呑んデレラ
「酒は己の人生をぶち壊す」
「酒は時に精神をも蝕む」
「酒は時に善悪を混濁させる」
「酒は明を暗に容易く変える」
「酒を呑んでも呑まれるな」
あたし達5人は、グラスを掲げ乾杯を交わす。
「同じ透明でもやっぱり水が一番だよねぇ!」
「それって、本当に水?」
「え? やだなぁ、ミモザってば」
おちゃらけるスフレにミモザは感情の読めない笑顔を見せる。
「そういや、味のねぇ毒もあるって言うしな」
「モルちゃんてば、怖い」
「だぁ! もう、寄るな!」
モルテの言うことにも一理ある。
「大丈夫。“これ”は、ただの水だから」
ミモザがそう言った。
あたし達は仕切り直しに再び乾杯を交わした。
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