華の元JK、空を飛ぶ
お好きな名前をどうぞ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「付き合おうか。」
食堂のいつもの席に座っていた私ははた、と目を瞬かせる。
「え、っと…?」
「だから恋人になろうって言ったんだ。嫌かい?」
「嫌、と言うか何故、と言うか…。」
困惑する私の耳にガタガタと誰かが椅子やら何やらを倒す音が聞こえる。大丈夫だろうかと心配が頭の片隅に過ぎるも、しかしそんな周りも気にすることなくベリアルさんはさも当然のように言ってのけた。
「だってキミ、オレのこと好きだろう。」
「ベリアルと付き合ってるって本当なのか?!」
ガタリと椅子を倒す勢いで立ち上がり私に詰め寄るベアトリクスさんに思わず身体を引いた。
「ベア、スイ引いてるから。落ち着きなさいよ。」
「でもあの男だぞ?!あのセクハラ発言しかしない変態堕天使!ゼタは心配じゃないのかよぉ〜!!」
そう言って今度はゼタさんに詰め寄るベアトリクスさんに苦笑した。酷い言われようだがあながち間違ってないんだよなぁ。
組織の任務が終わり久しぶりに騎空艇に来てくれたベアトリクスさんとゼタさんに挨拶に行ったら、物凄い速さでベアトリクスさんに連行された私はそのまま2人の部屋で尋問を受けている。なんでも団員から聞いたらしく慌てて帰ってきたらしい。一体誰からだろうかとまぁ大方の予想を着けつつも、あの平日の真昼間に起きたことを思い出した。
かつて世界を終末へと導こうとしたベリアルさんは、ルシファーさんと共に次元の隙間から出てきてまた一悶着起こした。大分苦戦しながら何とかグランや仲間たちと協力して思惑を阻止し、流石にもうこの2人を野放しには出来ないとグランサイファーに入団してもらったのは記憶に新しい。気難しい2人なので入団当初は色々大変だったが、今ではサンダルフォンさんや他の団員とも喧嘩しながらそこそこ楽しそうにしているで、結果的には良かったんじゃないだろうかと思う。
そんな風に多少変化しながらも平穏な日常を送って数ヶ月。特に何か深い関わりがある訳でもなかったのに、ふとその日ベリアルさんは私のもとまで歩み寄ってきた。何だろうかと疑問に思いながらも、優雅に断りを入れてきた彼に頷き前の席に腰掛けてもらい要件を聞くと、何の脈絡もなくいきなりお付き合いの提案をされた。
確かに私はベリアルさんの事がそう言った意味で好きだが、まさか普段関わりもないのに本人にバレているとは思わないし本人からモーションがかけられるとも想像していなかったので、恥ずかしいよりどうしていいか分からず目を白黒させるしかなかった。と言うかそもそもベリアルさんは私を好きなのか。いやそれは絶対ないだろう。
彼は星晶獣で感情のほとんどがルシファーさんに向いているし、人間相手にそう言った類の感情を持ち合わせることはないだろう。私自身も別に気持ちを伝えたいとか、ましてや成就させたいとは微塵も思ったことはなかった。それに好きだからと盲目になったつもりもないので、絶対裏があるのは分かりきっている。
はてさて、どうやって断ろうかと口を尖らる私に、しかし彼はするりと私のマスクを顎まで下げるとそのままグッと近寄り、唇を合わせてきた。ぽかんと口を開けたまま固まる私に舌なめずりをしたベリアルさん。その後ろで爆発した誰かの怒りと断末魔でその時の食堂は混沌と化した。
しかも結局ベリアルさんに押し切られ断れず、未だに状況が理解出来ないまま今日まで至る。
「でも意外。あんた、あの男のこと好きだったのね。」
「まぁ、うーん。結構前から憎からずとは思ってました。」
ゼタさんの声に記憶から意識を戻した私は、その言葉に照れくささよりも複雑さが勝って思わず苦笑いしてしまう。
「…ねえ、私らもさ、あんたのこと大切だしやっぱりあの男じゃ心配なのよ。…酷いことされたり無理矢理迫られたり、本当は騙されてるとかじゃないの?」
