軍刀女士の大戦記
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初の刀剣女士 夕凪が実装されてから数ヶ月がたったある日。何かと問題が起こる中、ここ越中にある本丸は発足したてということもあり大きな揉め事もなく穏やかな日々を送っていた。
「夕凪殿にも弟君がおられるのですね。」
「はい。もう何百年と会っていませんが似てないのが一振。」
きゃらきゃらと短刀達が走り回る姿を眺めながら縁側に座る男、一期一振とその隣の女、夕凪は緩やかに語らっていた。
この本丸初の鍛刀太刀である夕凪と、その夕凪がドロップした一期一振は同じ刀剣のタイプということもあり今のような雑談する姿がよく目撃される。
兄弟や旧知のものに対しての態度とは若干違うその姿に彼を知るものは意味深に顔を歪めるが、夕凪からしたら無銘でしかも趣味の範囲で造られた自分が皇室の私有財産である名刀と同僚という関係で会話しているのは今だに不可思議な感覚だった。
「でしたら何の問題もありませんな。」
「はい?」
要領の得ない同僚に夕凪は澄んだ灰の双眼に疑問符を浮かべた。
軍刀 夕凪が他の刀剣と異なるのは何も性別だけではない。
主は上司であり守るべき国民、刀剣男士は同僚であり国の重要遺産という国基準の考え方で神より人より"自分は国の所有物"としての物の意識が強い。別に他者の感情に疎いわけでも場の空気に鈍いわけでもないのだが、元来の魂の本質も相まって刀の自分に、物としての感情以外が向くはずがないと思っている。いや、そんな事すら考えにはないだろう。
しかし、他の刀剣がそうだとは限らない。
気に入れば隠してしまう神気質のものもいれば人のように心に身を焦がすものもいる。
故に精神や客観視の誤差に加えて魂の記憶にないこの現象に対処出来ず『気づいたら外堀が埋まっていた』なんてことは夕凪にはざらにあることなのだ。
胸元の首飾りが陽の光を反射してきらりと光る。ドッグタグといったか。なんの意味があるものかは知らないが面白みのない銀より藍の宝玉の方が彼女にはよく映える。
今度自身のそれと揃いのを買ってこようと巷で噂のその爽やかで気品ある笑顔を向けるも、裏をようやく理解した夕凪は顔には出さなかったが内心滝のように汗が流れていた。
なら、この前短刀の子らと一緒に作った甘味も(いち兄の好物だと言っていた)何故か被りまくる万事屋への買い出しも(店の番にも客にも微笑まれた)遠征途中でいなくなる脇差と打刀も(ただの町中散歩な報告書内容に閣下はとても喜ばれていた)全て、全部、仕組まれて…???
いつの間にか聞こえなくなっていた短刀達の声も気にする余裕がない夕凪は一期一振の両手ですっぽりと包み込まれた利き手がビクともしないと知りながらも必死に動かす。
「今更弟一振増えたところでどうということもありません。」
爆発しそうなほど波打つ心臓音はときめきから?
ううん、
紛れもない恐怖から。
青ざめていく夕凪を他所に一期一振はそれはもう見るもの全てに幸せだとアピールするかのような笑顔で、
「だから安心して粟田口になってくだされ。」
すぐ近くで厚と閣下の下手な口笛が聞こえた。
本丸ボイスー1 『私には弟がいるんですが、あまり似ていないんです。』
「夕凪殿にも弟君がおられるのですね。」
「はい。もう何百年と会っていませんが似てないのが一振。」
きゃらきゃらと短刀達が走り回る姿を眺めながら縁側に座る男、一期一振とその隣の女、夕凪は緩やかに語らっていた。
この本丸初の鍛刀太刀である夕凪と、その夕凪がドロップした一期一振は同じ刀剣のタイプということもあり今のような雑談する姿がよく目撃される。
兄弟や旧知のものに対しての態度とは若干違うその姿に彼を知るものは意味深に顔を歪めるが、夕凪からしたら無銘でしかも趣味の範囲で造られた自分が皇室の私有財産である名刀と同僚という関係で会話しているのは今だに不可思議な感覚だった。
「でしたら何の問題もありませんな。」
「はい?」
要領の得ない同僚に夕凪は澄んだ灰の双眼に疑問符を浮かべた。
軍刀 夕凪が他の刀剣と異なるのは何も性別だけではない。
主は上司であり守るべき国民、刀剣男士は同僚であり国の重要遺産という国基準の考え方で神より人より"自分は国の所有物"としての物の意識が強い。別に他者の感情に疎いわけでも場の空気に鈍いわけでもないのだが、元来の魂の本質も相まって刀の自分に、物としての感情以外が向くはずがないと思っている。いや、そんな事すら考えにはないだろう。
しかし、他の刀剣がそうだとは限らない。
気に入れば隠してしまう神気質のものもいれば人のように心に身を焦がすものもいる。
故に精神や客観視の誤差に加えて魂の記憶にないこの現象に対処出来ず『気づいたら外堀が埋まっていた』なんてことは夕凪にはざらにあることなのだ。
胸元の首飾りが陽の光を反射してきらりと光る。ドッグタグといったか。なんの意味があるものかは知らないが面白みのない銀より藍の宝玉の方が彼女にはよく映える。
今度自身のそれと揃いのを買ってこようと巷で噂のその爽やかで気品ある笑顔を向けるも、裏をようやく理解した夕凪は顔には出さなかったが内心滝のように汗が流れていた。
なら、この前短刀の子らと一緒に作った甘味も(いち兄の好物だと言っていた)何故か被りまくる万事屋への買い出しも(店の番にも客にも微笑まれた)遠征途中でいなくなる脇差と打刀も(ただの町中散歩な報告書内容に閣下はとても喜ばれていた)全て、全部、仕組まれて…???
いつの間にか聞こえなくなっていた短刀達の声も気にする余裕がない夕凪は一期一振の両手ですっぽりと包み込まれた利き手がビクともしないと知りながらも必死に動かす。
「今更弟一振増えたところでどうということもありません。」
爆発しそうなほど波打つ心臓音はときめきから?
ううん、
紛れもない恐怖から。
青ざめていく夕凪を他所に一期一振はそれはもう見るもの全てに幸せだとアピールするかのような笑顔で、
「だから安心して粟田口になってくだされ。」
すぐ近くで厚と閣下の下手な口笛が聞こえた。
本丸ボイスー1 『私には弟がいるんですが、あまり似ていないんです。』