ポックリさん
「なあ、ギル」
「ん?」
「神様、信じるタイプ?」
「信じてるよ」
「意外……」
「モルちゃんに出会えたのも、きっとそう」
俺から声を掛けたのが余程嬉しかったのか、ギルは俺に抱き付いたまま離れやしねぇ。
数十回と振り払ったのに、離れてはくっついてきて……俺が折れた。
「じゃあさ、“ポックリ”さんに何を願った?」
「…………ずっと、モルちゃんといられますように」
「実際は?」
「つれないなぁ、モルちゃん…………本当はね……」
暫くの沈黙の後、ギルが言った。
「…………言えない。モルちゃんに嫌われたくないから」
「別に嫌いにはならねぇよ。好きにもならねぇけど」
「僕が脱いだら惚れちゃうかもよ?」
「余計にねぇわ」
ギルには、たくさんの妹がいる。
そのうち何人かは不幸な死を遂げているとか、病弱だとか聞いたことがある。
妹を生き返らせて、とか願ってんのか?……想像しにくいな。
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