祝福の花嫁
「結婚と離婚って同じレールの上だな」
そう言って、モルテは芸能雑誌を机に投げ置く。
「性別も違えば考え方も違うから、仕方ない」
ギルはモルテが投げ置いた雑誌を拾う。
「……へぇ。人気俳優、浮気の末に離婚……つまらない話題だな」
「ホント、それ。真新しい話題くらい作れっての」
モルテがギルから雑誌を奪い、再び机に雑誌を投げ置く。
「真新しい、って?」
「十股の末、全員と結婚! とかな」
「それは面白いな。興味もある」
「だろ?……興味といえば、妹はどうなんだ?」
その言葉にギルは空を見上げ、溜め息をつく。
空はどんよりしており、今にも雨が降りだしそうだ。
「…………ミルのことか?」
「あぁ。最近あまりよくないんだろ?」
「……よく知ってるね」
ギルはぎこちなく笑う。
「ギルの顔見れば分かるって」
「嬉しいな。僕のこと、理解してる証拠」
モルテに抱きつく、ギル。
モルテは、またか……といった様子で特に気にはしていない。
「誤魔化すとっからもよくないって分かるんだよ」
「最近は10分立てれば十分なくらい。視力も相当落ちてる」
淡々とギルは言った。
「お前なぁ、学校来てる場合かよ」
「息抜きも必要だろ? それに、モルちゃん充電しないと持たないしね」
「なぁ、俺も見舞い行っていい?」
「……え?」
「どうなんだよ」
「そ…………れは──」
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