血婚ビロード




帰り、僕は確かにモルちゃんを待っていた。
それなのに──


「ガキの頃はくっついてきても可愛いと思ってたけど、今はもう無理」


シギに捕まった。
さっきから30分近く、話を聞いている。
妹の話、どんだけあるんだ?


「言動も何もかも──」
「一人の女として意識しているからなんだろ?」
「ばっ! ばっかじゃねーの!」


なんだ……図星か。
顔、真っ赤だし。
何を想像した?
いや、思い出したのか。


「キス、したのか?」
「し……し、してない……」


──当たり。
さて、恋のキューピッドにでもなってやろうか。


「きっと、モナも同じ気持ちだと思うけど」
「……へ?」
「“しがらみ”さえなければいいのにな」


呟いたその時、校舎から走ってくるモルちゃんの姿が見えた。


「じゃあな、シギ──」
「なぁ、ギル。さっきのって、どういう意味なんだ?」
「え? 僕、何か言ったかな」


そう、“しがらみ”なら取り除けばいいだけ。



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