I knew you all the time
「どうかした?」
野嶋の声にハッとする。
何もない。
念のため、目を擦ってもう一度見る。
やっぱり何もない。
「……いや、大丈夫」
オレには一瞬、悪魔のように見えた。
「じゃあ、続き──」
「あのさ」
オレと野嶋の前に砂井野が割って入ってきた。
「ちょ、邪魔しないで──」
「姫路。面白いモノを見付けた。来い」
砂井野に手を引かれる。
何故か、振り払ってはいけない気がした。
「待ってよ!姫路くんに大事な話があるんだから!」
「ゴメン、野嶋。ちゃんと後で聞くから」
“姫路くん”と呼ぶ声に背を向けて走っていく。
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