I knew you all the time




パァン──
右手が野嶋の頬を打った。


「痛い……」


野嶋の手からチリトリが滑り落ちた。


「それが痛くて、お前に殺されたヤツはどうなんだよ……」


フラッシュバック──
生き生きと話してる姿。
血塗れで何も話さなくなった姿。
自然と涙が溢れ出てくる……


「どうして、泣いてるの?」
「触んな」
「な……んで?」
「頭で考えろよ……分かんだろ、普通よォ!」
「分からない……分からないよ……」


この時、オレが背中を向けなければ……
野嶋を遠ざけなければ、これ以上の被害は出なかったかもしれない──



.
5/10ページ
スキ