番外編
私は今、人生最大と言っても過言ではない危機に陥っている。
「ほら稀咲。はーやーくー。」
「ちょっと黙ってろ!!」
心底楽しそうにニヤニヤと笑う半間にチッと舌を打つ。いつも通り連絡もなく我が家へ来た半間は私の部屋で一息つくなり、自分の苗字ではなく名前を呼べと言ってきた。なんの気の迷いか暇潰しかは知らないがいい迷惑だ。今まで名前なんて拘ったことないのに…、くだらないと始めは相手にしなかったも、全体重をかけて寄りかかってきては無視できなくなり仕方なく付き合ってやることにした。
したのだが…。
「稀咲〜。さっきからすげぇ顔してっけど、まさか俺の名前知らねぇの?」
「は?舐めるな。知ってる。」
「なら言えよ。」
「うっ、ぐ、…しゅ、しゅう、まい…。」
「お前いい加減にしろよ。」
だりぃ〜、とお決まりのセリフを吐く半間にぐぬぬと唸る。何故か呼べない。たかだか"修二"と言うだけなのに、私の喉は拒否するかのように言おうとすると詰まってしまう。なんでだ。ヒナとエマと変わらないのになんで呼べないんだ。なんでこんなに照れるんだ。
「次間違えたら5分くらいお前の口に舌突っ込む。」
「は?!」
唸りながら必死に口をもごつかせている私に恐ろしい言葉が聞こえてきた。舌を突っ込むとは、あの変なキスをまたすると言うことか?!
「意味がわからんっ、と言うか、私はお前が初めてなんだぞ?!もっと優しくしろ!」
「あ、今のいいわ。もう1回。」
「誰が言うか!!」
こちらがどれだけ声を荒らげようが暖簾に腕押しとはこのことで、しらっとしている半間に焦りが募った。冗談じゃない。そんな事されたら私の肺活量も心臓も持つわけがない。でもこいつなら絶対やるだろうとは短くない付き合いの中で嫌という程理解できた。くそっ、さっきから主導権はまるっきり半間のものだ。私の方が勉強出来るのに。巫山戯てる、絶対おかしい。
「ほらほら、黙ってっと勝手にやっちまうぞ〜。」
「分かったから、ちょ、触るな!」
手を伸ばし顔を触ってくる半間に身体を捻る。
そうだ、名前を呼べばいいだけだ。何も難しいことはないだろう。いつもヒナ達にやってるように、こいつが私にやってるようにするだけだ。そう思い何故かはやくなる心臓の音を無視して意を決っした。
「しゅ、しゅ、しゅうじ……、つ。」
「10分。」
「ぎゃー!!」
伸びてくる両手に今度こそ逃げることが出来ず、何故か増えた時間と甘ったるい半間の声に心臓が持たなかったのは言うまでもない。
「ほら稀咲。はーやーくー。」
「ちょっと黙ってろ!!」
心底楽しそうにニヤニヤと笑う半間にチッと舌を打つ。いつも通り連絡もなく我が家へ来た半間は私の部屋で一息つくなり、自分の苗字ではなく名前を呼べと言ってきた。なんの気の迷いか暇潰しかは知らないがいい迷惑だ。今まで名前なんて拘ったことないのに…、くだらないと始めは相手にしなかったも、全体重をかけて寄りかかってきては無視できなくなり仕方なく付き合ってやることにした。
したのだが…。
「稀咲〜。さっきからすげぇ顔してっけど、まさか俺の名前知らねぇの?」
「は?舐めるな。知ってる。」
「なら言えよ。」
「うっ、ぐ、…しゅ、しゅう、まい…。」
「お前いい加減にしろよ。」
だりぃ〜、とお決まりのセリフを吐く半間にぐぬぬと唸る。何故か呼べない。たかだか"修二"と言うだけなのに、私の喉は拒否するかのように言おうとすると詰まってしまう。なんでだ。ヒナとエマと変わらないのになんで呼べないんだ。なんでこんなに照れるんだ。
「次間違えたら5分くらいお前の口に舌突っ込む。」
「は?!」
唸りながら必死に口をもごつかせている私に恐ろしい言葉が聞こえてきた。舌を突っ込むとは、あの変なキスをまたすると言うことか?!
「意味がわからんっ、と言うか、私はお前が初めてなんだぞ?!もっと優しくしろ!」
「あ、今のいいわ。もう1回。」
「誰が言うか!!」
こちらがどれだけ声を荒らげようが暖簾に腕押しとはこのことで、しらっとしている半間に焦りが募った。冗談じゃない。そんな事されたら私の肺活量も心臓も持つわけがない。でもこいつなら絶対やるだろうとは短くない付き合いの中で嫌という程理解できた。くそっ、さっきから主導権はまるっきり半間のものだ。私の方が勉強出来るのに。巫山戯てる、絶対おかしい。
「ほらほら、黙ってっと勝手にやっちまうぞ〜。」
「分かったから、ちょ、触るな!」
手を伸ばし顔を触ってくる半間に身体を捻る。
そうだ、名前を呼べばいいだけだ。何も難しいことはないだろう。いつもヒナ達にやってるように、こいつが私にやってるようにするだけだ。そう思い何故かはやくなる心臓の音を無視して意を決っした。
「しゅ、しゅ、しゅうじ……、つ。」
「10分。」
「ぎゃー!!」
伸びてくる両手に今度こそ逃げることが出来ず、何故か増えた時間と甘ったるい半間の声に心臓が持たなかったのは言うまでもない。