小ネタ集①

カルロ&アイリス




「う”……」


──声が出ない。

僕としたことが……
昨晩、夜風に当たりすぎてしまったようだ。

そんな事はお構い無しに電話が鳴る。


「……もじもじ……」


おまけに鼻声じゃないか。
何と情けない……


「ん? カルロじゃないのか。まぁ、いいカルロに伝えてくれないか」


電話の相手はアイリス様だった。


「いえ”、僕はカル──」
「声、辛そうだな……手短に話そう」


アイリス様は続ける。
一体、アイリス様は僕を誰と思って話しているのだろうか。


「今夜、いや明日になるか? 出先で手に入れた貴重なものが届く。皆で楽しく囲んで食べるよう、カルロに伝えてくれ」
「……ばがりばじだ(分かりました)。ばりがどうございばず……(ありがとうございます……)」


アイリス様は本当に御優しい主だ。
この方に仕えることが出来、心から光栄と思う。

──だが、次の一言で僕の体調は一気に悪化することになる。


「よろしく頼んだぞ、ライ」


そう言うと、電話は切れた。


「…………ライ?」


こ、この……声はライと似ているのか?
あまりのショックに僕は数日寝込む事になる。
そして、二度と風邪など引かないと心に誓った。







END.
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