命(名)演技




「ギルー……シリカが死んだって……」
「あれ? モルちゃん、ファンだっけ?」
「違うよ」


“だよな”……そう言ってギルは笑う。


「自殺って、えげつな……」
「ああ、首吊りだっけ。大女優の最期としては──」
「そゆこと。美しくねぇよな。俺だったら──」
「僕。モルちゃんのそういうとこ、好きだよ」


肩を震わせ俯くモルテをギルが後ろから抱き締める。
モルテは瞳(め)を大きく開け、興奮状態だ。


「本当、ショックだわ」
「…………ミモザ……?」


ミモザの声にモルテは我に返る。


「ディアンとシリカ、二人が一気にメディアから消えるんだもの」
「……ミモザって、ディアン好きだったの」
「ええ、まあ」
「意味深」


ギルがクスクス笑う。


「……俺、ディアンになりてぇ……」
「じゃあ、僕はシリカかな?」
「冗談キツいって」


そう言って、モルテも笑った。



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