ゼタさんの真剣な眼差しとベアトリクスさんの眉の下がった顔にむず痒くなる。こうやって心配されるのは未だに慣れない。ほんの少し浮つく気持ちを落ち着けしっかりと2人を見つめる。
「心配してくれてありがとうございます。でも、大丈夫ですよ。」
そう言って微笑むとゼタさんは呆れながらも頭を撫でてくれた。
甲板の隅に座り込み膝の上にファイルを広げた。
この世界に産まれて作曲なるものを始めてみたがやはりそう簡単には上手くはいかず、目の前の譜面は真っ白なままだ。はぁ、とため息をついて後ろの樽に寄りかかる。
付き合ったからと言ってベリアルさんと恋人らしいことをしたことはない。なんなら好きと言われたこともない。普段も多方面へ変わらずセクハラ発言を繰り返して色んな人にドヤされている。会話量は増えたがグランやサンダルフォンさんの方が圧倒的に構われてるし無体を強いるどころか、傍から見たら本当に付き合っているかも怪しいくらいあの日のキス以外何もない。まぁ私的には有難いのだがほんと、彼は何がしたいのだろうか。
まぁ考えたところで分かるはずもないか。それより前の世界にあった曲に似てしまう自分の曲をどうにかしようとペンを握る。しかしやっぱり浮かんでは消えを繰り返し、しかもあまりにも暖かい陽の光にあくびが出た。日焼けが気になるけど少しならいいかなと重くなる瞼に身を任せる。
と、ふと風の流れが変わった。
誰だろうか。左側に感じる気配に微睡む意識が向いていると、バサりと何かを広げる音と共に私の身体に影が落ちた。そしてそのまま右肩に触れた生暖かい何かが力を入れ、私の身体をゆっくりと倒していく。それが手だと理解するよりはやく抗うことも出来ずに私の身体は横になった。頭の下に固い弾力が入り込み骨ばった大きな手が髪を梳いていく。
気持ちがいい。
もっとして欲しくて猫のように頬を擦り寄せると、ふっと柔らかい声が聞こえ撫でる手が一層優しくなる。
それに本当に分からない男だと思いながら、まぁ考えるのは起きてからでもいいかと陽の光もないのに暖かい影の中で、緩やかに意識を沈めていった。
食堂のいつもの席に座っていた私ははた、と目を瞬かせる。
「え、っと…?」
「だから恋人になろうって言ったんだ。嫌かい?」
「嫌、と言うか何故、と言うか…。」
困惑する私の耳にガタガタと誰かが椅子やら何やらを倒す音が聞こえる。大丈夫だろうかと心配が頭の片隅に過ぎるも、しかしそんな周りも気にすることなくベリアルさんはさも当然のように言ってのけた。
「だってキミ、オレのこと好きだろう。」
「ベリアルと付き合ってるって本当なのか?!」
ガタリと椅子を倒す勢いで立ち上がり私に詰め寄るベアトリクスさんに思わず身体を引いた。
「ベア、スイ引いてるから。落ち着きなさいよ。」
「でもあの男だぞ?!あのセクハラ発言しかしない変態堕天使!ゼタは心配じゃないのかよぉ〜!!」
そう言って今度はゼタさんに詰め寄るベアトリクスさんに苦笑した。酷い言われようだがあながち間違ってないんだよなぁ。
組織の任務が終わり久しぶりに騎空艇に来てくれたベアトリクスさんとゼタさんに挨拶に行ったら、物凄い速さでベアトリクスさんに連行された私はそのまま2人の部屋で尋問を受けている。なんでも団員から聞いたらしく慌てて帰ってきたらしい。一体誰からだろうかとまぁ大方の予想を着けつつも、あの平日の真昼間に起きたことを思い出した。
かつて世界を終末へと導こうとしたベリアルさんは、ルシファーさんと共に次元の隙間から出てきてまた一悶着起こした。大分苦戦しながら何とかグランや仲間たちと協力して思惑を阻止し、流石にもうこの2人を野放しには出来ないとグランサイファーに入団してもらったのは記憶に新しい。気難しい2人なので入団当初は色々大変だったが、今ではサンダルフォンさんや他の団員とも喧嘩しながらそこそこ楽しそうにしているで、結果的には良かったんじゃないだろうかと思う。
