Butterfly of the noon
体育館の上窓に薄っすらと茜色が差し込む。
オレは“死”を考えていた。
……悲しみの連鎖しか生まれない。
血は涙しか流さない。
知りたい答えは見付からないまま──
「姫路」
「山村……先輩?」
「八つ当たりして……悪かったな」
先輩は鼻声で目元が真っ赤だった。
「……気にしてませんから」
「レンナの事、お前のせいじゃないのにな」
「……先輩、あの──」
「最初っから分かってたのに……誰かを傷つけて穴を塞ぐしか出来なくて、さ……」
「先輩は悪くな──」
「もう、大丈夫だから……」
山村先輩は笑顔を見せてくれた。
どこか切なくて、胸は締め付けられる。
「……はい」
それに気付かないフリをして、笑顔で返す。
「じゃ、おやすみな」
この時……
一言でも多く話していたなら、あるいは──
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