I knew you all the time
「あいつに近付くな」
二階の非常階段へ駆け込むなり、砂井野が言った。
「野嶋、か?」
「……あぁ」
「面白いモノと繋がってんのか?」
「あぁ、そうだ」
「何だよ、面白いモノって」
「それは──」
と、話し声が近付いてくる。
「姫路の顔、見たか?」
「うん……」
「やっぱ、姫路がやったんだ」
「そうかなぁ。ぼくには、違うように感じるんだけど……」
「何だよ!俺サマに意見すんのか?」
玉子とみどりだ。
オレ達は咄嗟に下の階へ降りる。
と、話し声は上へと向かって行く。
「もう、大丈──」
言い掛けたその時、例えようのない禍々しさを感じた。
「な、何だ……コレっ」
それは来た道……つまり廊下にいる──?
「砂井野!これって──」
「静かにしろ」
柱に寄りかかり息を殺す。
「……みーつけた」
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