小ネタ集①

クロノ&ゲッカ




「なぁ、ゲッカ」
「何だ?」
「いつまでも、“犬”ってのは嫌だよな?」
「クロノ……今更、何を……」


冷静を装うゲッカだったが、明らかに動揺している。


「アタイ、考えたんだよ」
「何をだ?……はぁ。嫌な予感しかしない」
「今日限りで“犬”を辞めろ」
「…………は!? それって……」
「“猫”になれ」
「…………ね、猫!?」


ゲッカの声が思わず裏返る。


「そうだ。“猫”」
「……扱いは、どうなる?」
「そんなん変わるかよ」
「犬から猫になる理由は……何だ?」


その言葉にクロノはニヤリと笑う。



×  ×  ×



昨日の事──


「お。こんな所に露店か。珍しいな」


クロノは人だかりを掻き分けていく。


「……犬……と猫?」


暫く様子を見ていると、店主が犬の魅力を語ったり技を披露する。


「ふふ……可愛いな。ゲッカもこんな感じだ」


続いて、店主は猫の魅力を語り技を披露した。


「……可愛いな。しかし、猫か……」


クロノは暫し、考える。


「…………悪くはない、か。いや、むしろ良いかもしれない」



×  ×  ×



「──と、言うわけだ」
「意味が分からん」


そして、犬から猫になったゲッカの一日が始まった。
──が、しかし昨日までと何ら変わりはなかった。









END.
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