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人並みに、生活していた。
確かにその日は友達だと思っていた人に明らかな意思を持って拒絶され落ち込んでいたし、なんとなく全体的に運の悪い日だとは思っていたけれど。
それでも、自分だって月並みの幸せくらいは掴めると。
そう思っていた。
「…夢、か。」
けたたましい目覚ましの音に緋鞠はふと目を覚ます。
最悪だ。なんでこんな時に昔の夢なんか…と、自分の不運を呪って深いため息をついた。
突然だが、彼女は転生者である。
突然過ぎるかもしれないが、この物語を進めるにあたっては、知っていなくてはならないことだ。
小鳥遊緋鞠、享年16歳。部活の帰り道で通り魔に心臓を滅多刺しにされ最期を迎えた。
そして、何の因果か彼女は前世大好きだった漫画の世界で生き返ったのである。
所謂輪廻転生というやつをしてしまったわけだ。
世界人口の8割が何らかの特異体質を持つ超人社会───────齢4つで『個性』と呼ばれるそれが発現する、『僕のヒーローアカデミア』の世界へ。
緋鞠は最初こそ大いに喜んだ。
しかし、彼女に待ち受けていたのは、その喜びを大きく凌駕する…受難だった。
「緋鞠、もう燈矢くんいるわよ!早くしなさいー!」
「はぁーい」
現在小学3年生の緋鞠は、母の言葉にそう返事をすると、先程の悪夢のせいで汗の滲んだパジャマを脱いでワンピースに着替え、階下へ降りていく。
「遅ぇよあほ。早く支度して行くぞ」
「ごめんて…燈矢はもうご飯食べた?」
「食ってお前待ってた。さっさとしろって。置いてくからな」
転生に喜んでいた彼女にまずぶち当たった受難…それは、幼馴染『轟燈矢』の存在だった。
本来原作の計算上、彼は登場時23歳のはずだ。その彼が今ここに、同い年でいるということは。
「(原作と全っ然、タイミング噛み合ってないんだよなぁ…)」
原作に関われないうえ、彼の扱いはなかなか面倒である。
自由奔放で口が悪く意地悪、たまにデレたと思ったらすぐに何か毒舌がついてくるのだ。
どことなく掴めない彼の相手が、緋鞠はすこぶる嫌いであった。
いや、彼をキャラとして嫌っていたわけではない。寧ろ、彼女は彼を敵の中で一番好いて、推していた。
その蒼い炎を初めて見た時は感動に打ちひしがれ、彼の口から出る台詞の1つ1つに心酔し、彼が轟焦凍の兄夏雄を『夏くん』と呼んでいることを知った時には「急なデレ…!」と悶え苦しんだ。
とはいえ、やはり実際に目で見てみると彼の相手は非常に骨が折れることで。
早速二週目の人生1番の壁かも、と、彼女は人知れずため息をついたのだった。
確かにその日は友達だと思っていた人に明らかな意思を持って拒絶され落ち込んでいたし、なんとなく全体的に運の悪い日だとは思っていたけれど。
それでも、自分だって月並みの幸せくらいは掴めると。
そう思っていた。
「…夢、か。」
けたたましい目覚ましの音に緋鞠はふと目を覚ます。
最悪だ。なんでこんな時に昔の夢なんか…と、自分の不運を呪って深いため息をついた。
突然だが、彼女は転生者である。
突然過ぎるかもしれないが、この物語を進めるにあたっては、知っていなくてはならないことだ。
小鳥遊緋鞠、享年16歳。部活の帰り道で通り魔に心臓を滅多刺しにされ最期を迎えた。
そして、何の因果か彼女は前世大好きだった漫画の世界で生き返ったのである。
所謂輪廻転生というやつをしてしまったわけだ。
世界人口の8割が何らかの特異体質を持つ超人社会───────齢4つで『個性』と呼ばれるそれが発現する、『僕のヒーローアカデミア』の世界へ。
緋鞠は最初こそ大いに喜んだ。
しかし、彼女に待ち受けていたのは、その喜びを大きく凌駕する…受難だった。
「緋鞠、もう燈矢くんいるわよ!早くしなさいー!」
「はぁーい」
現在小学3年生の緋鞠は、母の言葉にそう返事をすると、先程の悪夢のせいで汗の滲んだパジャマを脱いでワンピースに着替え、階下へ降りていく。
「遅ぇよあほ。早く支度して行くぞ」
「ごめんて…燈矢はもうご飯食べた?」
「食ってお前待ってた。さっさとしろって。置いてくからな」
転生に喜んでいた彼女にまずぶち当たった受難…それは、幼馴染『轟燈矢』の存在だった。
本来原作の計算上、彼は登場時23歳のはずだ。その彼が今ここに、同い年でいるということは。
「(原作と全っ然、タイミング噛み合ってないんだよなぁ…)」
原作に関われないうえ、彼の扱いはなかなか面倒である。
自由奔放で口が悪く意地悪、たまにデレたと思ったらすぐに何か毒舌がついてくるのだ。
どことなく掴めない彼の相手が、緋鞠はすこぶる嫌いであった。
いや、彼をキャラとして嫌っていたわけではない。寧ろ、彼女は彼を敵の中で一番好いて、推していた。
その蒼い炎を初めて見た時は感動に打ちひしがれ、彼の口から出る台詞の1つ1つに心酔し、彼が轟焦凍の兄夏雄を『夏くん』と呼んでいることを知った時には「急なデレ…!」と悶え苦しんだ。
とはいえ、やはり実際に目で見てみると彼の相手は非常に骨が折れることで。
早速二週目の人生1番の壁かも、と、彼女は人知れずため息をついたのだった。