呑んデレラ




翌日。
酒に溺れたレンゲとマツバの両親がそれぞれ路上での暴行及び殺人未遂で逮捕された。

暴行を受けた二人は、直ぐに病院へ運ばれ命の別状は無し。
だが、それぞれ重傷と重体。


「レンゲ、大丈夫?」
「御見舞い来てくれたんだ、モナカ。それから……ザクロ! 私は大丈夫。でもマツバ君が……」
「優しいのね、レンゲは」


彼はあなたを売って、自身を守るような男なのに。
だから、少しだけ……こらしめてあげたの。


「意識はあるそうよ。けど、まだ会えないみたいね」


そう、意識だけは。
漫画のヒーローみたいに姫を守れるような男だったら、未来は違ったのにね。


「そうなんだ、残念……」
「レンゲ、マツバ君のこと──」
「大きい声で言わないで、モナカ!」


やっぱり、そうだったのね。
良かったわね、レンゲ。
あなたを平気で盾にするような男、同時に潰しておいてあげたの。
これであなたを傷付けるものは、もういない──


「ザクロってば、機嫌いいなぁ!」
「そうかな」
「私には分かっちゃうんだよねぇ!」
「そう、かもしれない」


──人助けって、案外良いものだって知った日。
あたし、将来……警察官や医者になれちゃうかもね。





<呑んデレラ>



END.
(2024.07.01)
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