小ネタ集⑤
「ちょ、セレナ!」
「何よ……」
「お前、さっき一緒だった男……誰だよ?」
野暮用で外に出た帰り、セレナを見掛けた。
声を掛けようとした時、サングラスの男がセレナの横に付きまとった。
建物内、ずっと一緒だった。
二人でエレベーターに乗った、そこまでは確かに見た。
急いで後を追ったものの、見失ってしまった。
セレナが帰宅したのは、それから
約……2時間後だった。
「そんな男、知らないわよ」
「浮気……」
「はい?」
「俺の何が不満なんだ……」
「……ワケ分からない」
「愛情不足、か?」
「ううん、逆に重いくらいでしょ……」
「…………あのサングラスの男……ッ」
様子見る前にブッ殺しておけば良かった……
「サングラス?」
「あぁ……」
「……サキト、さっきいたよね?」
「え?」
「新しくオープンした駅ビル」
「あ、あぁ……」
セレナ、俺に気付いてたのか?
「サングラス姿だったから、笑い堪えるの大変だったんだよ?」
「は?」
「あそこ、鏡に囲まれてるから……どこ行ってもサキトが映ってるんだもん」
「はい?」
「……エレベーター乗ったら、誰もいなくて……お腹抱えて笑っちゃったよ」
──つまりは……犯人は俺かよ。
〈The incident took Place at the Scene-事件は現場で起きていた?-〉
END.
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