Sky which I thought of you and looked up at
彼女のいる病室は重く、苦しかった。
ビニールシートで覆われた薄暗い部屋。
鎖に繋がれ、自由を奪われた野嶋。
点滴がより彼女を痛々しく見せた。
「野嶋……」
触れた肌は平熱よりも冷たかった。
「……馬鹿だよ、お前……」
“死”の先は何もない。
けど、“生”は長く続く。
痛みを伴うだろうけど、色んなものを感じられる。
オレ自身も学んだ。
辛くても、後ろには下がれない。
なら、逃げねェ……
「だから……お前も逃げんなよ、野嶋ァ!!」
柄にもなく涙で何もかもがボロボロになる。
「……で……泣かない……でよ……」
「野嶋……?」
彼女は信じられないくらい穏やかな表情をしていた。
今なら、彼女は全てを受け入れてくれる。
そう信じて、思いを一つずつ伝えた。
最後に──
「待ってるよ……野嶋のこと。ちゃんと、償えよ」
希望は果てしなく零に等しい。
けど、零じゃない……
「……その時は……わたし……姫路くんの友達になれる……かな?」
「馬鹿だな、お前」
「そう……だよね」
「とっくに友達だろーが」
そう言って、野嶋の頭に手を置く。
彼女の震えが止まるまで、支えよう──
心の中で頷き、窓の外を覗く。
そこは雲一つない夕焼け空が広がっていた──
Sky which I thought of you and looked up atー君を思い、見上げた空ー(Epilogue)....END....
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