祝福の花嫁
「…………いいな……」
目を包帯で覆う少女が呟いた。
「ミル、好きだもんな……こういう話」
「すごくロマンチックじゃない」
ミルは興奮気味に起き上がった。
「スーちゃんと同じ反応」
「え?」
「僕の友達と同じ反応だなって」
ギルが笑うと、ミルもつられて笑った。
「……会ってみたい?」
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「アズサ、一緒に帰──」
「ザクロ、スフレ一緒に帰ろ」
アズサは二人の手を引き、教室を出ていく。
「アズサ……」
「女、紹介してやろうか?」
そう言ったモルテを一瞥し、カスガは無言で教室を出ていった。
「何だよ……人の行為を……」
「今のはまずいな。勘づいたかもしれない」
「やっぱり? けど、燃えた方が面白いだろ」
ギルは答えず、カスガを追い掛ける。
「姫を追い掛ける、王子……見物じゃねぇか」
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