小ネタ集⑤
「好き……嫌い……好き──」
「ライ? 何してんの?」
「タスクじゃん。花占いってやつ」
「へぇ。乙女な事やってんの?」
「そー。今はエレナとカイトのやつ」
他人のを占ってんのかよ。
「好き……嫌い……」
ん? ちょっと待て……
このままじゃ──
「ライ。お前のお気に入りの新作、買ったのか?」
うわ……我ながら、わざとらしい。
この会話、数日前にしたばかりだろ……
「+20枚くらい買った!」
……単純だったな、コイツは。
ライが話に夢中になってるうちに、オレっちは花びらを一枚取った。
「……好き…………うわー。やっぱ、あいつら両思いかよ。はい、次! タスクとリコリスやってやるよ」
オレっちとリコリス?
そんなん占わなくても……
いや、ちょっと待て!
花びらの数的に危険回避は避けられないと悟る。
「そ、そんなたくさん使わないだろ」
さっきの会話の続きをしてみる。
「は? おれんじゃねーし。みんなにプレゼント。普段のお礼はおれとお揃いの──」
「オレっちの分はセツナにでもやってくれ」
言いながら、花びら一枚取った。
……W殺意を解き放つとこだった。
危ねェ、危ねェ……
「もう、花ねーな。そんじゃ、おれとリゼルでもやるか」
ん?
枚数を数えると、“嫌い”で終わる。
それを確認して、オレっちはライと別れた。
その時、カルロの車が勢いよく飛び出していった。
「お! ラッキー!! “好き”だって!」
後ろではライの歓喜の声がした。
…………風圧、恐るべし。
〈Devious Flower Fortune Telling-邪な花占い-〉
END.