Butterfly of the noon




外に出る。
真昼なのに空は闇に呑まれて、涙を流していた。
中では気付かなかった雨音だ。


「山村先──」
「レンナ……っ」


山村先輩は泣いていた。
まるでレンナ先輩を抱き締めているかのように──

涙が土に落ちて血痕と重なっていく。
涙で、固まった血は消せない……
きっと、雨なら流してくれる。
それでも悲しみは残る──


「姫路くん、戻ろ」
「……野嶋?」
「二人だけにしてあげよ」
「!」


野嶋も同じ事を考えていた。


「……そうだな」


オレ達は静かにその場を後にした。



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