迷える森の美女




「男の視線?」
「近くで感じたりしねぇ?」
「……ない、とは言えないわね」


ニーナじゃねぇけど、俺も一人の女をよく見ている。
 

「ミモザ、どんな時に感じる?」
「そうね……今も、感じるはね」


そりゃそうだよな。
現に今、目の前で──


「後ろの位置にある音楽室付近から」
「……後……ろ?」


俺が振り向くと、遠くに見える音楽室のカーテンが閉まった。


「いつからだ、ミモザ?」
「さあ。けど……数日前かしら」
「くそ……ッ」


俺は慌てて、生徒会室を出ていく。

数分後、音楽室に着くも……鍵が掛かっていた。


「……誰、だったんだよ……」
「アルゴ」
「……ギル?」
「さっき、出て行った男だ」
「……サンキュ」



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