を上げたカシウスさんに一気に顔が赤くなる。
ゼタさん、カシウスさんにいらん知識を教えないでくれ!!
艇内には朝から甘い匂いが漂っており、私も買ってきたチョコのお菓子を配り歩いていたが、流石に疲れてしまい甲板へと息抜きに出た。
ガサガサと色んな人から貰ったチョコやお菓子を入れた袋を揺らしながら柵に肘をかけ息を吐く。今年は手作りの人が多かったな。ベアトリクスさんは知ってたけど、まさかラインハルザさんが手作りをくれるとは思わなかった。しかもパッと見ただけでも手が込んでいると分かる。…まぁ、既製品だけど私も気持ちは込めたつもりだから。大事なのは気持ちだから。
誰に言うでもなく心の中でそう言い訳をしながら、何ともなしに空を見上げ続ける。
「スイ。」
暫くボーッとしていた私の耳に聞き知った声が届く。空から目を離し振り向くと、風邪に揺れるプラチナブロンドが目に入った。心なしか顔が強ばっている気がするが、如何せん表情はいつも通りなので内心首を傾げる。今日の依頼で一緒のものはなかったし記憶にある限りお互い何か急ぎの予定もない。どうしたのだろうか。少し疑問に思いながら柵から離れ彼、カシウスさんの元へと歩み寄った。
「どうしたんですか?」
「これを渡しに来た。」
いくらか高い位置にある目が少し伏せられながら、カシウスさんは懐からガサガサと何かを取り出した。
カシウスさんの掌に収まるくらいのそれは赤いリボンで飾られた半透明の袋だった。
「これは…?」
「バレンタインの菓子だ。レシピから少し改良したが、口には合うはずだ。」
「え、カシウスさんが作られたんですか?」
「あぁ。『オマジナイ』も『カクシアジ』も入れた。」
まじか。思わずマスクの下でポカンと口を開けた。そんな私を気にすることなくカシウスさんは私の手を取るとその手作りお菓子が入った袋を持たせる。それが中々の重量で慌てて両手で持ち直すと、カシウスさんはまた私の目を見て少しだけ微笑んで見せた。
「開けても?」
「問題ない。」
口を縛っている赤いリボンをシュルりと引くと、ふわっと甘い香りが漂う。それに引き寄せられるように中を除くと、そこにはスティック状のチョコの菓子が数本重なっていた。美味しそうだ。1つ摘みマスクを少し下げて口へと運んだ。しっとりとした食感、ブラウニーだ。しかも甘いが濃厚過ぎない私好みの味。物凄く美味しかった。
「すっごく美味しいです!カシウスさん、料理上手なんですね。」
「味覚に合ったようで何よりだ。」
少しだけ弾んだカシウスさんの声に私も笑みが零れる。なるほど、強ばっていたのは気の所為ではなかったか。随分と人間味溢れたその姿に温かい気持ちになりながら2つ目を口へと運ぶ。やばいな、美味しくて止まらない。
「そう言えば、ゼタにバレンタインにやると言うゲームを聞いた。」
ふと喋り出したカシウスさんに咥えたまま首を傾げた。ゲーム?この世界は確か機械系のゲームはなかったはずだから、多分食べ物関連だろうが…。まさかロシアンルーレット?え、このお菓子のどれかにワサビとか入ってんの?
内心焦りだした私を、しかしカシウスさんは普段と変わらない顔で見つめてくる。と言うか、なんか、近ずいてきて…、
「っ!?」
「ん…、食感も問題ないな。」
離れていくカシウスさんの顔を追う。今、いまカシウスさん、私の咥えてたヤツ食べ、と言うかちょっと唇……。
「しかしこれの何がゲームなのか理解出来ないな。勝敗もつかないしルールも定義されてない。あまりに非合理だ。」
だが、と続けるカシウスさんの唇から目が離せない。
「その顔が見れるのなら、非合理だがこの行為は悪くないな。」
そう言って口角を上げたカシウスさんに一気に顔が赤くなる。
ゼタさん、カシウスさんにいらん知識を教えないでくれ!!