王子と毒林檎




「離してほしけりゃ、慰謝料寄越せよ。お嬢さま?」
「…………っ」
「怖くて声出ねェの? それとも余裕こいてのシカト?」
「エリスお嬢は口が利けませんでしたっけ?」


下品な男達の笑い声……
一人の女相手に10人近くが群がっていた。
よく見れば、ガラも悪そうだな。
……どうでもいいか。

あえて無視も出来たけど──


「退いてくれないか」


彼らは僕を睨んだ。
けれど、僕が笑顔を見せると道を開けてくれた。

……強面の奴等も所詮は、人間だ。



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