迷える森の美女
「やだ……誰か……誰か、助けてー!!」
ニーナの悲鳴は賑やかな街の音に掻き消された。
ざまぁみろ、ってな。
「ニーナってば、モテモテね」
そう言って、ザクロは笑った。
「こうしてちゃんと相手してやればな」
「ギルってば、えっちぃ」
「おい、誤解するな。ニーナの相手はマニアック揃いだけど、変な趣味はないんだ」
「それは俺も保証する」
オレの言葉にスフレは
“なぁんだ、つまんない”
そう言って、笑った。
「けど、よく動かせたわね」
「中途半端はよくねぇだろ。な、ミモザ」
「あら、どうして私に聞くのかしら」
そんなん決まってんだろ……
仲間ってか……その、何だ?
そう、同族として……だよな。
「期待させてのポイ捨ては禁止、そうだろ?」
救いの手を差し出してくれたのは、言うまでもなくギルだった。
「けど、これで男の子からの人気も出ちゃうんじゃない?」
「心配なの? スフレは」
「全然? ただ、自画自賛女にはもう戻れない……って思った」
スフレの言葉に思わず吹き出した。
だって、スフレもあいつのこと……“自画自賛女”って思ってたんだ?
「ま、いいんじゃねぇの? 今度は貢献女子にでもなれば」
女からは冷たい目で見られるだろうけどな。
.