命(名)演技




「あの鞄、欲しいな」


慣れた上目使いで、女は言う。


「他には?」


親子ほど年の離れた男が聞いた。


「うーん、もうたくさん買って貰ったからなぁ」


改めて女を見ると、ブランドものの服や鞄、数えきれない程の宝石やアクセサリーを身に付けていた。


「何でもいいんだよ?」
「……何でも?」
「例えば──」


男はいやらしい笑みを浮かべる。


「スバルさんって、すっごい!」


女は男の腕に抱き付いた。


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