迷える森の美女
夜景の綺麗なビルの上。
華やかなドレスを身に纏ったニーナと、不釣り合いな地味な男が居た。
「凄く綺麗……本当に貰っていいの?」
「えっと──」
「嬉しい……お礼ね」
ニーナは男の言葉を遮り、1枚のカードを渡し去っていく。
「高級品を貢ぐなんて、バカね」
そう言って、ニーナは貰ったものをゴミ箱に捨てた。
「不利な盾はいらないの」
「……ニーナ」
名前を呼ばれ、ニーナは足を止める。
「……アルゴ? 久しぶりね、どうしたの?」
「どうしたのって、ニーナが──」
「私の1番をあげたでしょ? だから、あなたとの関係は終わったの」
アルゴは俯いて拳を握る。
その口許は、不適な笑みを浮かべていた。
「ニーナ」
「ニーナ」
「ニーナ」
ニーナが足を進めていく度に、名前を呼ばれる。
気付けば、数十人……
恐怖を感じ、逃げるも直ぐに追い付かれてしまう。
「あなた達、いい加減に──」
ニーナの言葉は、背後からの何者かによって消された。
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