Butterfly of the noon




体育館の上窓に薄っすらと茜色が差し込む。

オレは“死”を考えていた。
……悲しみの連鎖しか生まれない。
血は涙しか流さない。

知りたい答えは見付からないまま──


「姫路」
「山村……先輩?」
「八つ当たりして……悪かったな」


先輩は鼻声で目元が真っ赤だった。


「……気にしてませんから」
「レンナの事、お前のせいじゃないのにな」
「……先輩、あの──」
「最初っから分かってたのに……誰かを傷つけて穴を塞ぐしか出来なくて、さ……」
「先輩は悪くな──」
「もう、大丈夫だから……」


山村先輩は笑顔を見せてくれた。
どこか切なくて、胸は締め付けられる。


「……はい」


それに気付かないフリをして、笑顔で返す。


「じゃ、おやすみな」


この時……
一言でも多く話していたなら、あるいは──



.
9/10ページ
スキ