そんな風に多少変化しながらも平穏な日常を送って数ヶ月。特に何か深い関わりがある訳でもなかったのに、ふとその日ベリアルさんは私のもとまで歩み寄ってきた。何だろうかと疑問に思いながらも、優雅に断りを入れてきた彼に頷き前の席に腰掛けてもらい要件を聞くと、何の脈絡もなくいきなりお付き合いの提案をされた。
確かに私はベリアルさんの事がそう言った意味で好きだが、まさか普段関わりもないのに本人にバレているとは思わないし本人からモーションがかけられるとも想像していなかったので、恥ずかしいよりどうしていいか分からず目を白黒させるしかなかった。と言うかそもそもベリアルさんは私を好きなのか。いやそれは絶対ないだろう。
彼は星晶獣で感情のほとんどがルシファーさんに向いているし、人間相手にそう言った類の感情を持ち合わせることはないだろう。私自身も別に気持ちを伝えたいとか、ましてや成就させたいとは微塵も思ったことはなかった。それに好きだからと盲目になったつもりもないので、絶対裏があるのは分かりきっている。
はてさて、どうやって断ろうかと口を尖らる私に、しかし彼はするりと私のマスクを顎まで下げるとそのままグッと近寄り、唇を合わせてきた。ぽかんと口を開けたまま固まる私に舌なめずりをしたベリアルさん。その後ろで爆発した誰かの怒りと断末魔でその時の食堂は混沌と化した。
しかも結局ベリアルさんに押し切られ断れず、未だに状況が理解出来ないまま今日まで至る。
「でも意外。あんた、あの男のこと好きだったのね。」
「まぁ、うーん。結構前から憎からずとは思ってました。」
ゼタさんの声に記憶から意識を戻した私は、その言葉に照れくささよりも複雑さが勝って思わず苦笑いしてしまう。
「…ねえ、私らもさ、あんたのこと大切だしやっぱりあの男じゃ心配なのよ。…酷いことされたり無理矢理迫られたり、本当は騙されてるとかじゃないの?」
ゼタさんの真剣な眼差しとベアトリクスさんの眉の下がった顔にむず痒くなる。こうやって心配されるのは未だに慣れない。ほんの少し浮つく気持ちを落ち着けしっかりと2人を見つめる。
「心配してくれてありがとうございます。でも、大丈夫ですよ。」
そう言って微笑むとゼタさんは呆れながらも頭を撫でてくれた。
甲板の隅に座り込み膝の上にファイルを広げた。
この世界に産まれて作曲なるものを始めてみたがやはりそう簡単には上手くはいかず、目の前の譜面は真っ白なままだ。はぁ、とため息をついて後ろの樽に寄りかかる。
付き合ったからと言ってベリアルさんと恋人らしいことをしたことはない。なんなら好きと言われたこともない。普段も多方面へ変わらずセクハラ発言を繰り返して色んな人にドヤされている。会話量は増えたがグランやサンダルフォンさんの方が圧倒的に構われてるし無体を強いるどころか、傍から見たら本当に付き合っているかも怪しいくらいあの日のキス以外何もない。まぁ私的には有難いのだがほんと、彼は何がしたいのだろうか。
まぁ考えたところで分かるはずもないか。それより前の世界にあった曲に似てしまう自分の曲をどうにかしようとペンを握る。しかしやっぱり浮かんでは消えを繰り返し、しかもあまりにも暖かい陽の光にあくびが出た。日焼けが気になるけど少しならいいかなと重くなる瞼に身を任せる。
と、ふと風の流れが変わった。
誰だろうか。左側に感じる気配に微睡む意識が向いていると、バサりと何かを広げる音と共に私の身体に影が落ちた。そしてそのまま右肩に触れた生暖かい何かが力を入れ、私の身体をゆっくりと倒していく。それが手だと理解するよりはやく抗うことも出来ずに私の身体は横になった。頭の下に固い弾力が入り込み骨ばった大きな手が髪を梳いていく。
気持ちがいい。
もっとして欲しくて猫のように頬を擦り寄せると、ふっと柔らかい声が聞こえ撫でる手が一層優しくなる。
それに本当に分からない男だと思いながら、まぁ考えるのは起きてからでもいいかと陽の光もないのに暖かい影の中で、緩やかに意識を沈めていった。