「分からない……あぁぁあああ──ッ」


野嶋はチリトリを手に、砂井野に襲いかかる。

悲鳴はない。
一瞬のことだった──

息を荒げる野島を照らす、雷光。
彼女の影はまるで悪魔だった。


「す……砂井野ーっ！」


砂井野に駆け寄る。

彼女は既に息はなく、生温かい血だけが流れていた。


「あと……一人」


そう言って、野嶋は玉子が逃げて行った方を見た。



.