女体化稀咲の仕合わせな一生 【完】
後日、父への挨拶を終え、まぁ流石に言わないわけにはいかないだろうと嫌がる半間を無理矢理連れて幹部を集める。そこで妊娠報告とそれに伴い結婚する事を伝えると茶化されながらも祝いの言葉が飛び交った。三途春千夜と灰谷竜胆は相変わらず一言余計だったが。お前ら私に口喧嘩で勝てたことないくせによくやるな。優しい鶴蝶を見習えと言おうとして、その隣のイザナを見てギョッとする。
「う、うぅっ。」
「イ、イザナ…?」
「大将どうした?」
望月と灰谷蘭が恐る恐る声をかけるのも無理はない。泣いているのだ。あの泣く子も黙るどころか大人も泣かせる血も涙もないイザナがボロボロ涙を零している。途中途中に鼻をすすり男泣きを披露していた。
「ふっ、グスッ。うぅぅぅぅ〜!!」
「どうも感極まってるらしい。」
「なんでだよ。」
鶴蝶の説明に納得出来ず思わず半目になる。お前はどこポジションで泣いているんだ。いや、喜んでくれるのは嬉しいがたかだか付き合いの長いだけの上司に泣かれる気持ちを考えて欲しい。周りも状況が把握出来ずに困惑している。堪らず灰谷竜胆が私を肘でつついてきたが、どうしろって言うんだ。大の大人の泣き止ませ方なんて知らないぞと思っていると、いきなりイザナは勢いよく顔を上げ、私と私の肩を抱く半間を充血した目で睨みつけてくる。怖い怖い怖い。
「その汚ねぇ手を離せ。なんだよ罪と罰って。母子に悪影響だろうが。」
「今更すぎっし、オレの精子で出来たガキなんだよなぁ。」
半間…、お前ここぞとばかりに煽るな。元からイザナに従っていた鶴蝶達とは違い半間はイザナに対してあまり良い態度は取らない。社長だから仕事の指示には従うのだが、私を殺そうとした事が未だ蟠りとして残っているらしく2人の仲は少しだけ殺伐としていた。まぁ、お互いにいい大人だし余程の事がない限りは黙認している。
そんな訳で私の傍を離れて馬鹿丸出しの応酬を始めた2人を無視し、仕事の引き継ぎや勤務の調整など今後の事を話していく。安定期になってから式を挙げるつもりだが、準備は片手間でもいいとして流石につわりの中仕事をするのは支障が出る。しかもその前には花垣とヒナの結婚式もあるので、どうしようかとパソコンと睨み合っているといつの間にか私の座るソファへと近づいてきた斑目が声をかけてきた。
「半間と結婚すんなら、もう稀咲って呼べねぇな。」
「いや、お互い苗字で仕事していた時期の方が長いから籍には入るが仕事時は稀咲のままだ。」
だから問題ないと答えるとそれでいいのかと九井が首を傾げたが、始めからそうするつもりで半間も既に納得している。…1番の理由は自分以外が私の名前を呼ぶのが嫌だと半間がゴネたからだと言うことは黙っておこう。
1人納得していると望月が問うてきた。
「名前っていやぁ子供のはもう考えたのかよ。」
「まだだな。」
「罪と罰にあやかって禊とかでいいんじゃね?それか正義とか。」
「お前のセンスは花垣と一緒だな。」
「んだとゴラァ!!!」
凄い剣幕で声を荒らげた三途に灰谷兄弟が笑い出した。お前花垣嫌いだもんな。でも始めに喧嘩売ったのはお前だからな、バカが。いい加減私に口では勝てないと気づけ。それにまだ性別は分からないんだぞ。はぁ、とため息をつくと半間とやり合っていたイザナがぐるりとこちらに顔を向けた。だから怖いって。
「名前はもう決めてある。真に中央の央でマオだ。」
「なんでだよだりぃな。」
半間に同調するように首を振る。意味が分からないし頼んでない。なんで親を差し置いてお前が決めるんだよ。いくらイザナが横柄な奴だと言ってもこれはおかしいだろと他の奴らを見ると神妙な顔をしていた。おい、お前らもか。巫山戯んな。
「半間真央って言い難いな…。」
「いや勝手に確定にするな。しかも性別はまだ分かんないだぞ。」
「俺には分かる。絶対女だ。」
やはりと言うか当たり前のように鶴蝶が口ずさんだ名前に否定を入れるも、それにイザナは見たこともないくらいしっかりとした瞳で私に言ってきた。その自信はいったいどこから来るんだ。てかお前は本当にどこポジションなんだ。
「それでエマのところは一輝にする。」
「あそこ娘じゃなかったっけ?」
灰谷蘭の言葉に頭を抱え頷く。つい最近性別が分かったと言っていたエマからは女の子だと聞いた。その時、縁起のいい画数や漢字を聞かれたのでもうすでに大方名前は決まっているだろう。決まってなくとも女の子に一輝は流石にどうかと思う。いや、広い世の中女の子でもこの名前がいいと言う人もいるだろうが、それでも頼んでもいない奴から貰うにはあまりに迷惑だ。と言うかなんで真央と一輝なんだ。なんの意味を込めているだ。眉を寄せて考える。
真央、一輝。真と央、一と輝き。
……、真と、一??
