世界観、その他設定

はやとちり

荒瀧組(あらたきぐみ)が借金の取り立てで、ふわめの家の周囲やふわめ自身を常に監視していた時、極貧生活を続けていたふわめに頻繁に接触する少女があらわれた。

最も荒瀧組の人間を不審な気持ちにさせたのは、その少女がふわめに会うたび、ちいさな封筒のようなものを彼女に渡していたことだった。

荒瀧組の人間は思った。『もしかしたらあの少女は、ふわめたち一家と近しい仲で、こそこそと夜逃げの資金や段取りを行っているのかもしれない』と。

ふわめ達が逃げないよう、アマービレから多額の依頼料を受け取っていた荒瀧組の人間からすれば、夜逃げは一番起きてはいけないこと。だったらどうそれを防ぐか。もちろんそんなの、相談せずとも決まっているようなものだった。

荒瀧組の人間は、その少女を調べ、家を見つけた。そしてそこへ押し入り、一家全員を惨殺した。

しかし実際その少女は、単にふわめと最も仲のよい友人だっただけで、毎日食べるのすら買えないふわめを心配し、自分の小遣いから、ふわめだけが食べていける程度のお金を渡していただけだったのだ。

その後、事件は一時『第1都市警察』に持ち込まれ世間に知れ渡りかけたが、アマービレのちからで永久に表沙汰になることはなかった。
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