王子と毒林檎




──翌日。
僕はサカキに呼び出された。
彼は僕を見るなり、顔を殴った。


「良かったな、眼鏡だけで済んで」


サカキの手下の一人が言った。


「……はぁ。眼鏡無いと、困るんだけどな」


そう言って、僕は懐から予備の眼鏡を出した。


「おい。ギル、とか言ったか?」


僕は溜め息一つ、サカキを見る。


「命ほしけりゃ、エリスから手を引けや」
「……それじゃあ、奪ってみなよ──」


続けて、サカキに耳打ちをする。


「テメェ!!!」



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