Blood relatives
「姫路くん、今いい?」
「ちょっと、今は無理──」
野嶋がドアを開ける。
俺は風呂上がり、タオル一枚……
「あ……鼻血でてきた」
野嶋が淡々と言った。
「と、とっとと出て行きなさいよ!」
オレの言葉に野嶋はキョトンとする。
当たり前だ……
今のオレは、“普段のオレじゃない”──
「何を見てるのよ!早く出て……」
「何か、今の姫路くん……女々しい……」
「Why?なに言ってくれちゃってんのよ!」
「何か、カマっぽい」
分かってんだよ。
オレが一番、分かってんだよ!
でも、子供の時に植え付けられたら逃れられない──
「そんな事よりも早く、鼻血を拭きなさい!」
「姫路くんの格好こそどうにかならないの?」
「お前が居たら、どうにもならないのよ!」
「普通に考えたら、姫路くん……セクハ──」
「ふざけないでちょうだい!Angryよ!」
「滴る水は色っぽいのに、言葉は何?」
「何って……」
「今の姫路くんを見てると、ムカムカする!」
ゴス──
「痛っ!」
野嶋にオタマを投げられた。
何で、オタマなんだよ!
「うわぁ……血?……オヤジ……っ」
オレは肩を抱いて過去と戦う。
「な、何?……いきなり態度を変えちゃって……」
「うわ!来るな……痛いのは……」
「もう……無理!」
野嶋は深呼吸を一つ、拳を振り上げる。
「やめ──」
「男なんだから、なよなよしないで!」
パァン──
ビンタ一発から始まる。
オレは野嶋によって、地獄を見る事になった。
渇を入れられては、怯えての繰り返し。
血を見て意識を失おうものなら……
想像するのもおぞましい。
そもそも、“血”自体いいものじゃない──
Blood relativesー血族ー....END....
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