「花垣んとこが産まれたら郎をつけるつもりだ。」
「拗らせすぎだろ。」
ドン引きした。周りも意味が分かったのか引いていた。
名前の話は一旦保留となった。
「う、うぅっ。」
「イ、イザナ…?」
「大将どうした?」
望月と灰谷蘭が恐る恐る声をかけるのも無理はない。泣いているのだ。あの泣く子も黙るどころか大人も泣かせる血も涙もないイザナがボロボロ涙を零している。途中途中に鼻をすすり男泣きを披露していた。
「ふっ、グスッ。うぅぅぅぅ〜!!」
「どうも感極まってるらしい。」
「なんでだよ。」
鶴蝶の説明に納得出来ず思わず半目になる。お前はどこポジションで泣いているんだ。いや、喜んでくれるのは嬉しいがたかだか付き合いの長いだけの上司に泣かれる気持ちを考えて欲しい。周りも状況が把握出来ずに困惑している。堪らず灰谷竜胆が私を肘でつついてきたが、どうしろって言うんだ。大の大人の泣き止ませ方なんて知らないぞと思っていると、いきなりイザナは勢いよく顔を上げ、私と私の肩を抱く半間を充血した目で睨みつけてくる。怖い怖い怖い。
「その汚ねぇ手を離せ。なんだよ罪と罰って。母子に悪影響だろうが。」
「今更すぎっし、オレの精子で出来たガキなんだよなぁ。」
半間…、お前ここぞとばかりに煽るな。元からイザナに従っていた鶴蝶達とは違い半間はイザナに対してあまり良い態度は取らない。社長だから仕事の指示には従うのだが、私を殺そうとした事が未だ蟠りとして残っているらしく2人の仲は少しだけ殺伐としていた。まぁ、お互いにいい大人だし余程の事がない限りは黙認している。
そんな訳で私の傍を離れて馬鹿丸出しの応酬を始めた2人を無視し、仕事の引き継ぎや勤務の調整など今後の事を話していく。安定期になってから式を挙げるつもりだが、準備は片手間でもいいとして流石につわりの中仕事をするのは支障が出る。しかもその前には花垣とヒナの結婚式もあるので、どうしようかとパソコンと睨み合っているといつの間にか私の座るソファへと近づいてきた斑目が声をかけてきた。
「半間と結婚すんなら、もう稀咲って呼べねぇな。」
「いや、お互い苗字で仕事していた時期の方が長いから籍には入るが仕事時は稀咲のままだ。」
だから問題ないと答えるとそれでいいのかと九井が首を傾げたが、始めからそうするつもりで半間も既に納得している。…1番の理由は自分以外が私の名前を呼ぶのが嫌だと半間がゴネたからだと言うことは黙っておこう。
1人納得していると望月が問うてきた。
「名前っていやぁ子供のはもう考えたのかよ。」
「まだだな。」
「罪と罰にあやかって禊とかでいいんじゃね?それか正義とか。」
「お前のセンスは花垣と一緒だな。」
「んだとゴラァ!!!」
凄い剣幕で声を荒らげた三途に灰谷兄弟が笑い出した。お前花垣嫌いだもんな。でも始めに喧嘩売ったのはお前だからな、バカが。いい加減私に口では勝てないと気づけ。それにまだ性別は分からないんだぞ。はぁ、とため息をつくと半間とやり合っていたイザナがぐるりとこちらに顔を向けた。だから怖いって。
「名前はもう決めてある。真に中央の央でマオだ。」
「なんでだよだりぃな。」
半間に同調するように首を振る。意味が分からないし頼んでない。なんで親を差し置いてお前が決めるんだよ。いくらイザナが横柄な奴だと言ってもこれはおかしいだろと他の奴らを見ると神妙な顔をしていた。おい、お前らもか。巫山戯んな。
「半間真央って言い難いな…。」
「いや勝手に確定にするな。しかも性別はまだ分かんないだぞ。」
「俺には分かる。絶対女だ。」
やはりと言うか当たり前のように鶴蝶が口ずさんだ名前に否定を入れるも、それにイザナは見たこともないくらいしっかりとした瞳で私に言ってきた。その自信はいったいどこから来るんだ。てかお前は本当にどこポジションなんだ。
「それでエマのところは一輝にする。」
「あそこ娘じゃなかったっけ?」
灰谷蘭の言葉に頭を抱え頷く。つい最近性別が分かったと言っていたエマからは女の子だと聞いた。その時、縁起のいい画数や漢字を聞かれたのでもうすでに大方名前は決まっているだろう。決まってなくとも女の子に一輝は流石にどうかと思う。いや、広い世の中女の子でもこの名前がいいと言う人もいるだろうが、それでも頼んでもいない奴から貰うにはあまりに迷惑だ。と言うかなんで真央と一輝なんだ。なんの意味を込めているだ。眉を寄せて考える。
真央、一輝。真と央、一と輝き。
……、真と、一??
「花垣んとこが産まれたら郎をつけるつもりだ。」
「拗らせすぎだろ。」
ドン引きした。周りも意味が分かったのか引いていた。
名前の話は一旦保留となった。