小ネタ集①

エレナ&カイト




目を覚ますと、見慣れない天井が目に入った。


「え……此処、どこ?」


体を起こすと、隣には知らない男の子が寝ていた。


「だ……誰?」


服を見ると……
これ、私の服じゃない……
しかも……なんかはだけてる……
まさか、この人と──
……私……カイトくん以外と?
いや……嘘…………
やだ……そんな事……


「ど、どうしよう…………カイトくんに合わせる顔ないよ──」


その時だった。
勢いよくドアが開いた。


「エレナちゃん!」


慌てた姿のカイトくんに、思わず目を逸らす。


「エレナちゃん、大丈夫?」
「…………カイトくん……ごめんなさい…………私──」
「無事で良かった……」


無事……?
無事なんかじゃないよ……
私きっと、この人と──


「みんな軽症だって」
「……え? みんな?」
「緊張してたんだろうね」
「き、緊張?」


カイトくんは……何を言ってるの?


「新米教師じゃ仕方ないよね。プレッシャーものし掛かるし……僕も気持ちは分かるな」


その言葉に記憶が目まぐるしく巻き戻る。

──そうだ。
化学実験の時に突然、煙が上がって……
逃げる途中で……

記憶と共に、此処が病院だと理解した。

……なに勘違いしていたんだろう……
恥ずかしい……


「エレナちゃん? 顔、赤いけど大丈夫?」
「え! あ、うん……大丈──」
「うん、大丈夫だよ」


カイトくんは動揺する私を優しく、抱き締めてくれた。

……大丈夫、心と身体でそう感じられた。








END.
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