迷える森の美女
「……最近、ずっと誰かに見られてる気がするの」
「心当たり、ねぇの?」
ニーナは男遊びが激しい。
そんな噂があった。
そういや一時、俺もしつこく絡まれたっけ。
その度にギルが目を光らせてたから、今も変わらず浅い付き合いしてんだけど。
「私って、男友達多いから……嫉妬されてるのかな」
すげぇ女。
言いきりやがった。
「モルちゃん、顔に出てるよ」
ギルに言われ、笑顔を取り繕う。
「ニーナには関わるなよ」
「関わってねぇし」
「いざとなったら、僕がまた守ってあげるけど」
ある意味、ギルは最強のボディーガードだよな。
口説いてくっけど、強要はしない
。
だから嫌ではないし、つるみやすい。
「実際どうなんだよ、ギル」
「評判は最悪みたいだね、特に男」
“自画自賛女と星屑男”、以前読んだ本が脳裏に浮かぶ。
自分を輝かせる為に男達を利用し、捨てていく。
男遊び似にて、非なるもの。
「ま、どうでもいいや」
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